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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第2章 移ろいゆく関係の末は
130/237

#130 勉強だけなら……。



「それじゃ、仕事に行ってくるわね。ここにお昼ご飯、置いていくわよ」

「うん」

「あと今日は遅くなるわ。だから、夕食は舞に買ってくるように頼んでおいたわ」

「分かった。いってらっしゃい」


 母さんはコンビニのおにぎりと、経口補水液のペットボトルを俺の机の上に置くと、仕事へと出かけた。

 既に、五十嵐や姉ちゃんは学校に行った後。下で玄関のドアが閉まる音がして、俺はこの家で一人ぼっちになる。


 それにしても、コンビニのおにぎりねぇ……。本当ならお粥などがベストなのだが、飯だけでも用意してくれるだけありがたいと思わなくてはいけない。今回俺が病気になったことで、この家の料理番がいなくなるとこんなことになるということを体感できた。地味な役割だとは思っているが、俺の必要性を感じて、少し嬉しい気もする。


 本当なら、今すぐにでも台所に立って料理を作りたいところだ。熱ももう平熱には戻ってきているし、関節部分がまだ若干痛いが、もう普通の生活を支障なく送ることができるくらいには回復している。


 だが、『念のため今日までは布団の中で休んでおきなさい』と母さんに言われたので、俺は大人しく今日一日は布団に引きこもることにする。健康に勝るものは無いからな。


 あー、それにしても頭が痛い……。ここ数日で生活リズムが崩壊したせいだろうか。夜中に目が覚めることもあるし、昼間にどうしようもなく眠くなることもある。だが、俺の本能はそれを許さないから、猛烈に変な感覚になる。本当に大丈夫だろうか? 学校が始まったらいったいどうなってしまうのだろうか……。


「……はぁ」


 このままだと、俺が学校に行けるのは明後日からになる。なら、今のうちから生活リズムを戻しておいた方がいいのでは?

 それに一週間くらいずっと休んでいる間に、学校の授業もかなり進んでいるだろうし。今の暇な時間を勉強に充てるのが、時間の有効活用だろう。

 勉強だけならあまり動かないし、体もあまり使わないから大丈夫なはずだ。使うのは脳みそだけだし。


 しかも、俺の机の上には五十嵐が置いていってくれたのか、今日の授業では使わない教科の五十嵐のノートが置いてあった。俺がこう考えるだろうと思ったのだろうか? エスパーかよ。


 なんにせよ、ありがたく使わせてもらおう。俺はベッドから出ると、椅子に座り、ノートを手に取ってパラパラとめくる。さ~て、内容はどんなもんなのかな~?


 結論から言うと、五十嵐のノートは凄かった。


 ……めっちゃ分かりやすいなコレ! 俺に配慮してくれたのか、はたまた元からそうなのかは知らないが、所々に注釈が入っているし、字も綺麗だし、レイアウトも見やすい。授業を受けていない俺でも、まるでその授業を生で受けていたような気にさせてくれる。


 これ、参考書として出版したら絶対人気になるやつじゃねえの……。


 ま、それはそうと、分かった『気』になって慢心するのはマズい。きちんと人に説明できるくらいに理解しなくてはならない。塾のCMでもよくこういうことを言っているしな! とにかく勉強しますか!



 次回、2022/06/30 19:00頃投稿予定!

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