表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『忘却世界』

作者: 成瀬

二日連続投稿です。嬉しい。〇〇世界シリーズの続きです。ある少年の遠い昔の記憶。

 忘れてしまった。

 あの時、あの場所で。

 確か、女の子と男の子がいた気がする。

 あの子たちは、今どこのいるんだろう。

 もしかしたら、これすら、嘘なのかもしれない。幻なのかな。


 「大丈夫だよ」 

 囁く声。暖かいけど、どこか悲しい。

 「君は、忘れていない。全て憶えているさ。ただ、それは空虚な記憶なんだ。彼らは君の思いからできた物なんだよ。思いはいつか消えてしまう。でもこれは忘却じゃない。運命なんだよ」

 「まあ、そうか。そうなんだと思う。でも、何でだろう。どうしても、あの子たちをボクだとは思わないんだ。ボクの思いはボク自身でしょ? それでも、きっとボクじゃない」

 違う。多分違う。今まで、ボクは悲しいも、楽しいも、思ったことない。でも、あの子は、彼らは、世界があった。

 「ボクには世界がないんだ」

 だから違う。

 「君にも世界はあるさ。君は、君という小さい容器の中から覗く世界しか見えてないんだ。ああ、本当に小さい。だから君はつまらない。故に幸せだ。何の感情も無いのだから。空っぽだね」

 彼の声は、笑っている。それでも、きっと泣いている。見えないけど、寂しい顔。


 「じゃあ、頂戴。感情も大きい器も」

 ほんとに、それでいいの?と彼は聞いた。勿論、肯定した。

 「大きい容器も、感情も、君にとっては、辛いものだよ」

 「それでも、ボクしりたい。お願い。ボクにください」

 

 『 ありがとう。ハリボテくん。君は明日に行けるよ 』


 起きたときは、頭の中は、空虚だった。

 

 「生きてていいことなんて一つもないのに」


 手足は崩壊していった。残ったのは、心臓だけだった。


 「記憶も残らないなんて」

 『 きれいだね 』



 彼はそっと、『ハリボテ』の心臓を抱えて、記憶の容器に入っていった。




ありがとうございました。このシリーズ個人的に好きです。私事ですが、曲とか作れたらほんといいなとか思ってます。 

まだ続きます。よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ