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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第1章 ある日天使がやって来て
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#049 明日は空から槍が降る



「ただいま~」

「お帰り」


 学校が終わり、家で夕食の準備をしていると姉ちゃんが帰ってきた。

 期末試験が終わったばかりだというのに、姉ちゃんは生徒会で本当に忙しいんだな……。

 でも、そんな姉ちゃんに俺は遠慮というものをしない。むしろ追撃する。


「姉ちゃん、テストどうだった?」

「それがね~」


 あれ? 姉ちゃん、これ聞かれたくない話題じゃないの? てっきり顔を顰めて『それ聞いちゃう?』とか言ってくると思っていたが。そんな俺の予想に反して、姉ちゃんはどこかウキウキした顔で、バッグの中から個票を取り出した。


「じゃーん‼」


 盛大に強調して姉ちゃんが掲げた個票には。


「あの姉ちゃんが平均点を超えている……だと⁉」


 いつも赤点間際の点数ばかりが並ぶ個票に、平均点を上回る点数がいくつも印字されていた。


 嘘だろ……。あの姉ちゃんが、平均点を上回っているだと……? これは、明日は空から槍が降るな。

 姉ちゃんはそんな俺の反応を見て、へへーん! と自慢げだ。


「これでスマホは取り上げられないわよね!」

「あ、ああ。そりゃもちろんだろ」


 何せ、いつも赤点間際の姉ちゃんが急に点数を上げてきたんだからな。母さんもそこまで鬼じゃない。


「授業も大丈夫だよね!」

「それは知らん」


 そこまでは知らない。これからの姉ちゃん次第としか言いようがない。というか姉ちゃんは本当に大丈夫なのか? 授業中寝ていないよな?


「それで、慧はどうだったの?」

「俺はいつも通り」

「ふーん、ひかりちゃんは?」

「五十嵐は数学がギリギリ赤点回避。その他は満点近い」

「へー、すごいね!」

「姉ちゃんも見習ってほしいんだが」

「うっ……頑張るわ……ってそれは慧もでしょ!」

「……そうだな」


 ブーメランが突き刺さった。俺も五十嵐に負けないようにしなくては。


 会話が一区切りしたところで、姉ちゃんは新しい話題を振る。


「そういえば、デートの場所決まった?」


 それを聞いてくるか。まあ、提案した本人としてそれは心配なのだろう。というかよく考えてみたら、『デートをする』という事実を残して、日時や場所などの後のことは俺たちに全部丸投げしているよね、姉ちゃん?

 ま、順調に決まりつつあるからいいのだが。


「ああ。この前買い物に行った時に水無瀬に会って」

「へー珍しいねー」

「その時遊園地のチケットを貰った」

「あー二つ隣の街のあそこ?」

「そう。めちゃめちゃチケットが取りにくいところ」

「さすが、すみれちゃんだねー」


 惜しげもなくくれるなんてな……。水無瀬には本当に感謝だ。


「じゃあ、これでデートは決まりだね!」

「ああ。後は日にちだけだ」

「それはひかりちゃんと一緒に決めるべきだわ」

「そうだな」


 俺はコンロの火を弱めながら答える。


 デートの日か……。いつにしよう……。



 次回、2022/05/20 07:00頃投稿予定!

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