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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第2章 移ろいゆく関係の末は
132/237

#132 何があった⁉



 ふと時計を見ると、いつの間にか長針が六を、短針が六と七の間を指していた。

 遅れを取り戻そうと必死になっていたら、前回の休憩からいつの間にか三時間くらい経っていた。


 やっぱ、夢中になるとつい時間の流れを忘れてしまうなぁ。


 そろそろ夕食時。かなりお腹も空いてきた。

 確か、母さんは朝、『夕食は舞に買ってくるように頼んでおいた』と言っていたな。ならば、俺の夕食は姉ちゃんが持っているはずだ。この時間なら、もう家に帰ってきているはずだし、貰いに行くか。


 そう思ってノートを閉じて椅子から立ち上がると。


「けい~」

「くぁwせdrftgyふじこlp⁉」

「何その叫び声……」


 ビックリした……。五十嵐かよ。最近、ますますステルス性能がよくなっている気がするぞ! 主に俺に対して。ってか、ドアが開く音さえ気がつかなかった。これはもしかして俺の耳が悪くなったということなのか? 鈍感難聴系にはなりたくねぇ!


 そして、俺は五十嵐のその顔を見て、思わず問いだたした。


「五十嵐。お前、飯、食ったんだよな?」

「う、うん……」

「じゃあ、なんでダメージ食らっているんだ⁉」


 五十嵐は見事なまでにゲッソリしていた。え? 食事って体力を回復させるためのものじゃないの⁉ 逆にダメージを受けているなんておかしい!


 五十嵐はコンビニのおにぎりと野菜サラダを机の上に置く。姉ちゃんの代わりに持ってきてくれたのか……。


 それにしても、何故五十嵐はこんな様子になってしまったんだ⁉


「五十嵐、お前今日の夕食、何を食べた?」

「……煮」

「に? に、って数字の二、じゃなくて、『サバの味噌煮』とかの『煮』か?」

「そう……」


 『~煮』なら聞いたことあるが、『煮』なんていう料理は初めて聞いた。名前から想像すると、つまりこの『煮』というものは……。


「まさか、野菜を水にぶち込んで煮たものを食べさせられたのか⁉」

「……そう」


 マジかー! しかし、コンビニでそんな料理が売っているはずがない。とすると、これを作ったのは……。


「あんの姉ちゃんんんんんんんんん!」


 脳裏に『へへーん、私だって料理はできるもんね!』と得意げになっている姉ちゃんが浮かぶ。ジャイ●ンシチューよりかはマシだけど、それでもものすごい味の料理であることには違いない。


 もう姉ちゃんには『料理禁止令』を出すしかないな……。このままだと、家庭が内側から崩壊しかねない。


「慧……いつも料理を作ってくれてありがとう」

「唐突だな⁉」

「今日の夕食で、慧の偉大さを知ったよ……」


 五十嵐のこの言葉を聞いて、明日から何が何でも台所に立とう、と俺は決意したのだった。



 野菜の水煮はスーパーで売られているみたいですけど、それ単体で食べるようなものじゃないと思います。

 次回、2022/07/01 19:00頃投稿予定!

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