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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第1章 ある日天使がやって来て
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#004 絶対に負けられない戦い



 速攻で拒否ってドアを閉めた俺は、ドアにもたれかかったまま一旦深呼吸をする。


 マジか、家バレしていたか……。いや、会ったこともない俺の名前を知っていたくらいだから、家くらい知っていてもおかしくないんだが……。

 きっと奴は、俺を殺しに来たのだろう。今朝だけで終わりかと思ったが、セラフィリは『今回は諦めます』と言っただけで、『もう来ない』とは一言も言ってない。

 今朝とは打って変わってカジュアルさを前面に打ち出していたことだし、油断したところで俺を仕留めるつもりだったのだろう! 策略家だ。


 いや、待てよ。それだったら俺が出た瞬間に殺せばいい話では? さっきセラフィリは『もしよければお宅に入れさせていただけませんか』と言いかけていた。ということは、今回はすぐに俺を殺すつもりではなかった、ということなのか……?


 セラフィリの意図が全く分からない。しかし、セラフィリを家の中に入れるのがよくないことは分かる。とにかく、なんとしても追い返さなくては。


 次の瞬間、またピンポーンとインターホンが鳴る。律義な奴だ。

 俺はそれを無視して、冷静にドアガードを閉めようと……、


 ピンポーンピンポンピーンポンピーンポーンピーンポンピンポ


「やかましいわ!」

「やっと出てきた!」


 『やっと出てきた!』じゃねーよインターホン壊れるっつーの! そんな連打されたらウルトラスーパー超迷惑! お前は悪質訪問販売業者か!


「帰れ!」


 俺はこれ以上どこかの天使が口を開く前に、ドアを再び強く閉めようとする。

 だが、セラフィリの方も、さっきの二の舞を演じるつもりはないようだった。


「ふん!」


 という天使らしからぬ声とともに、閉まりかけていたドアが中途半端に開いたまま止まる。セラフィリが右足をドアとドア枠の間に挟んだのだ!


 それを無視して俺はさらに力を加えてドアを閉めようとする。セラフィリの足はきっと今ものすごい痛みに襲われているだろうが、今朝急に襲ってきて俺を殺しかけた相手には容赦はしない。例え天使であってもな!


「ぐぬぬぬぬ……」

「ふぬぬぬぬ……」


 ドアを閉めようとする力と、ドアをそのまま開けようとする力、この二つの相反する力が拮抗する。

 すると、セラフィリはガシッと隙間から手をドアに掛けると、ググっとドアを引っ張ってきた。


「うおっ……!」


 どうやらセラフィリは指先にバカ(ぢから)を持っているようだ。ドアはゆっくりと、しかし確実に、だんだん開いていく。


 クソッ! 負けてたまるか! 俺も対抗して、自分の全体重をかけて全力でドアを閉めようと引っ張る。


 俺たち二人の間には、絶対に負けられない戦いがあった。

 ドアが俺たち二人の圧力でミシミシと嫌な音を立てる。


「開けてっ……!」

「誰が開けるもんか……!」

「ぐぬぬぬ……!」

「ふぬぬぬ……!」


 そんな戦いがどのくらい続いただろうか。だいぶ疲れてきた頃、不意にセラフィリの後ろから聞き慣れた声がする。


「おーい、ウチの玄関で何をやっているのかしらー?」

「「えっ」」


 俺たちは戦いを一旦中断して、セラフィリは後ろを振り返り、俺はドアを開けてセラフィリの後ろを見る。

 そこにいたのは、思いもよらない人物だった。


「姉ちゃん……」

「ただいまー、慧」


 セラフィリの後ろに立っていたのは、俺の姉だった。



 次回、2022/04/29 22:00頃投稿予定!

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