第7話 喜悦
「ま、魔法?」
刀袮は、日頃から読書が趣味の一つだった。子供の頃、施設に入ってから、本を読みふけった。
そして、刀袮の好きなジャンルの、一つが図鑑などの専門書だった。刀袮は世界の広さを知った頃から色々な事を調べ学んだ。
だがそれと同じ程好きなジャンルがある。それがライトノベルなどの、フィクション作品だ。
刀袮は、自分に無いものを欲すタイプだったため物語の中で自分のできない事をしているのが、珍しく映ったのだろう。
そして特に刀袮の求めたものそれが魔法や魔術などの非科学的なものだった。まぁいわゆるヲタクや中二病な一面もあったのである。
「ま、魔法って手から炎を出したりする奴?」
刀袮は、真剣な表情で、しかし何処か欲しい玩具を前にした子供のようにヤルダバオトに問う。
「まぁ、その世界にもよるけどそうゆうのもあるね」
ヤルダバオトは少し戸惑いながら答えた。
刀袮は、喜悦した。それも無理はないだろう。誰だって欲しいが手に入らないとわかっているものが手に入るかもしれないと思えば喜ぶものだろう。
刀袮は、暫し喜悦した後、真剣な表情になりヤルダバオトに問う。
「なぁ、ヤルダバオト、君は一体何なんだ?あのゲッケイジュは、誰なんだ?そして、、、魔法とは?」
ヤルダバオトはひと呼吸置いたあとに答える。
「まず、この後の事を聞いたら、もう後戻りはできないかもしれないよ、、、いいの?」
刀袮は暫し思考する。
後戻りとは、今まで通りの、起きて、学校に行き、帰り、寝る。それがいつもどうりにできなくなると言う事だろう、そんな、つまらない人生はいらない。と、刀袮は軽く考えていた。
確かに日本には、大事な人がいないわけではない。施設の育ての親等だ、 、だが刀袮は、感謝はすれど信頼も信用もしない、【自身が危なくなれば切り捨てる。】、【どうせ、裏切られるんだ。】だったら最初から信用しない。
いつからだろうか、刀袮は人を色眼鏡を無しで見られなくなったのは。
それに、、、魔法それが刀袮の心を動かした。
「あぁ」
刀袮は(とおや)は、小さく、しかし確かな決意を持って答えた。
ヤルダバオトはそれだけ聞くと満足そうに頷き語り始める。
「まず、僕はヤルダバオト。この世界の、神だよ」