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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第2章 移ろいゆく関係の末は
114/237

#114 俺いらなかった説②



 俺はアリスを彼女の家まで送っていくことになった。


 現在俺たちが歩いているのは学校の近く。我が家からは電車を使って約二十分かかる場所だ。アリスの家はどうやらこの辺にあるらしい。


 それにしてもなぁ……俺、帰っていいかな?

 ため息をつきながら、俺は家を出た時にアリスから言われたことを思い出す。


「いい⁉ アンタはあたしの三メートル後ろを歩きなさいよ! もし変態男があたしめがけてやって来たら、身を挺してあたしをガードするのよ! いいわね⁉ あ、あと誤解しそうだから一応言っとくけど、別に守って欲しいとかそういうんじゃないんだから! あたし一人で変態は蹴散らせるけど、アンタにわざわざ守らせてあげてるんだからねっ!」


 何なんだよ『三メートル後ろを歩け』ってさ……。もし前から変態がやって来たら、俺、カバーできないよ?

 あと身体能力もそこまで高くないし……。もしムキムキのナイスガイが突っ込んで来たら、俺、普通に吹っ飛ばされる自信しかねえからな?


 それに、頼まれてもいないのに五十嵐が『慧がやるならわたしもやるー!』とか言い出して、勝手についてきているし……。そんでちゃっかりアリスの隣を歩いているし……。


 あ、コレ、俺、不要だわ。こっそり家に帰ってもたぶんバレないやつだ。


 それでも、俺は帰らないで二人の数メートル後ろをついて行く。逃げ帰ろうとしたらなんかすぐにアリスにバレそうだし、帰れても姉ちゃんになんだかんだバレそうな気がする。


 というか、これじゃ俺がストーカーしているみたいに見えるよな! この前まではアリスが俺をストーカーする側だったのに……。はっ、もしかして俺をストーカーに仕立て上げることで、俺をストーカーしていた事実を上書きしようとしているのか⁉ ひえー、恐ろしい恐ろしい……。

 かといって二人に近づくとアリスに怒られそうなので、俺は周りの人に勘違いされないように、無関係のフリをすることにした。


 それにしても、姉ちゃんの指摘は正しかったようだ。二人から少し離れて道行く人々を観察していると、アリスのエキゾチックな見た目に加え、五十嵐と美少女コンビをなしているということも相まって、道行く人の視線をかなり集めている。もしアリスが一人だったら、声を掛けてくる輩がこの中にいてもおかしくはないだろう。


 そんなことを考えている俺の耳に、前を歩く女子二人の会話が聞こえてくる。


「ねえ、そういえばアリスってもう家は決まったの?」

「もちろんよ。これがあたしの家」


 そう言ってアリスが指をさした先にあったのは、俺たちの目の前にそびえ立つ高層建築物。


「え⁉ あれってつい最近建てられたマンションだよね?」

「そうよ。あの最上階があたしの家よ!」

「すごーい! お金持ちー!」


 マジで⁉ コイツ高級マンションに住んでんの⁉ 天使の癖に豪華だな!

 俺たちはそのタワーマンションのオートロックの前まで来る。


「だけど、一つだけめんどくさいことがあるのよ」

「何か不便なことでもあるの?」

「ううん、そうじゃなくて……」


 アリスは一旦そこで言葉を切ると、はっきりと言った。


「実はまだ、マンションの部屋代を一銭も払っていないのよね」


 ……へ?



次回、2022/06/22 19:00頃投稿予定!

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