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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第2章 移ろいゆく関係の末は
164/237

#164 今日は大岡越前の日!



「さて、今日は何の日でしょう?」


 地元デートから何日か経ったある日。何事もない夕食の席で、突然姉ちゃんが俺たちにクイズを出してきた。

 いったい突然何なんだよ……。


「何の話だ?」

「いいからいいから。今日は何の日?」

「大岡越前の日だろ」

「……え? おお、おかえちぜんの日?」

「ああ」


 確かWik●pediaにはそう載っていたはずだが。


「うーん……そうなのかもしれないけど、私が言いたいのはそうじゃなくて……ほら、もっとこう、有名なのがあるじゃない!」

「有名なの……?」

「あ! ハイハイ! 分かりました!」

「はい、ひかりちゃん!」

「チェナーゼの血浴が起こった日ですよね!」

「ちぇ、ちぇなーぜ?」


 なんだそれ。俺も知らない。言葉の響きからして、キリスト教に関係する出来事なのだろうか? 後で調べてみよう。


「あ、もしかして」

「はいっ! 慧!」


 姉ちゃんヤケになっているなぁ……と思いつつも、俺は答える。


「学年末試験四週間前だろ?」

「ぎゃー! テストの話はしないでぇ~!」


 俺がそう言うなり、姉ちゃんは耳を塞ぐ。どんだけテストのことを考えたくないんだよ……。

 数秒後、ハッと元に戻ると、姉ちゃんははぁ~とため息をついた。


「も~、どうしてみんな分からないの~」

「姉ちゃんにその台詞を言われるとムカつく」

「そう? でもこればっかりは、慧やひかりちゃんの思いつきが足りないわ!」


 そして、姉ちゃんはビシッと俺たちを指さすと。


「本日、二月三日は、節分です!」

「あー確かに~」

「ホントに今まで忘れてたの⁉」


 姉ちゃんが呆れたような声を出す。

 確かに、今日は節分だったな……。それに、立春でもある。全然春らしくないがな。


 そういえば去年もこういうやり取りがあった気がする。俺や母さんは忘れていて、姉ちゃんだけが覚えている状態だったな。

 すると、向かい側に座っている五十嵐が身を乗り出して、小声で俺に尋ねてくる。


「ねえねえ慧、節分ってナニ?」

「お前、それも知らないのか……」


 時々発動される五十嵐の無知っぷりには驚かされる。


「えーっと、節分ってのは、簡単に言うと、昔の暦で新年の始まりに当たる日だ。豆をまいて鬼を追い払ったり、年齢の数だけ豆を食べたりする行事がある」

「ふーん……日本の行事って不思議なものが多いね」


 俺たちからすると当たり前に見える行事でも、五十嵐からするとそんな風に見えるのかもな。


 俺たちがそんなことを話している間に、姉ちゃんが台所からある物を取って戻って来た。


「というわけで、じゃ~ん。恵方巻を買ってきておきましたー!」

「姉ちゃんにしては珍しく気の利いたことをするな」

「『いつも』でしょ!」

「はいはい」


 それでも、恵方巻を買ってきてくれた姉ちゃんには感謝である。



 次回、2022/07/17 19:00頃投稿予定!

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