撃退と着想
私が昔ラブコメ書いてた(しかもそれがそこそこ人気だった)とかこれだけ読んだ人信じてくれるんだろうか
「助けるぞ!」
シャーリーにそう言うと同時に俺は剣を抜いて飛び掛かる。
敵は5人。国を相手にしようというのに少ないとは思うが、俺たちが二人である以上不利な戦いには変わりない。
勢いよく飛び掛かり、背後から不意討ちを仕掛けるもののギリギリでかわされ、俺の攻撃は男の腕を浅く斬るに留まった。
「なっ、なんだてめえ!」
「悪いが亜人の国を狙わせるわけにはいかな・・・てめえ?」
あれ、シャーリーが居ない。
・・・よく考えたらシャーリー、初陣か?前に医者に襲われたのはとても戦闘とは言えないし、何より今シャーリーは武器を持っていない。
しまった、もっと先に揃えるべきものがあったか・・・!
「人間のくせになんで邪魔しやがる!」
「事情があってな。・・・何故亜人の国を狙う?」
「へっ!あいつら捕まえて売りさばけば大金が手に入るから・・・よっ!」
慣れた手つきで剣を振る。殺したくない、という風な迷いは感じられない。
そうして一人の攻撃に手間取っている間に他の三人が俺を囲む。
・・・三人?五人組じゃなかったか?
「死にやがれ!」
「っと・・・」
さて困った。俺はそれなりに強くはあるが、単純な剣の腕はせいぜい上位騎士といったところだ。五人組・・・四人組を相手にするには少し足りない。『誤認魔法』を使おうにも一度にかけられるのは一人までだ。
さて、どうしたものか・・・
「ともかく人数を減らさんとどうしようもないか・・・」
とはいえ死んでは元も子もない。四人の攻撃を丁寧にかわしつつ、合間に蹴りなどの細かい攻撃を挟む。そうして攻撃をかわすことに手一杯だという印象を焼き付けて、少し力が入った攻撃をーーー
「『障壁』ッ!」
ーーー弾き飛ばし、その瞬間に剣を振り抜ーーーこうとしてやめ、剣の側面で顔面を思い切りぶっ叩き、昏倒させる。
「野郎ッ!」
「あと三に、ん・・・?」
見てしまった。
残り三人のはずの男たちが残り二人になる瞬間を。
木の上から音もなくシャーリーが飛び降り、一番後ろに居た男を一瞬で締め落とし、男を木の陰に隠すのを。
「・・・」
シャーリー、居ないと思ったらそんな暗躍を・・・
シャーリーの活躍により残り二人。二人ならどうとでもなる。『誤認魔法』は一人の認識を強制的に書き換える。全てシャットアウトして無力化してもいいが、そんなにかけ続けると魔力がなくなるので・・・
「・・・どうやら俺の本当の姿を見せねばならないようだな・・・」
「はあ?何を言ってやがる」
「行くぞ・・・『誤認魔法』」
わざと大仰に言って一人に『誤認魔法』をかける。彼には俺が変身した異形の化物が彼を除いた四人をグロテスクに食い散らかしている映像を見せておいた。
当然・・・
「うわ・・・うわああああああっっっ!!!!???・・・・・・ああぁ、あ」
「なっ・・・何をしたんだ、お前ええぇぇっ!!」
「さあ、後はお前だけだ」
一人は気絶。もう一人も果敢に突っ込んでくるが・・・
四人がかりで倒せなかった俺が倒せるはずもなく。
あっけなく俺の攻撃で気を失った。
「全滅させたぞ」
「・・・驚いた。強いのね」
「まあな。・・・つーかお前もな」
誰にも気づかれず二人も影にさらうというのはかなりの神業だろう。少なくとも俺にはできないことは間違いない。
「で、なんで殺さなかったの?」
「最低でも国民の憂さ晴らし、最高で人間との貿易役、妥当なとこで労働力。無限に使いようがあるからな。生かしてて損はない」
国にさえ入れてしまえばまず逃げ出せない。人間である彼らはどうしても目を引くし、監視がついているようなものだ。
反旗を翻したとしても、武器を全て引っぺがしておけば一人すら殺せないだろう。先ほどのシャーリーを見る限り人間と亜人にはそれくらいの差がある。
「・・・なるほど。本当に国のことを考えてくれてるのね」
「そうか?ま、人間が亜人を奴隷化しているのと似たようなもんだ。仕事を与えて働かせれば・・・」
そう言った瞬間、俺の頭にある考えが浮かぶ。
工芸品の製作はずっとじゃなくていい。最低食糧生産が追いつくまで国が保てばいいのだ。
それなら、技術育成は最低限でいい。一部の比較的器用な亜人に工芸の修行をさせて、残った人員は食糧生産に回せる。
効率のいい育成システムさえあれば。
教師さえ、居れば。
「シャーリー、こいつらを乗せてさっさとムガルの所に戻ろう」
「・・・何か思いついたの?」
「ああ。向こうが亜人を奴隷として使うならーーー俺たちも、人間を使う」
気絶しているはずの男たちが身じろぎした。何か悪い夢でも見ているかのように。
私毎回2話書いて二日くらい空けて投稿してるんですけど、一話にまとめた方がいいですか?
コメ稼ぎとかじゃなく真面目に