第41話 ”魔王城”
「ここが、魔王城のある、黒の街だよ。そして、あのおっきなお城、と言っても山をくり抜いただけだけど、あれが魔王城だね」
そう言いながら、パンフレットを閉じるヤルダバオト。
「なぁ、どゆこと?」
「魔王城は、おっきなテーマパークになってるんだって、まぁ、表向きはって事だと思うよ、知らないけど」
そう、魔王城のある黒の街は、巨大テーマパーク、”魔王魔導国”になっていたのだ。
「ふーん、まぁ、魔王城乗り込むか」
「なんか、魔王城もアトラクションらしいよ、一番人気で、最悪五時間待ちだって」
「おいおい、どこのテーマパークだよ。ネズミ出ないだろうな」
「ははは、出るかもね。まぁ、取り敢えず宿とろうか」
そう言って、ヤルダバオトはパンフレットを確認する。
「うーんと、こっちだね」
そう言って、指を指すと、歩き出す。
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「なぁ、お金はどうするんだ?」
刀袮は、宿屋に着くと、当たり前の疑問を思い出す。
「あぁ、同じだよ、マザーと金神様は、仲が良かったからね、ユーロみたいな感じかな」
「ふーん、ならいいか。じゃあ、ちゃっちゃと取っちゃおうぜ」
そう言って中にはいると、ヤルダバオトが部屋を取り、支払いを済ます。
「部屋は、あんまり変わらないんだな」
そう言って、部屋の中に入ると、持ってきた荷物を下ろす。
「ふぅ、ちょっと疲れたな。あぁ、風呂入りたいなぁ。なぁ、風呂がある世界は無いのか?」
そう、前の世界もこの世界にも風呂はなく、濡れたタオルで拭くか、【洗浄】で汚れを落とすのだ。
「そりゃああるよ。でも、風呂があるぐらい、進んだ世界に行くのは、まだ先かな。まぁ、今は僕が【洗浄】してあげるけど、そのうち自分で覚えてね。排他的、【洗浄】【洗浄】」
そう言って、ヤルダバオトは、自分と刀袮に【洗浄】の魔術をかける。
「サンキュー。よし、じゃあ作戦会議するか」
そう言って備え付けの、椅子に座る。
「そうだね、と言っても普通に魔王城アトラクションになってるんだから、そのまま行けばいいんじゃない?」
「そもそも魔王城って、どんなアトラクションなんだ?」
「えーっと、ちょっと待ってね」
そう言って、パンフレットを取り出すと、机の上に広げる。
「えー、あ、あった。うーんとね、最悪最強の魔王アバロン様に会おう。黒軍入隊試験にクリアしてアバロン様と会おう(最難関をクリアすると、実際に黒軍に入隊できます)※最難関以外は、アバロン様ではない方が対応します。だって」
そう言って、パンフレットの【アトラクション】”魔王城”の説明を音読する。
「ん、てことは最難関クリアしないと、魔王には会えないって事か?」
「多分、そういう事だね。と言うか、黒軍って何だろうね。後で聞いとくよ。まぁ、今日は情報収集して、明日【アトラクション】”魔王城”に挑戦して見ようか」
「そうだな、じゃあ何処から行く?」
そう、テンション高めに言う刀袮。
「完全に、遊ぶ雰囲気じゃん。まぁ、良いや。取り敢えず、ここから行こっか」
そう言って、パンフレットの真ん中辺りの村を指差す。
「了解。じゃあそこ行くか」
そう言って二人は、宿屋の外に出る。
「うーんと、”魔王城”までは、結構距離あるけど、馬が借りれるらしいよ、刀袮は乗馬覚えてね欲しいからね、馬借りよっか」
そう言いながら、歩き出す。
「乗馬かぁ、やったこと無いな。楽しそうだな、ヤルダバオトは乗れるのか?」
「ん?僕は、乗れるよ。馬もラクダも基本乗れるよ」
「ヘー、ラクダかぁ、良いな。乗ってみたい」
「その前に馬でしょ」
「そうだな、お、あれか?」
そう言って、刀袮が指差した先には、大きな馬小屋がある。
「そうだね、あれが馬小屋だね」
「でも、かなりでかいな。てか、牛もいないか?」
「居そうだね、馬小屋と言うよりか、厩舎だね。取り敢えず入ろうか」
中に入っていくヤルダバオト、刀袮はその後に着いていく。
「すいませーん、馬を二頭借りたいんですけど」
中に入ると、カウンターに一人の男性がホンを読んでいる。
「おう、中に人が居るから、そいつに言ってこい」
そう言うと、すぐに本に目を戻す。
「あ、馬を借りに来たんですか?」
奥に入ると、馬にブラシをかけている人が居た。
「あ、はい。馬を二頭借りたいんですけど」
「了解です。この子以外なら、どの子でもいいですよ。好きな子を選んでください」
そう言うと、ブラシを再開する。
「じゃあ、刀袮選んで来ていいよ。僕も選んでくるから」
そう言うと、ヤルダバオトは中に入っていく。
「あー、そんな感じなのね。と言っても馬を選べって、選び方とか知らないしな」
刀袮が、一頭の馬を見ると、下の方に看板がある。そこには、名前や速度、体力、最高速度等、簡単な説明が書いてある。
「ふーん、こんな感じか」
刀袮は、馬を何頭か見ていると、一匹の黒い馬と目があった気がした。刀袮は、その馬に近付くと、少し屈み看板を確認する。
「全体的に能力高めで、バランス型なのかな?えーっと、少し気性が荒いが、その代わり能力は高い。へー、良いじゃないか、よし、こいつに決めた。でも、どうすれば良いんだ?取り敢えずヤルダバオトの方に行くか」
「あ、刀袮。馬は、決まった?」
「おう、決まったぞ。でも、どうすれば借りれるんだ?」
「あー、それはね。首輪の所に、番号があるでしょ、それを、受付の人に言えば良いらしいよ」
「そうか、じゃあ戻るとき番号見なきゃな。ヤルダバオトは決まったのか?」
「うん、僕は決まったよ」
刀袮達は、番号を見て、最初の受付の場所まで戻る。
「決まったのか?」
受付の場所まで戻ると、受付の人が話しかけてくる。
「あ、はい。十六番と、三十五番です」
「そうか。あ、乗馬は出来るのか?」
「僕は出来ますけど、この子は出来ないです」
「じゃあ、裏で練習して行くと良い。馬は、運ばせておくよ」
「ありがとう御座います。行こ、刀袮」
「そうだな」
そう言って二人は、裏口から出ていく。
「へぇー、結構広いんだな」
「はい、じゃあ取り敢えず、馬に乗って」
「え、どうやって?」
「ジャンプ」
「スパルタかよ。でも乗馬って、簡単に出来るのか?」
そう言いながらも、刀袮は馬に近づく。
「大丈夫、バランス感覚も上がってるから。あ、でも【身体魔法】は、かけといてね」
ヤルダバオトにそう言われ、【身体魔法】をかけると、馬の背中辺りに手をかけ、ジャンプで飛び乗る。
「お、とっとっ。おー、乗れた乗れた。しかも、落とされないぞ」
「気性が荒いって書いてあったけど、何か同じ匂いでも感じたんじゃない」
「馬とかそんなの、あるのか?」
「知らないけど、僕も乗らなきゃ」
ヤルダバオトは、真っ白い白馬に飛び乗ると、辺りを一周する。
「うん、悪くないね。刀袮、走ってみて」
「走るって、どうやってだ?」
「それはね、こういう事だよ」
そう言うと、ヤルダバオトは、刀袮の乗っている馬のお尻を、叩く。
すると、馬は驚いたのか、全速力で走り始める。
「うぉぉ、結構早いな。でも、、、これなら」
刀袮は、手綱を掴むと、見様見真似で動かす。
「えぇぇっと、こっちにやると右で、これが左か、でこれで減速ね」
「うん、それならすぐ慣れそうだね。僕お金払ってくるから、もう少し練習しててね」
そう言うと、ヤルダバオトは、厩舎の中に入っていく。
「加速はどうやるんだ?なんか叩くのかな?」
刀袮は、足で馬のお尻あたりを、少しける。
「うぉぉ」
すると、刀袮は馬から落ちる。
「あー、これは駄目なのね」
そんな事をしていると、ヤルダバオトが戻ってくる。
「大丈夫?刀袮。因みに加速は、左をけるんだよ。右は、んー、簡単に言えば、戦闘モードとかそんな感じかな」
「戦えるのかこいつ?」
「うん、その子は角馬と、普通の馬の混血だからね。因みに、僕の子は翼馬と馬の混血だよ。まぁ、そんな事は良いんだよ。行くよ」
そう言うと、ヤルダバオトは、柵を飛び越えると、先に進んでしまう。
「ちょ、早えよ」
刀袮は、すぐに、ヤルダバオトに追いつこうとするのだった。
ども、作者です
お読み頂きありがとう御座います。
少し遅れてしまいましたが、ご了承ください。
解説版ありますよぉおおおおお!!!!
ではまた。