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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第2章 移ろいゆく関係の末は
165/237

#165 豆まき



 恵方巻を無言で食べ終わった後は、豆まきが待ち構えている。


「それじゃあ豆まきをするわよ!」

「そうだな」

「……ん゛、はい゛」


 姉ちゃんの声で、俺たちは豆まきを始めるべく、席を立つ。


 五十嵐はワサビに慣れていないのか、鼻がツーンとするのに耐えられないようで、鼻の頭を押さえている。まあ、最初はキツイよな、ワサビ。

 そんな五十嵐だが、俺の横に来ると、服をちょいちょいと引っ張った。


「慧……豆まきってなに?」

「豆まきってのは、『鬼はー外、福はー内』って言いながら、乾いた大豆を家の外に放り投げて、厄を払って福を家の中に招き入れる行事のことだ。恵方巻と並ぶ節分のメインイベントだな」

「ふーん……なるほどね」

「あ、慧とひかりちゃん、ここから適当に豆を取ってね」


 俺たち二人は、姉ちゃんが差し出した大豆の袋から、一掴みの大豆を取り出した。そして、姉ちゃんを加えた俺たち三人は、階段を上って二階の各部屋から豆まきを開始する。何故二階から大豆を撒くのか、それには特に意味はない。


「鬼はー外!」

「福はー内!」

「鬼はそとー福はうちー」

「慧、そんなんじゃ鬼も追い払えないし福も入ってこないわよ! もっと元気よくばらまかなきゃ!」

「そうだよ慧!」

「へーい」


 でもなあ……。個人的には、食品である大豆を外に撒いて食べられなくするのに、なんかこう、抵抗感があるんだよな……。分かってくれる人、いないかな?


「よし、二階は終わったわね?」

「はい!」

「では次は一階に行くわよ!」

「レッツゴー!」


 テンション高めの女子二人組は、ドンドンと下りていった。あの二人には食べ物を大切にする心は無いのか? それとも俺が敏感すぎるだけか?

 まあ、手に持った豆は半分くらい撒いたし、後は食べればいいか。数えてみると、ちょうど俺の年齢の分だけ残っているので都合もいい。


「鬼はー外!」

「福はー内!」


 二階からでも、下の階で二人が豆まきをしている声が聞こえる。どうやら大盛り上がりしているようで声がだいぶデカい。もう少し声を抑えないと、近所迷惑で訴えられてしまいそうだ。


 そんなことを考えながら、豆をボリボリ食べながら階段を下る。声の方向から、二人とも今はリビングにいるようだ。

 俺は、そんな二人に注意しようと、廊下を歩いていると……。


 ガタンッ‼ バンッ!


 うおっ! 何だ何だ⁉


 思わず、けたたましい音がした方向を見る。

 その方向にあるのは、玄関のドア。見ると、玄関のドアが勢いよく開け放たれていた。


 まず目についたのは、その特徴的な金色の髪。そして端正な顔立ち。

 間違いない、金髪ツンデレ系天使のアリスだ。アリスなのだが……。


 彼女が纏っているのは、緑系の斑模様がプリントされた長袖の服。帽子も同じ柄の物を被っている。

 そして、最も目を引くのは、その手に抱えている黒光りする細長い物体。


 機関銃だった。


 そして、それをこちらに向けると、


「セラフィリ―! 鬼から助けに来たよー‼」


 ダダダダと乱射してきた!



次回、2022/07/18 07:00頃投稿予定!

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