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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第2章 移ろいゆく関係の末は
141/237

#141 大雪でも出勤しなくちゃ



 ジリリリリ……。


 枕元でいつものように騒がしく鳴る目覚まし時計の音を聞いて、俺は手を伸ばしてアラームを止める。

 あー起きなければ……今日は月曜だから朝ご飯を作って母さんを見送って学校に行かなければ……。


 俺はしつこく閉じようとする目を擦ると、いつものように目を覚ますために日光を部屋に取り入れようと、カーテンを開け放つ。


 しかし、いつまで経っても日光は差し込んでこない。おっかしいな……。ここ最近は晴れの日が続いているはずだが。俺はゆっくりと目を開けて、窓外を見る。そして、思わず声を漏らしてしまった。


「お……おおっ……!」


 辺り一面には、銀色の景色が広がっていた。

 空は灰色一色に塗りつぶされ、現在進行形で空から白いものが次から次へと落ちてきている。


 そうだ、思い出したぞ! 確か天気予報で、今日は雪が降るって言っていたんだった。それで、学校も休校になったんだった! わーい、昨日一昨日に続いて今日も一日のんびりできる!


 ……とはいうものの、俺が忙しいことに変わりはない。毎日絶対的に存在する、『家事』がある限りは。

 ホント、全国の主婦とか主夫の気持ちが分かる。確かにこれは憂鬱になってもおかしくはない。


 はぁ、と小さくため息をつくと、俺は朝食を作るために、部屋を出て階段を下る。


 朝が早いからか、まだ誰も起き出してはいない。そんな静かな家の中で、俺は顔を洗い、着替え、朝ご飯の支度を始める。


 台所でフライパンで玉子焼きをジュージューと作っていると、母さんが起きてやって来る。


「おはよう、母さん」

「おはよう……今何時かしら?」

「六時半」


 リビングの壁に掛かっている時計を見て、俺は答える。


「遅刻だわ! 今日は雪だからいつもより早く出なくちゃいけないのに……」


 すると、母さんははっ、と一気に目が覚めたような顔をすると、慌てて顔を洗い行く。


「慧! 悪いけど、テレビをつけてもらえるかしら?」

「はーい」


 こんなに雪が降っているのに、今日も出勤なのかよ……。ホントブラックだな。俺は料理をする手をいったん止めると、交通情報の表示されている番組をテレビに映し出す。


 予想通り、昨夜から降り続く大雪によって、交通機関は運休と遅れのオンパレードだった。最寄り駅を通る路線はまだなんとか動いているみたいだが、ダイヤが乱れているのは確実だろう。


 と、洗面所で顔を洗ってスーツに早着替えしたらしい母さんが飛び出してくる。テレビに映し出された交通情報に視線を向けること数十秒、まだ電車が止まっていないことを確認したのか、いそいそと荷物の入ったバッグを持つ。


「朝ご飯はコンビニで買っていくからいらないわ」

「分かった」

「それじゃ、行ってくるわね」

「いってらっしゃい」


 そして、母さんは雪が降り続く中、出勤したのだった。


 ……大雪の中、お疲れ様です。



 次回、2022/07/06 07:00頃投稿予定!

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