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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第1章 ある日天使がやって来て
50/237

#050 許嫁≠恋人



「なあ、慧」

「どした」


 今は昼休み。俺ともっちーと水無瀬は机をくっつけ各々の弁当を広げる。

 そんな時、もっちーはさらりと爆弾を放り込んだ。


「結局、五十嵐さんと恋人なの?」

「「ぶぶっ‼」」


 ……俺たちは盛大に吹き出した。ん? 俺たち?


「何故水無瀬まで吹き出しているんだ……」

「貴様が突然こんな質問をするからだろう!」


 水無瀬はお茶を飲んでいる最中だったので、吐き出すのはこらえたようだが、気管に入ったのか言った傍からむせる。

 『我は時を駆けし者!』とか普段から言っている癖に、この展開が予測できなかったようだ。


 ふと周りを見渡してみると、教室中から視線が注がれている。どうやら注目を浴びてしまったらしい。離れた所で別の友達と食べている五十嵐までこっちを見ている。


 俺は仕切り直す意味で咳払いをして、音量を下げてもっちーに聞き返す。


「というか、前にも同じ質問しなかったか?」

「いや、前は『お前と五十嵐さんって許嫁だろ』って聞いた。厳密には質問じゃなくて確認みたいなものだけどな」


 ……そういえばそうだったな。


「でも、何故そんな質問を?」

「気になったから」


 ……適当なはぐらかし方だ。きっと裏に何か狙いがあるとは思うが、追及してものらりくらりとかわされるだろう。もっちーはそういう人物だ。


「で、どうなの?」


 だから、俺は正直に答える。


「恋人ではない」

「それは本当か⁉」


 ガタン! と水無瀬が勢い良く立って身を乗り出してくる。近い近い! 顔が近いよ!


「お、落ち着けって水無瀬」

「あ、うん……」


 もっちーが言うと、水無瀬はハッとして席に座る。コイツ、恋愛の話になると途端に食いつくんだよな……。そんなに俺の恋愛事情に興味があるのか。


「で、でも、許嫁というのは恋人ということではないのか……?」

「何故許嫁のことを知っているかは置いといて、許嫁は必ずしも恋人と同義だと限らないんじゃないか? 例えば、親に強要されて許嫁になっている場合みたいに。慧や五十嵐さんがそういう関係だと言いたいわけじゃないけどさ。でも、こういうことは、オレら三人の中だったら水無瀬が一番詳しいはずだろ?」

「……確かに。許嫁≠恋人だな。では何故、フンフツィヒ・シュトルムは此奴を名前で呼んでいるのだ?」

「そりゃ、舞さんと区別するためじゃねーの?」

「そうか……」


 おーい、二人ともー。俺抜きで勝手に話を進めないでくれよー。

 とみょんみょん発している俺の電波を受信したのか、もっちーが俺に聞いてくる。


「一つ屋根の下で暮らしていても、恋人ではないのか?」

「ああ」


 実際、俺は五十嵐に告っても告られてもいない。只の同居人、許嫁である。

 真剣な表情で三秒ほど見つめ合う。そして、フッともっちーは表情を緩めた。


「ふーん、怪しいなぁ~」

「本当だ!」

「はいはい、冗談だよ」


 もっちーは何事も無かったかのように、弁当を食べ始める。


 その一方、水無瀬はというと。


「ひ、一つ屋根の下……」


 そのワードでKOされ、頭から湯気を出して机にぶっ倒れていた。


 おいおい、大丈夫か⁉ どうやら水無瀬には刺激が強すぎたらしい……。


 次回、2022/05/20 20:00頃投稿予定!

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