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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第1章 ある日天使がやって来て
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#036 不登校で中二病



 めんどくせえ……。

 中二病患者に自分は中二病じゃないと否定されたんだが。

 逆にどう言い返せばいいのか分からん。


「我が名は、ヴァイオレント・ウォーターレスシャロウなり!」


 大仰な動作で再び同じことを宣った中二病に、五十嵐はますます戸惑っている。

 仕方ない。普通にコイツのこと紹介するか。


「えーっと、水無瀬(みなせ)(すみれ)、不登校で中二病だ」

「その名で呼ぶなー!」


 その途端、水無瀬は顔を真っ赤にして、むぎー! と怒り始める。


 おっと水無瀬さん、素が出てますよ?

 つまり、このことに触れれば素が出るほど動揺するってことだ。なんて反応が分かりやすい。まるでどこかの五十嵐みたいだ。


「何か言った、慧」

「いや別に何も」


 お、テレパシーですか? いや、でもコイツ天使の力は使い切ったはずだよな? もしかして口にしてた?


「それより、さっきのバイオレント……なんちゃらかんちゃらは」

「ヴァイオレント・ウォーターレスシャロウ!!!!!!!」


 そんなにエクスクラメーションマークばかりつけなくていいから! 耳がキーンとする……。


「それはいったい何なの? それと、このよく分からない名乗り方には何か理由があるの?」

「ハッハッハ、実は我が身は世界の組織が暴」

「名前はただ英訳しただけ。名乗り方や言動はただの病気みたいなものだ」

「病気じゃないもん!」


 しかも、ヴァイオレントって間違っているし。『菫』はヴァイオレント(暴力)じゃなくてヴァイオレットだ。英語大丈夫か? 中学校の復習をした方がいいんじゃないか?


「えーっと、この前転校してきた五十嵐ひかりです。よろしくね、水無瀬さん」

「ヴァイオレント・ウォーターレスシャロウ……うう、よろしく……」


 最後まで自分の二つ名で呼んでもらえなくて、半分涙目になりつつも、律義に水無瀬は頭を下げた。


「ところで水無瀬、お前は何故今頃学校に来たんだ?」

「ハハハ、それは我が聖眼がこの地にて大きな時空変動による未来改変が」

「あーはいはい、単位ヤバいのな」

「……うぅ」


 水無瀬はこちらを睨んできたが、否定はしない。つまり、俺が指摘したことは図星だったということだ。


 まあ、普通そうなるよな。一学期の途中から不登校が続いていれば。

 既に水無瀬の欠席日数は、留年の基準の三分の一に迫ってきていた。これからはほとんど休めないだろう。


「でも、なんで不登校だったの?」

「我がこの地に大きな影響を及ぼすまでこの身を温存して置く為!」

「へ、へぇ……」


 後で五十嵐には中二病の概念を説明しておこう。


「フフフ……我はこれからこの地で特殊任務を遂行する!」

「いいから座れ、SHR始まるから」

「あ、うん」


 ……はぁ、これから周りが騒がしくなりそうだ。



 次回、2022/05/13 22:00頃投稿予定!

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