第5話 ヒーローは共通の敵
ー刀袮8歳ー
「何見てんだよ」
「ちょっと、顔はやめときなって。学校でバレたら面倒だからさぁ。」
その部屋には男の殴る音と男女の会話が聞こえた。
「はぁ、知らねぇよ前の男の子どもなんだろ。てめぇ何ガンつけてんだよ」
「あーぁ、こんなんなら産まなきゃ良かった」
そう、刀袮は、恵まれない子供だった。
刀袮(の母親は売女。いわゆるデリヘルのようなところでで働いていた。そしてその際に客とできた子供が刀袮だ。母親はそのままでき婚をしたが、店員と客、体だけの存在。うまく行くはずもなく直ぐに離婚。
だが直ぐに新しい男との3人暮らしが始まった。母親と新しい男はは元旦那からの刀袮への養育費で生活していた。
刀袮は服も食事も満足に与えられず、押し入れから出ることさえ許されなかった。出る時は、学校以外は男に殴られる時のみだった。
そして刀袮は満9歳のときに世界は平等ではないと悟った。
その後直ぐに男は何処かに行ってしまった。
すると母親は、また同じような売女へとなり今度は男を家に呼ぶようになった。
その時、刀袮は押し入れに詰め込まれた。
そして刀袮の運命を変える出来事が起きた。
いつものように、押し入れに隠れているといつの間にか刀袮は寝てしまっていた。そして起きた時には押し入れのドアが空いており、男と母親に気づかれてしまった。
男は即出て行った。
すると母親は刀袮に向かって壊れたように「いらない、いらない」と繰り返しながら包丁を突き出し。その時、流石の刀袮も死を覚悟した。
その時だった。
「警察だ!!」
同じアパートの人間か誰かは知らないが、誰かが通報したのだろう。警察が突入し刀袮は母親の呪縛から、突如として開放された。
その後、母親は逮捕。刀袮は施設に入れられた。
そこで、刀袮は知識をつけた。今まで知らなかったことを、知れる。そんな事が刀袮の好奇心を掻き立てた。
刀袮は学校でイジメられてしまう。
子供のことだ施設に行っている、親がいないそんな事で共有の敵を作り数で暴力を振るう。まるでそれが正義の鉄槌の如く。そして母親代わりの施設の人間に、武術の師範を教えてもらいそこで武術を習う。やはり刀袮は、知らないことへの探究心が強く直ぐに強くなった。
そして刀袮の一番嫌いな事、それは。
裏切りだ。