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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第1章 ある日天使がやって来て
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#040 平均下回ったら



「そういえば、期末試験の勉強はどう、ひかりちゃん?」


 夕食を食べていると、突然姉ちゃんがそんな話題を振ってきた。


「あ、はい。放課後に慧やクラスメイトに教えてもらっています」

「そっかー」


 姉ちゃんはニヤニヤしながらこっちを見てきた。や、やめろよ。


「慧もひかりちゃんに優しく教えてあげてね」

「それはもっちーと水無瀬の役目だ。それより姉ちゃんはどうなんだよ?」

「え、えーっと……大丈夫、なはず?」

「めっちゃ自信ねえじゃねえか! 平均を下回ったらスマホ取り上げなんだろ⁉」

「そうだった!」

「忘れていたのか⁉」


 姉ちゃんはガタンと勢い良く立ち上がる。頭の方があまりよろしくない姉ちゃんにとって、この問題は非常に重要であるはずだ。じゃあ何故今まで忘れてたんだよ⁉ 頭がよろしくないからか!


「勉強しないと! ごちそうさまでした!」


 姉ちゃんは爆速で食べ終わると、二階の自室へと上がっていく。


「わたしも数学勉強しなくちゃ……」

「そうか」

「慧、教えてくれる……?」

「いや、俺も勉強を……」


 うぐっ。ひ、卑怯だ。コイツ上目遣いを使ってくるなんて。これじゃ強く出れねえじゃねえか……。


「……はぁ。仕方ねえな。後で教えてやるから俺の部屋に来い」

「うん! 分かった」


 五十嵐は嬉しそうに笑った。



 ☆★☆★☆



「それでここはここ、ここはここで」

「うんうん」


 部屋の時計の二つの針はどちらも十二を示している。

 俺は五十嵐に自分の机を使わせ、その横から立ったまま教えていた。


 夜も深くなってきているが、それに比例するように五十嵐の数学力は増している。


「なあ、五十嵐」

「ん?」

「お前、他の教科は大丈夫なのか? 世界史とか古典とか」

「それなら大丈夫。神にインプットされている知識で全部できるはずだから」

「そうか……」


 じゃあ何故数学はできないんだろうな。


 ふわぁ……。それにしても眠い。

 俺は雨宮家の家事を引き受けている身。朝が早いため普段こんな時間まで起きていることはめったにない。

 ちょっと下でコーヒーでも飲んで目を覚ますか。明日は午前で終わりだから弁当を作る必要が無い。ちょっとくらいなら夜更かしをしても大丈夫だ。


「じゃ、区切りいいし五分休憩するか」

「うん」


 俺は階段を降り、冷蔵庫の中の缶コーヒーを開けて飲み干す。

 コーヒーのカフェインが俺の眠気を取り払っていく。


「……よし、もうちょっと粘るか」


 缶を洗ってゴミ箱に放ると、再び階段を上がって自室に戻る。


「勉強再開するぞ……って」


 ガチャリとドアを開けると、五十嵐は机に突っ伏していた。

 少し揺らしてみるも、五十嵐が顔を上げる気配はない。


「寝ちゃったのか……」


 このまま起こそうか……。いや、やめておこう。


 俺はその代わりに毛布をその背中にかけてやる。同じ部屋のベッドに寝るのは……流石にちょっと俺の精神が持たない気がする。今夜はリビングで寝るしかなさそうだ。


 部屋の電気を消し、ドアを閉める。


「おやすみ」



 次回、2022/05/15 21:00頃投稿予定!

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