すぎゆき流るる
僕は走る。あなたを求め。「行くな」と、叫ぶ。
それは夢で、目覚めれば、泣いている。
伝えれば簡単なのに、手を伸ばさなかった。
いつまでも、後悔する。
追いかけない愛は、宙ぶらりんのまま。
僕だけが知っている。
あの時、踏み出さなかったことを。
傷つくことを恐れてた。
あなたが消えて、のこされたのは僕だけだった。
僕は今、あなたに傷つけられなかったことを後悔している。
求めなかった過去にさいなまれ、
自傷痕は、いまだじくじくと、僕を燻す。
夢のなか私は憂う。
この人は私を乞うている。
知らんぷりして笑って過ごす。
さよならを言わずに、消えた。
名前だけ憶えている。
どこにいるとも知れないあなた。
僕は伝えず。
私は逃げた。
交差して、通り過ぎ、愛は流るる。