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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第2章 移ろいゆく関係の末は
124/237

#124 リアル伝●病株式会社



 倒れてから約二時間後。俺は母さんと、車で病院へ向かっていた。


 目を覚ました時、俺はソファーの上に寝かされていた。そして、外套を纏った母さんがやって来て、『病院に行って診断してもらうわよ』と告げられたのだった。

 どうやら母さんは倒れた俺をソファーの上まで運んでくれて、それに病院に電話をして予約を取ってくれたらしい。


 それにしても、これは完全にインフルエンザだろうな……。あー、だるい。


 俺たちの乗った車は空いている道路を進み、約十分後に目的の病院に辿り着いた。そういえばこの病院に来るのはいつぶりだろう? たぶん半年ぶりくらいだな。とても懐かしい。


 車から降り、自動ドアをくぐると、そこには平日のお昼時だというのにたくさんの人。患者は子供から大人まで様々だ。かなり辛そうに咳をしてる人もいる。


 受付では、約三十分待ち、と言われた、俺はソファーに腰掛けてひたすら待つ。


 あー、暇だなー。やることは無いし、本は置いてきちゃったし、スマホはやったら余計に体調が悪くなりそうだ。俺は正面にあるテレビモニターをボーっと眺める。


 テレビではお昼のニュース。ちょうどインフルエンザが大流行中という内容だった。『インフルエンザワクチンの不足のため、全国でインフルエンザが蔓延中』だってさ。俺はワクチンを打ったにもかかわらず罹ったんだが。

 それにしても、今年は本当に流行しているようだ。テレビ画面に映し出された地図は、北海道以外全て『インフルエンザ流行警報』で赤く塗り潰されている。リアル●染病株式会社じゃねーか……。


 そんなことを思いながら、ひたすら熱でボーっとしつつ、テレビをなんとなく見ていると、『雨宮慧さーん』と俺の名前が呼ばれた。


 『はーい』と返事をする……ことは無く、小さく手を挙げて、俺は重い腰をあげて、無言で母さんと一緒に診察室に入る。


 診察室に入ると、俺は椅子に腰かけた。医者が回転椅子を回してこちらの方を向き、俺に症状を聞いてきた。

 俺はなるべく細かく今自分に起こっている症状を説明する。熱・咳・喉の痛み・だるさ……一息に列挙していたら想定外に長くなってしまい、ちょっと息が切れた。はぁ……。


 医者は俺の症状を聞くと、迷わずにインフルエンザの検査キットに手を伸ばした。そして、早速検査を始める。


 そして、その結果は……。


 ……まあ、そんなにドキドキすることではない。自分でも分かり切っている通り、俺はインフルエンザと診断されて、見事なフラグ回収を果たすことになるだろうな。


 だが、現実は俺の予想の斜め上を行く。


 医者は検査結果を見ると、俺の方に向き直る。


「インフルエンザのA型とB型に感染していますね」

「ああ、はい……」


 ……ってんんんんんんんん? 今この医者、『インフルエンザのA型とB型に感染している』って言ったよね? マジ☆すか。インフルエンザに罹っていることは分かり切っていたから生返事しちゃったよ! てかインフルエンザで同時にA型とB型に罹ることってあるんだ! これで、俺はまた一つ賢くなった。


 それにしても同時感染か……。重症化しなきゃいいんだが……。


 俺は一抹の不安を覚えながら、『ありがとうございました』と診察室を後にするのだった。



次回、2022/06/27 19:00頃投稿予定!

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