1話 転生しました!
やぁ、皆さんごきげんよう。俺の名は黒影 暁。だいたい普通な高校生だ。何故だいたいなんだって?ふふん、くいて驚け俺は影が薄いのだ。………………まぁまて。皆の言いたいことは分かる。影が薄いのはそこまで変わったことではないって言いたいんだろ?厨二病乙って言いたいんだろ?わかる、わかるぞその気持ちは。自分も今でも信じられないさ。学校に行っても先生やクラスメイトから気づかれず道のど真ん中で全力で叫んでも気づかれないなんて当たり前で、偶に家族にも気づいてもらえないこともある………。泣いていいかな?
まぁそんな感じで俺は普通では無いのだ。それで俺はいつも通り誰にも気付かれずに街中を歩いている訳だが………。ん?あそこに居るのは俺と同じクラスであり学年トップクラスの財力、権力、知力、顔面偏差値を誇る学級委員長の緋金 空君ではないか………。今考えると彼、キャラ設定もりもりだな………。そして彼がいるその先には動きからして暴走していると思われるトラックが歩道を乗り上げて走って来ているじゃないか。………彼は気づいているのか?………………気づいていなさそうだな。………ここで死ぬことになるなんてな。まぁいいさ。誰にも気づいてもらえない人生はもう疲れたんだ。そうゆう覚悟を持って俺は走り出す。ここで死ぬには惜しい彼を救い出すために。この状況なら誰かに気づいてもらうために鍛えたこの体を全力で使えば彼1人くらいは助けられるだろう。俺が逃げ出す時間は無いだろうが………。それでいい。もうちょいで彼にさわれそうな距離まで来た。良かった。予想通り間に合って。これで間に合わずに二人とも死んだら笑えないからな。そんなことを考えながら俺は彼をトラックが届かない位置まで突き飛ばし………次の瞬間、強い衝撃を受け吹っ飛んだ。
「『暁!!!!!!』」
今俺の名前を呼んだ人がいた気がするがきっと気の所為だろう。俺は孤独なのだから。
「ねぇ、死なないでよ………。まだ私貴方と話してすらないのに………。お願い、誰か………」
『絶対救う。そう決めたんだから。暁を幸せにするために守るって。自分が暁の幸せわ奪ってしまったのだから………。だから生きて、暁。お願い。』
ああ、今までの思い出が頭を横切っていく………。高校、ちゅうがっ!?何だこの違和感は?何か…大切なこと、忘れてはいけないことを忘れている気がする………。ああ、でももういいや。意識が薄れていく。これが死ぬってことなんだなぁ。あんまり……辛く………ないや………………。
この日孤独だと思っている男、黒影 暁の人生が終わった。
そして同時に異世界にて孤独ではない男、暁の人生が始まった。
物語の針はもう動き始めていた。