6話 決戦! アカツキ vs ハル
リベル宅 庭
俺の訓練が始まってから約5年がたった。なんかこうカップラーメンができるのを待っていてそろそろできたかなと思ったら、いつの間にか5年たってたみたいな感じ(?)だ。少しは筋肉が着いてきたと思ったら父さんにしばかれ、やっと魔法の起動スピードが上がったと思ったら母さんに魔法をぶちこまれ、やっと休みだ!と思ったら大量の宿題(魔法の基礎知識の復習だったり、筋トレだったり。)出される………見たいな三日間を5年間続けてきた。そして今日!本日!遂にその呪縛からとかれるのだ!やったね、た○ちゃん!
俺は明日で十歳になる。この国の貴族の子供たちには十歳になると王都にある王立のバラカ学園に行かなければならないという義務が課せられている。そのため俺も明日には学園に行かなければならない。
(辺境にあるちっちゃな村でも治めていれば立派な貴族だからな。)
てなわけで明日には両親と暫しの別れをしなくてはならない訳なんだが………
「どうしてこうなった?」
俺の目の前には剣をもってガチガチに構えた父、ハルの姿があった。
リベル宅 リビング
遡ること約二時間
「アカツキも明日には十歳か、早いもんだなぁ。」
「そうだなぁ、俺も体感的には三分くらいだもんなぁ。」
最近では俺と両親はわりと打ち解けてきて大分砕けた話し方になっている。
(親子で打ち解けたってのはへんか?まぁいい。)
「そうねぇ、私も私であっという間だったわぁ。でもスッゴク楽しかったわ。」
「確かに。アカツキは成長が早かったからな、見てて楽しかったし、何だかこっちもやる気が出てきちまった。」
「そうよねぇ。魔法のほうも、理解力が高くてついつい難しいところまで教えちゃうのよねぇ。それにしともなんであの内容についてこれたのかしら?」
「え?あれってそんなに難しいやつだったの?滅茶苦茶簡単だったんだけど………」
「むぅ………私、あれ理解すんの一年かかったんですけど?しかも二十歳のときに。」
「え?なんかこう、ごめん………」
こんな感じで家族談義が進んでいた。ここまではよかったんだ。ここまでは。あるとき父さんがいった。
「ふむ、何かこう、他の人にアカツキの強さが証明できる何かがほしいな。」
「へ?」
「そうね、証明がないと自慢できないものね!」
「そうだな!」
「へ?へ?」
「でもなにがあるかしらー。」
「「うーん………」」
「そうだ!俺とタイマンて戦うってのはどうだ?」
「あっ!いいわねそれ!それにしましょ!」
「「と、いうことでいまからやるぞ(やるわよ)。」」
「こいつら………最初から決めてやがったな………」
「ちょっとなにいってるかわからない(わ)。」
「最後まで息ぴったりだな………」
「よし!そろそろ始めるぞ。なんでもありの真剣勝負だ。もちろん殺すのはなしだぞ。」
「わかってる。で?父さんは本気でやるのか?」
「ああ、大人げないとは思うが本気でいかせてもらう。まさか本気は嫌だとかほざくんじゃないだろうな?」
「んなわけ。」
「それじゃあ、いくわよ。このコインが地面についたらスタートね。よいしょ!」
そういって母さんは、コインを投げる。
(さて、文句はいったが俺も本気の父さんと戦いたかったってのも事実だからな。文句はここまでにしとこう。それにしてもどうする?取り敢えず魔法で目眩ましして剣で殺るってのが一番効率的かな。あとは………)
こんな感じに頭のなかで戦略をたてていく。そして………コインが地面に落ちた。と同時に父さんが突っ込んできた。あわてて身体を半身にし、父さんの剣の刃を、俺の剣の刃にそわせていなす。
(はっや!今まで訓練で見たやつとは全く違う!これは作戦を建て直すべきだな。魔法を目眩ましだけでなく、足止めにも使って………)
今までの父さんの早さなら足止めしなくても充分追い付けていたが、この早さは予想外だったため、最初から建て直す。足止めするぶん目眩ましが甘くなるがそんなこともいってられない。今は全力で避けてこの早さになれろ!
「今の早さをいなすか!流石だな。」
「そりゃどうも!」
よし!大分なれてきた。こっから反撃だ。まずは水の玉を作成し父さんに向かって放つ。当然避けられる。だが、構わず放つ!放つ!放つ!放つ!放つ!
「そんな遅い攻撃、当たるわけねぇ!」
「わかってるよ!」
滅茶苦茶でかい火の玉作成!
「な!これがアメがゆっていた火の玉か!」
発射!と同時に風の玉作成&発射!この風の玉は周りの空気を吸い込む特別製!その効果で前にある火の玉が更に大きくなる!
「流石にこの大きさならスキルが必要だろ!」
「確かになぁ!【スラッシュ】!」
半径二メートル位ある火の玉が真っ二つに裂かれる。が、これは想定済み。近接系のスキルは使用後に硬直があるのは把握済み。スキル硬直によって動けない父さんに風の玉が襲いかかると同時に、俺も剣で畳み掛ける。が、
「こんなの効かねぇ!」
あろうことか俺の放った風の玉を体で受け、俺の剣を自分の剣で受け止める。
「化けもんじゃねえか!」
魔法を体で受ける?いやいや、おかしいだろ!まぁいい。次だ。
このあともこんな感じ(灯火に必要以上に魔力をこめて強く発光させるなど)の戦略をとったがことごとく失敗。未だに一太刀も浴びせられていない。だがそれでいい。ここからが正念場だ。すでに戦いが始まってから二時間がたっている。俺の体力がなくなる前にけりをつける!
「どうした!まだ一太刀も受けてないぞ!お前の実力はそんなもんか!」
そんな父さんの罵倒を無視し、とどめをさすための準備にはいる。その場に留まる性質を持たせた特大の火の玉を数十個作成。空中に留まるそれを足で蹴り放つ。これが一つめの切り札。本来複数の魔法を同時に放つためには《2個同時詠唱》などのスキルが必要だが、想像によって魔法に留まる性質を与えることで、スキルなしでも同じことができる。だが想像て性質を与えた魔法は魔力消費がやばいためこの手は一回しか使えない。
「いいねぇ!」
父さんは慣れてきたのかスキルなしで数十個の火の玉を斬っていく。
そのうちに火の玉を目隠しにして俺は父さんに接近。父さんが火の玉をすべて斬る頃には父さんを斬れる位置まで来ていた。剣を振りかぶる、と同時に剣を放し父さんにタックルをかます。これが二つ目の切り札。これは某黄色いマッハ20の怪物のアニメの主人公の切り札。パクるのはあまり気乗りしないが勝つためだ我慢ししよう。
虚をつかれた父さんは俺のタックルを受け後退、父さんの後ろはぬかるんでいるため、足を滑らせ転倒。俺は太ももに隠していたナイフを父さんの首筋に突きつける。これが最初に水の玉を乱発した理由だ。
「母さん?」
「?……ええ!勝者アカツキ!」
拍手が巻き起こる。いつの間にか村のみんなが集まってきていたみたいだ。まぁ取り敢えず、
「疲れたぁ~」
俺はそういってバタンと倒れた。
ハルとの戦闘中アカツキは詠唱してないように見えますが実はしています。
べ、べつに書くのがめんどくさかったとかそんなんじゃないんだからね!