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勇者と俺と異世界と  作者: 伊藤元竜斎
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第1章 闇の勇者 4話 純白美女と俺とリア充勇者

よろしくお願いします。


純白美女で自称悪魔と名乗る女性は、こちらを一瞥すると、この世の全てを魅了するような笑みを浮かべて言う。


「主はここがどこか知りたいのか?」


頷くと、


「ここはのぅ、ラスボス前の最期の休憩所的な場所じゃ」


はい適当ぶっこかれてます〜!


「いやいや! 本当じゃって!」


心の声が顔に出ていたのか、彼女は心外そうに両手を顔の前でブンブンと振っている。


「ていうか、ラスボスって何? ここ日本じゃないよね?」


「ここは異郷の地・ダイヤフェザー。その中でも最大の都市国家であり、勇者を二人も擁するといわれている、スフォルツェンド王国である。その国の最北端にある辺境の地で、幻夜はこの世の物とは思えぬ見るだけで甘美な誘いに彼を惑わす、妖艶でありながら少女のような儚さを纏った純白美女、メフィストフェレスが語る言葉に耳を傾けている」



いやなんかモノローグ的に説明されてるんですけど〜。


そんで、メフィストフェレスって何よ?


悪魔? 悪魔なの?


まあ、確かに悪魔的な美しさではあるけども・・・。


「まあ、ここが日本じゃないってことは分かったよ。本当は何もわからんけど、一応納得しとく。他にも聞きたいことがあるしな」


「幻夜は誰もいない廃墟と化した教会跡地で、納得したのか頷くと次いで笑みを浮かべながら股間に手をやり『俺のここがダイヤフェザーさっ』と分けのわからない言葉を恥ずかしげもなく発してニヤついている」


いやちょっと嘘だけはつかないで!


股間触りながら笑うってだけでも変態なのに、『俺のここがダイヤフェザーさっ』とかわけがわからなさすぎる。


「幻夜は、自身の荒れ狂うものをメフィストフェレスにまるで自慢するかのように見せつけてくるが、残念ながら彼渾身の一品は、ポークビッツを想起させるに充分な代物であった」


何なの!


俺なんか怒らせるようなこと言いましたか?


それとよくポークビッツ知ってるね!


美味しいよね、アレ!


まあ、それはともかく俺のはポークビッツじゃないよ!


それこそ、大きさで言えばダイヤフェザー級さ!


・・・・・・。


自分でダイヤフェザー級とか言っちまったーーっ 恥ずかしすぎる! ていうか、そもそもダイヤフェザーって何よ?


「おほんっ。フェレス様、お戯れもこれまでにしてはいかがでしょう?」


「じゃって〜、幻夜の阿呆が妾を疑っとるんじゃも〜ん。少しくらい揶揄からかってやっても良いじゃろ?」


少し・・・だと?


いたいけな少年にとって、自身の分身を貶められることがどれほど屈辱かこの人は分かっているのか?


この悪魔め!


あ、悪魔なのか。なら仕方ないのか?


よし! もうこうなったら俺の脳内でこの女性ひとに陵辱の限りを尽くしてやる!


・・・・・・・・・。


暫くお待ち下さい。


ただいま、口にするのも憚れるような妄想中です。


・・・・・・。


・・・。


ふぅ〜!


やってやったぜ!


「な〜にをやってやったんじゃ?」


純白美女メフィストフェレスは、俺を呆れたように見つめながら言う。


あれ? また?


「その程度のプレイで陵辱とか、お主はういの〜。まあ、童貞少年の妄想力ではその辺りが限界じゃろうなぁ〜」


メフィストフェレスさんってもしかして、俺の心の声が聞こえていたりするのでしょうか?


よし、試してみるか。


童貞・ゲンーヤ・ヤマガミが命ずるっ! なんかもう周囲が引くぐらいのエロいベロチューを俺にしろっ!


瞬間。


「うっーーーん!」


生暖かいものが口内に侵入してきた。


それが彼女の舌であると理解するまでに少し時間が掛かった。


柔らかく、蕩けるようなそれはゼラチンを思わせ、舌先が吸盤のように俺の舌を捉えて離さない。


恋人同士のように抱き合いながら唇同士を貪り合う様を、どこか他人事のように感じている俺。


そんな俺に雷鳴さながらの痺れが襲う。


息を吐くために離された口からは、唾液の粘液が艶めかしく絡み合っている。


そして、再び口内を官能が支配した。


・・・・・・・・・。


どれくらいそうしていたのか、気づけば俺は腰を落として放心していた。


「全く何をさせるのじゃ。言うたじゃろう? 妾は其方の所有物。其方も妾の所有物。妾たちは互いに繋がっておる。うん? おい、聞いておるか?」


ファーストキスは純白美女の濃厚ベロチューでした。


「うへへへへ〜」


疑問だらけな状況だけど、取り敢えずメフィストフェレス姐さん、いやさフェレス姐さんについて行こうと決めた俺だった。







マイハニー翼たんと僕が付き合うようになったきっかけは、この世界に来て宿無しだった僕に翼たんが宿を提供してくれたことだった。


「かくかくしかじかで」


「そう〜。大変だね〜。私のお家に来る?」



正直僕の話なんて信じてもらえないと思っていたが、翼たんは何の迷いもなく僕を信じてくれたのだった。


翼たん、マジ天使。


可愛い子のことをたん付で呼んだり、天使と呼ぶのも、この世界に来て学んだことの一つだ。


僕はこれまでの人生、五百年の中で今が一番楽しい。


出来れば僕は、この平和な日本という国で彼女と暮らしていきたい。


だが、こんな幸せな日々が長く続かないということを僕は知っている。


僕にはやらなければいけないことがある。


何を犠牲にしてでもやり遂げると、他の誰でもなく僕自身が誓った。


ジジジジッ。


ザワザワ。


カラカラ。


この世界の精霊たちがざわめき出した。


“・・・ておるか?”


耳に懐かしい声音が届き、刹那、五百年前の光景が蘇る。


最期の戦いを前に、皆で焚き火を囲みながら談笑している風景。


そこに集うのは、僕を含めた五人の勇者と同胞はらから


そして、闇を思わせる漆黒の翼を優雅に纏う彼。


“視えておるか?”


“おおーっ! なんか映ってる! すげーよ流石フェレス姐さん!”


“じゃろう? 妾に不可能は無い! まあ、なんじゃ。正直言うと妾、説明するの苦手じゃから事情はこいつに聞け”


ああ。


やっと逢えた。


この時をどれだけ待っただろう。


君とは初めましてだね。


山神幻夜くん。


でも僕は、君と再び逢うために、こうして異世界にやって来たんだ。


・・・・・・。


「イェーイッ! 次は誰が歌う? カラオケも知らないフェニックスに、カラオケの楽しさを教えようパーティーもそろそろお開きだ! ということはトリを務めるのはやっぱりフェニックスで決まりだな!」


学友たちが笑顔で僕を囲み、マイクを手渡してくる。


ただ、欲を言えばもう少し場所を選んで欲しかった。


フェレスめ!


彼女が悪くないのは分かっているつもりだが、これは流石に・・・。


“何だこのリア充。嫌いなタイプだわぁ〜。”


予想通り、彼の第一印象は最悪だった。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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