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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第1章 ある日天使がやって来て
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#031 名前で呼んでる②



 五時間目の終了のチャイムが鳴り、授業を終えて丹羽先生が退出すると、俺の隣の空席にもっちーが腰掛けた。

 俺たち二人を見て、ニヤニヤすると、俺たちにしか聞こえないような小声で話しかけてくる。


「やっぱり許嫁だったんだな」

「違う!」


 実際そうじゃないし! 殺されかけたと殺しかけたの関係だし!


「でもさっき聞いたとき思いっきり吹き出していたよな?」

「あれは言い方のせいだ! 誰だってあんな質問されたら吹き出すに決まってるだろ!」

「慧に限って言えば、あの反応は『はい』と同義だろ?」

「違います」

「じゃあ聞いてみよう。五十嵐さん、君は慧と許嫁の関係なのか?」


 もっちーと俺は後ろの五十嵐の方を見ると、


「ええええっと、ちちち違うよ~?」


 突然話も振られてテンパり、ものすごく動揺していた。動揺しすぎて目が二十五メートル往復するレベルで泳いでいる。


 それ、『はい』って言っているようなものじゃねぇか……。


「やっぱりそうだったんだな。二人ともなんかやけに一緒にいると思ったら、こういうことだったのか」

「「違う!」」

「二人とも息ぴったりだし、反応も分かりやすいなぁ」

「はぁ? それは五十嵐が分かりやすいだけだろ!」

「もとはと言えば慧が吹き出すのが悪いよ」

「……五十嵐さん、いつから慧のことを名前で呼び始めたんだ?」

「「あ」」


 俺たちが否定しようとするたびに、自分で墓穴を掘っているんだが。

 やはりこれはもっちーの誘導尋問だな⁉ そうだろ⁉


「さあ、まだ言い訳をするか、二人とも?」


 もっちーは自分の推測が確信に変わったようだ。

 まるで、犯人が墓穴を掘って証拠を易々と押さえた警察のように、もっちーは勝ち誇った顔で俺たちに聞いてくる。


 くっそー! ウザいけど自爆しまくったからこれ以上言い訳できねー!

 もういいや! バレたものは仕方がない。もっちーを信用するしかない。


「あーそうだよ。俺と五十嵐は許嫁の関係だ」

「慧⁉」

「遂に認めたか……。本当なのかい、五十嵐さん」

「……うん」


 そうかー、ともっちーは納得顔で、そして若干どこか残念そうな顔で、うんうんと頷いた。


「良かったな、慧。五十嵐が将来の奥さんになってくれるんだぞ」

「う、うるせー」


 ……まあ、五十嵐の容姿がいいのは事実だ。クラスの中でもいい方の部類に入る。

 だけど、コイツの正体を知っている身としては、どうしても気持ち的に一歩引いてしまうんだよなー。


 そんな俺の心の内ももっちーは知るはずもなく。


「五十嵐さんも、お幸せに」

「う、うん。ありがとう」


 五十嵐に声をかけた後、自分の席に戻っていった。


 許嫁……やはり、複雑な気分になるな……。



 次回、2022/05/11 08:00頃投稿予定!

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