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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第2章 移ろいゆく関係の末は
157/237

#157 それぞれの文理選択



「は~い、それでは、文理選択のプリントを提出してもらいま~す」


 翌日の朝のSHR。堀河先生は教室に来るなり、早速文理選択の話題に切り込む。


「後ろから、プリントを裏にして回収して下さ~い」


 俺がファイルからプリントを取り出して待機していると、早速五十嵐がプリントを回してきた。

 どうやら彼女はきちんと昨日のうちに決めたようだった。なんて書かれているのかは分からないが、プリントの裏から何か文字が書かれているのが透けて見える。


 もちろん、裏返して見るわけにはいかないから、その上に自分のプリントを重ねると、もっちーに回す。


 プリントが全て先生の手元に渡ると、先生はトントンとそれを整えながら、


「未提出者は明日までに必ず出して下さいね~、そうでないと進級できませんよ~」


 とさらっと脅してSHRを終わらせて教室から出て行った。


 先生が出て行った瞬間から、教室は騒がしくなる。俺はそれに便乗して、五十嵐に話しかけようと……


「なあ慧、文理選択どっちにした?」

「俺は理系だ」


 ……して話そうとしたことをもっちーに聞かれた。

 まあ後でも聞けるし別にいいのだが。


「もっちーは理系にしたんだろ?」

「ああ、もちろんだ」


 この前、理系にするって言ってたしな。予想通りだ。

 それよりも、俺が気になるのは五十嵐。それと、あともう一人。先に席が近い方に話しかける。


「水無瀬、お前は結局どっちにしたんだ?」

「フフフ……よくぞ聞いてくれた……我が運命の選択を……」

「長ったらしいなー。理系か? それとも文系か?」

「……我が運命は理の道を歩む事を選択した」


 水無瀬は、中二病口上が遮られたからか、ちょっと膨れっ面だ。


「理系か……なんでそっちにしたんだ?」

「直感」


 ちょ、直感……。人生の大事な選択を直感で決めていいのか……? ま、まあ水無瀬は理系も文系もできるし、どちらを選んでも苦労はしないだろう。


 さあ、次こそは本命に聞くぞ! というわけで、俺は振り返って五十嵐に話しかけようとすると……、


「ひかり~文理選択どっちにしたのよ~」

「え~……」


 彼女は隣の席のアリスとイチャイチャしていた。百合百合しい……。


「アリスはどっちにしたの?」

「あたしは……理系にしたわよ。ひかりが理系を選ぶのを信じて! ひかりはどうしたのよ?」


 宣言通り、アリスは理系にしたようだ。さあ、五十嵐はどっちにしたんだ?

 五十嵐はふっ、と息を吐くと、にっこり笑って。


「わたしとおんなじだね!」

「ひかり~! これからもずーっと一緒だわ~」


 結局、五十嵐は理系にしたのか……。


 まあ、昨日一晩ずーっと部屋に籠っていたっぽいし、きっと彼女なりに考え抜いた上での決断なのだろう。それだったら、俺はその決断を支持する。それに……。


「まあ、文理選択をした後でも、文理は変えられるしな。意外とそういう奴は多いらしいし、大丈夫だろ」

「え……?」


 その言葉で、五十嵐は、フリーズした。



次回、2022/07/14 07:00頃投稿予定!

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