スキル万物通販
最期は覚えていない。
何者かすら覚えていない。
だが、前世の記憶がある。
あやふやな記憶ではある。
ガルムス大陸の中央、ガンダルシア帝国の伯爵家の四男、アッシュベイル・フォン・ラスターグ5歳。
前世の記憶が蘇り頭を抱えていた。
『これはどういう事だ?俺の前世の記憶?』
『はい。俺は貴方の前世の記憶です』
「だ、誰だ?」
『名はありません。隠匿スキルであるナビゲーションです』
「隠匿スキル?」
『はい、この世界では1人につき1つのスキルしか与えられていません。これはこの世界の信仰対象が神ではなく、神の小間使いである筈の天使であるが故に神の怒りに触れました。貴方は神を信仰する代わりにスキルを複数個所持出来ます。しかも、条件を満たせば後から覚える事も出来るのです』
「へー」
『後、私との会話は念話で出来ます。声に出すと変人に思われてしましますよ。クスクス』
『笑うな。でも、スキルは8歳の洗礼式で教会から祝福されないと貰えないんじゃなかった?』
『神は万能ですが、1人に1つのスキルを与えるなんて面倒なのです。ですから1年に1回同じ年齢の者達を集めて行われる洗礼式でスキルを1つ与えているのです』
『確かにその方が楽だね』
『では、ステータスと唱えて下さい』
「ステータス」
目の前に現れたのは自分のステータス画面だった。
名前 アッシュベイル・フォン・ラスターグ
年齢 5歳
種族 人間
レベル 1
HP 20
MP 300
スキル 万物通販[スーパーウルトラエクストラ]
隠匿スキル ナビゲーション[エクストラ]万物鑑定[ウルトラレア] 万物料理人[ウルトラレア] 魔法剣士[スーパーレア] 豪商[スーパーレア] 豪運[スーパーレア] 身体強化[レア] 値切り 釣り
『うん、凄いけど万物系が多いけど…。なにこれ?』
『万物とは文字通り宇宙にある全ての物と言うことになりますが…このスキルに関してはそれ以外にも架空、想像、思想等の空想の物もそれに当たります』
『それってヤバくない?』
『はい、この世界を牛耳り神の信仰を取り戻しましょう』
『えー!?所で名前ないんだよね?俺が呼びたい時に不便だから名前を付けてもいいかな?』
『勿論です。可愛い名前にして下さいね』
『何故だろう後半感情が死んでたな。まぁいい、ナビゲーションだから…ナビゲーショ…んーナーショ…ナーシャ、うんナーシャだ』
『はい。私の名前はナーシャ、気に入りました。これからナーシャとお呼び下さい』
『よろしくナーシャ』
トントン
「アッシュベイル様、お食事のお時間です」
ドアの向こうからメイドの声が聞こえてくる。
「うん、今行く」
リビングには家族が待っていた。
父はこの地の領主で陸軍大将を務めるノアガルム伯爵、母は軍の総大将、国防大臣の娘であるガーベラ。
長男は18歳で学園を卒業後、陸軍に入隊し現在小隊長を務める。
次男から三男までは王都の学園で寮生活を送っている。
次男ダジリクス、三男ユカアダル。
長女マリーゴールドは長男と双子で、陸軍で軍医をしている。
言わずと知れた軍家系なのである。
スキルも上級魔法使い、上級、中級剣士等戦闘特化である。
俺のスキルを見たらガッカリする事だろう。
「アッシュは将来の事は考えているのか?前にも言ったが軍に拘ることはない。何かあった時、お前だけでもこの地を継げる様に…嫌、気にするな」
「そうですね、旅に出たいです。この世界を見て周りたいです」
「それはいい。応援するぞ」
「ありがとうございますお父様」
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