第3話 逃げ腰の初陣
眼前にあるのは、現実世界で見る事の無い程に、非常識な大きさの扉。
「お家ってどう言う事だよ」
「どうってそのまんまの意味だよ。君だって、家はあるだろ?それと同じさ、まぁ、ここに住んでいるのかと問われれば、違うけど」
「そ、そうか」
刀袮は納得の声を上げるが、理解はできていなかった。そして、もう一つの質問をする。
「で、でも扉はあっても建物も何もないじゃないか」
そう、確かにそこに扉は存在するが、他は、今まで通りの、白い空間だった。
「まぁ、これはいわゆるド●えもんのど●でもドア的な感じだからねぇ」
「へ、へぇ」
刀袮は、ド●えもんって、見た目まんまかよと思ったが、口には出さなかった。
「まぁ、色々質問はあるだろうけど、そのへんは、おいおい説明するから、取り敢えず付いてきて」
そう告げると、ヤルダバオトはおもむろに手を前に出すと、その扉を押した。
ギィィィーー
するとその扉は大きな不協和音を上げながら開いていく。
その先にあったものは黒。他の色の侵入を許さないただ一色の黒。
そんな事を思ってると、少年と後ろに居た、ゲッケイジュは黒一色の世界に入っていった。
刀祢は、ヤルダバオトと、ゲッケイジュの後ろを着いていく。
豪華な扉の中にある黒一色の世界へと入っていく。
扉の中に、あったものは、学校の体育館程の広さのスペースに食事や飲み物などがのったテーブルそれは、立食パーティーの会場の様な場所。そして倒れた、おそらく死亡しているだろう人や、中には頭部を中からぐっちゃぐっちゃに潰されたものまである。
「おえぇぇぇぇぇぇ」
刀祢は、思わず嘔吐してしまった。
「そこでなにしてるんだ?」
ヤルダバオトは驚いた表情をしながらも問いかけた。
そこには、真っ赤に染まった甲冑が一人の、少女の首を締め上げ、佇んでいた。
「もうか」
そうゆうと赤甲冑は首を締め上げていた一人の少女を後方に飛ばした。
刀袮は何が起こったのか理解出来なかった。まるで映画のワンシーンを見てる様な感覚だった。
「なんなんだよ」
刀袮が、そんな言葉を、溢すと、赤甲冑がこちらを向く。
「ん、まだ飲ませていなかったのか。まぁいいだろう、いまここで」
そう言うと、赤甲冑は、背中の剣に手を掛け、床を蹴飛ばす。すると、物凄いスピードで、赤甲冑と刀袮の距離が縮んでいく。
ギィィィィィィン
さっきまで、遠くにあったはずの赤甲冑の剣が、目の前でヤルダバオトの腕とでつば競り合いをしていた。よく見ると、ヤルダバオトの腕は黒色に変色していた。
「早く、扉の外へ」
「はっ、はい」
刀祢は上ずった声をあげ扉の方向へ走ろうと立ち上がる。
「逃がすと思ったのぉ?」