表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第2章 移ろいゆく関係の末は
161/237

#161 中二病の用事



 そこにいたのは、俺のクラスメイト、水無瀬菫だった。


 やはり絶賛中二病を発症中で、眼帯はもちろん外していない。しかし、今日は珍しく普通の服装をしているから違和感が半端ない! まるで、眼帯をしたはいいものの、急いで家を出なくちゃいけないからクローゼットから適当な服を取って着た、みたいな感じだ。


「こんにちは、水無瀬さん」

「こ、こんにちは……」


 そして、五十嵐には普通の挨拶。ねえ、この差って何ですか⁉ 水無瀬は五十嵐を敬っているのか⁉


「それにしても、このような日に二人きりで外出……『地元デート』というやつか?」

「……」

「……そう、だね」


 改めて言われると恥ずかしいな……。


 それに、五十嵐さんよ、何故いまさら気づいたように、『そう、だね』と赤面しているんですかね。言い出しっぺはお前だろう? なーにが地元案内だよ、『地元デート』と認めているじゃないか!


 そんな俺たちの様子を見て、水無瀬は若干ニヤニヤしている。

 一刻も早くこの話題から逃れたいので、俺は逆に水無瀬に質問をし返す。


「ところで、水無瀬はこんなところで何してるんだ? こんなところに一人で来るなんて、いったいどこへ行こうとしているんだ?」

「う……それは……」


 今度は水無瀬が言葉に詰まる。


 ははぁ……この反応は……。


「さては、これから人には知られたくないイベントに参加しようとしているんだろう⁉」

「違う!」


 違ったか……。てっきり、同じような中二病患者で構成された闇の秘密結社の会合にでも参加するのかと思ったのだが。それだったらもっと中二病っぽい服装になるはずだし、それはあり得ないか。


 水無瀬の家は、俺たちが住んでいる場所とは中学校を挟んで反対側にある。電車の駅で言うと、二駅分くらい離れているのだ。そもそも、彼女は日中ほとんど外出をしないと、本人が度々口にしている。だからこそ、この辺まで来ているのには何か理由があるはずだ。


「だったら、何故こんなところにいるんだ?」

「うぅ、それは……」


 さっきの繰り返しだ。水無瀬はなかなか口を割ろうとしない。

 なんだかかわいそうになってきた……。


「ま、無理して言うことじゃないよな。話しにくい事情なんだろう? 問い詰めて悪かったな」

「う、うん……」

「じゃ、俺たちは行くぞ。お前もどこに行くのかは知らんが気をつけろよ」

「あ、う、その……」


 さ、行くぞ、と傍らの五十嵐に声を掛けて、俺は中学校方面へと歩みを進めようとした。


 ……のだが。


「待て! ここから先は通さぬ!」


 俺たちの前に、RPGの中ボスっぽい台詞を吐きながら、水無瀬が立ちふさがった!



次回、2022/07/16 07:00頃投稿予定!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ