表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第2章 移ろいゆく関係の末は
135/237

#135 遂にこの時が来た……



「皆さんには、もうそろそろ文理選択をしてもらいま~す」


 先生の緩くも、しかし真剣な内容のその言葉に、一斉に教室中が騒めく。

 俺はというと、驚きよりも先に、遂にこの時が来たかー、という思いが来た。


「それでは、プリントを配るので、希望する方に丸をつけて下さいね~。提出期限はプリントに書いてある通りで~す」


 そう言って先生はプリントを配り、さっさとSHRを終わらせた。

 先生が教室から出て行くなり、早速五十嵐は俺の肩を突っつく。


「ねえねえ慧、『文理選択』ってナニ?」

「知らないのか⁉」


 待て待て五十嵐さ~ん、文理選択も知らないでこの学校に転校してきたのかな~⁉

 将来が変わる重要な分岐点だというのに……いくらなんでもヤバすぎる!


「文理選択っていうのは、主に国語や社会、英語を専攻する『文系』と、主に数学や理科を専攻する『理系』のどちらに進むのかを決めることだ。この学校では、高校二年生、つまりあと三カ月くらいで文系と理系に分かれるんだ」

「えぇ⁉ そうなの⁉」


 俺はプリントを五十嵐に回しながら説明する。

 てか、これまでに何回も授業中とか色々な場面で『文理選択』っていう言葉が出てきていたでしょうが……。


「どっちがいいの?」

「絶対にこれがいい! っていうのはない。自分が何を学びたいのかを考えて、選ぶのが一番だ」


 えーどうしよう……とプリントを手に持ったまま悩んでいる五十嵐を見ていると、今度は前から声がかかる。


「んで、慧はどっちにする?」

「そうだな……まだ確定じゃないが、理系にしようと思っている」

「じゃあわたしも理系にする!」


 おい、さっきの話聞いていたのか⁉ 自分に合った方を選ぶんだよ! 人と同じにするんじゃなくてさ!

 でもまあ、実際五十嵐はどの教科でもよい成績を取っているし、ぶっちゃけ文系でも理系でも行ける気がするんだよなぁ……。あ、でも数学がダメだから理系は難しいか。


 文理選択の厄介なところは、どちらに属する教科もほぼ同じ成績だった場合、どっちを選ぶか非常に迷うところだ。俺は特に得意な科目も苦手な科目も無いので、結局どっちに進んでも学力的な難易度はあまり変わらないと思う。理系にしたのは、理系の方が就職などに有利そうなイメージがあるというのが主な理由だ。


 もちろん、迷いやすいのは俺みたいなどっちも中途半端な成績を取る人だけではない。全ての教科ができる人も、また同様だ。例えばそう、オールマイティーにできる学年トップ層の水無瀬とか……。


「フフフ……我が学力をもってすれば、この『運命の選択』も無意味……」


 誰からも聞かれていないのに、示し合わせたように当然呟き始める水無瀬。しかも内容がいちいちうぜぇ。ちょっとムカついたのでノートを丸めて軽く頭を叩く。


「うぅ~」

「お前は良いよな頭がいいから」


 クソッ、羨ましい!



 次回、2022/07/03 07:00頃投稿予定!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ