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万物通販は万物

 5歳で前世の記憶が戻ってから3年、8歳になった。

 これまでナーシャに教わりながら魔法と剣の訓練をしてきた。

 そしてやっと訓練で得た魔物の素材を売ったお金と小遣いを貯めたお金で万物通販で初めての買物をする。

 空想すら購入出来る、先ずは検索。

 漫画やアニメの物も購入可能である。

 例えば、身体がゴムになってしまう実やドコニデモ行けるドア、他にも聞いた事も無い金属、聖剣、魔剣等の武器も購入出来る。

 値切りの隠匿スキルが適用されているので半値で購入可能なのだ。

 今回は時間停止が付いた無限収納の皮バックを購入した。

 お値段金貨10枚、日本円で約1千万円。

 たまたま狩れたユニコーンの角が金貨8枚で売れたのは大きい。

 魔物の素材は高値で取引されている。

 しかしハイリスクハイリターンである、この世界の死因第一位は【魔物による死亡又は行方不明】なのだ。


 それから半年後、

 今日は洗礼式である。

 日も落ち始めた頃、着飾った子供達が教会に入っていく。

 最後に領主の子である俺が入場して式が開式した。

 

 「これより開式する。空より高い天より使わす天使様。今日、8歳を迎えた子供達をどうか御祝福下さい。では、入場順に私の前に」

 司教の前に立つと手を頭の上に置く、すると子供の身体が光りを放つ。

 光は個人差があって強弱や色が皆違う。

 最後は俺の番である。

 司教が手を頭の上に置く。

 俺は神に祈った。

 すると眩い光が教会内を満たす。

 天使の描かれたステンドガラスを通った光は夜空にそれを映す。

 しかし映ったのは天使ではなかった。

 そう、それは神である。


 光が収まるといつもは明るい魔石の灯りも暗く感じる。

 子供達はザワザワと騒ぎ始める。

 外で見守っていた親達は夜空に映った光に言葉を失っていた。


 「とんでもない力だ。君は天使に愛されている。これからも精進する様にね。それでは洗礼式を終わります」

 外に出ると外は暗く、ランプを持ち待つ両親の元へと駆け寄る。

 「帰ったら御馳走が待ってるぞ」

 「そうね、早く帰りやしょ」

 両親の手を握りながら帰路に着いた。

 

 リビングで家族の前でスキル発表だ。

 司教に手を置かれると頭の中にスキル名が浮かぶのだ。

 「眩い光だった。物凄いスキルを手に入れたのではないか?」

 「凄いかわかりませんが…。万物通販と言うスキルのようです。どうもありとあらゆる物、空想のものまで購入出来るスキルと見えました」

 「そうか。戦闘系スキルではなさそうだな。よかった」

 「何か購入してみませんか?」

 どうやら長男が興味津々といった様子である。

 「うん、空想の物も買えるのだな?では、子供の頃から好きな小説に出てくる魔剣グニエルを頼む」

 「魔剣グニエルですね…。ありました。敵だけを斬る斬撃を放つ魔剣ですね」

 「おおーそうだ。味方には傷一つ付けないと言う魔剣だ」

 「金貨200枚です」

 「本物だとしたら安いな」

 そう言うと執事に金貨200枚を持って来させる。

 スキルの画面に金貨の入った袋を入れる。

 画面の見えていない家族には金貨が消えたように見えた。

 「金貨が消えた。これで購入出来るのか?」

 父が童心に帰った様に目をキラキラされてこちらを覗く。

 購入決定ボタンを押すと、俺の手に魔剣グニエルが握られた。

 「おおーこれが魔剣グニエルなのか?」

 「はい。これは父様の魔剣グニエルです」

 「軽いな」

 「軽く振ってみてください」

 「おお、こんな感じか?」

 剣を振るうと光の斬撃が放たれるが、家すら斬れてはいなかった。

 「早く敵に当ててみたい」


 「俺にも1ついいか?」

 「勿論です」

 兄が目を輝かせて言う。

 「俺は魔法を極められると言う賢者の杖が欲しい」

 「わかりました」

 検索すると数多くの賢者の杖が出てくる。

 その中で魔法を極められると補足にあった賢者の杖を見つけた。

 「金貨350枚です…」

 「流石に高いか」

 「いいだろう、私が出す」

 父がそう言って金貨が運ばれてくる。

 

 購入した賢者杖が手に握られた。

 『魔法を極めました』

 ナーシャの声が響いた。

 『え?』

 兄に賢者の杖を渡すと嬉しそうにはしゃいでいる。

 『ナーシャ、俺が魔法を極めてしまったけど大丈夫かな?』

 『ええ、あの杖を触った物全てに恩恵が与えられます』

 『よかった』

 ホッと胸を撫で下ろした。

 

 母は真顔になってこちらを向いた。

 「私は綺麗になりたいわ」

 「は、はい。いつも綺麗ですよ」

 「そうじゃなくて、綺麗になれる何かが欲しいの」

 「はい」

 社交界の華とも言われた母も進みゆく時間には勝てない様だ。

 「では、肌が10歳若返ると言う化粧水は如何ですか?」

 「貴方、買ってください」

 「わ、わかった。いくらだ?」

 「1つで銀貨100枚です」

 「お、安いな。100個買おう」

 日本円で10万円の化粧水…安いのか?

 そう言うと金貨10を用意する。

 袋に入った100本分の化粧水がテーブルに置かれた。

 どうやら俺が持てる者は手に、持てない物はテーブル等に置かれる様だ。

 母は袋から1瓶取ると一目散に寝室へと向かった。


 翌日、本当に若々しくなった母を見て父が終始ニヤニヤしながら愛でていた。

 「アッシュ、ありがと。あの人がまた私に夢中よ」

 幸せそうな母であった。

ご覧頂きありがとうございました。

ブックマーク、感想よろしくお願い致します。

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