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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第2章 移ろいゆく関係の末は
179/237

#179 ガンリキー



「おはよう」

「おう、おはよう慧」

「……十六時間一分三十六秒ぶりだな、レーゲンパラストよ」

「それ正確なのか⁉」


 いつものように俺は挨拶し、俺の後ろの五十嵐も挨拶する。だが、まだ昨日のことを引きずっているのか、若干俺の後ろに隠れている。

 まあ恥ずかしいんだろうな。流石にあそこまで自爆したら穴を掘って隠れたくなる。


 バッグを机に置き、早速一時間目の支度をしようと席につこうとした、その時。俺の後ろの方から、ぶわっ、と得体のしれない殺気のようなものが押し寄せてきた。思わず身震いしてしまう。

 い、いったい何なんだ……? まさか、五十嵐があの雰囲気を発しているのか? いや、そんなはずはない。何故なら、今普通に挨拶を……。


「あ、アリスおはよう」

「おはよ~ひかりー!」


 その声が聞こえてきた瞬間、殺気が一瞬だけ収まり、そしてまた俺の方へと押し寄せてきた。


 俺は恐る恐る、殺気に抵抗して斜め右後ろ四十五度の方向へ、時計回りに百三十五度回転させる。


「……っ」


 思わず悲鳴をあげようとして、慌ててこらえる。

 何故なら、俺の視線の先には、


『……あ~ま~み~や~け~い~……ブチコ■ス……』


 と今にも怨嗟の声をあげて飛びかかってきそうなアリスが、こっちを睨みつけていたからだ。


 天使らしからぬ真っ黒なオーラがアリスから発せられているのが今にも見えそうだ。しかも、そのオーラを発しているにもかかわらず、目力以外の表情を全く変えていないのが怖い。


 いや、これどうしよう? とりあえず挨拶するか。


「お、おはようアリスサン……」

「…………」


 返事がな~い。ピクリとも眉は動かず、全く同じ表情で目だけでこちらを威圧してきている。何故だか分からないが、ここで目を逸らしたら、何かに負ける気がしてきた。何に負けるかはさっぱり分からんけど。


 お、落ち着け! この眼力に負けるな、俺!


 数秒間、視線の矢で体をブスブスと刺されながらも、俺は数秒間耐え続ける。と、不意にアリスは眼力をフッと緩めて立ち上がった。

 そして単刀直入、必要事項だけを端的に言い放つ。


「アンタ、話があるからちょっと来なさい」

「……は?」

「分からないの? いいから早く来なさい。SHR始まるわよ?」

「お、おう……分かった」


 俺は席を立つと、つかつかと歩いていくアリスの後を追って、教室の後ろのドアから出て行った。

 俺、これから何されるんだろう……。



次回、2022/07/25 07:00頃投稿予定!

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