第2章 「特撮ファンの防人乙女」
そして私も、そんな特撮女子の1人だよ。
私の場合は、どちらかというとアルティメマン派かな。
ほら…アルティメマンシリーズには、防衛チームが出てくるじゃない。
人類自らの力で、巨大怪獣や侵略宇宙人に立ち向かう正義の組織。
あれって、モロに私達の事だよね。
だから私としては、正義の防衛チームの隊員達には、より一層の親近感を抱いちゃうんだよね。
私が持っているアルティメマングッズで一番古いのは、シリーズ第2弾「アルティメゼクス」の絵本かな。
これは私が買ったんじゃなくて、小さい頃にお父さんから貰ったんだ。
丸川プロダクションが発足してアルティメマンシリーズが始まったのが30年前だから、私達の親世代はリアルタイム視聴者という事になるね。
俗に「第1期アルティメマンシリーズ」と呼ばれている、「アルティメマン」、「アルティメゼクス」、「究極地帯~アルティメットエリア~」の初期3部作は、「日本特撮の神様」と呼ばれている丸川監督のメガホンで製作された事もあり、今では神格視されているの。
私のお父さんは、それをリアルタイムで見られたんだから、身内ながら羨ましくて嫉妬しちゃうよ。
後追いの知識だけど、当時の熱気は凄かったみたい。
デパートの屋上や遊園地で上演されるアルティメマンショーは、どの会場でも子供が詰め掛けて大混雑だったみたいだし、子供向け雑誌では毎回のように特集記事が組まれていたの。
怪獣の解剖図とか、絵物語とかね。
一番羨ましかったのは、「アルティメゼクス」の放送中に東京の遊園地で行われたらしい、アルティメゼクスに変身する主人公のマホロバ・ユウ隊員を演じた、黒森進治さんのサイン会だね。
きちんと隊員服を身に付けた黒森進治さんが、アトラクションステージ隣に設けられたサイン会場のパイプ椅子に座って、子供達に握手をしながら色紙にサインをしている写真が残ってるんだけど、まさにマホロバ・ユウ隊員そのものなんだよ。
この初々しいマホロバ・ユウ隊員にサインを貰えたなんて、当時の子供達が羨ましいよ。
もちろん、今の黒森進治さんもダンディーなナイスミドルで素敵だけどね。
京都の名画座で行われたイベントで、「アルティメゼクス」のブルーレイボックスにサインを頂いたんだけど、ダンディーな声と力強い握手で胸がキュンとなっちゃったよ。
お父さんは録画した再放送を小さかった私に見せながら、実家から持って来た絵本や怪獣図鑑を副読本にして、色々と説明してくれたんだ。
お父さんは怪獣が好きみたいだけど、私はカッコいい制服をビシッと着こなして銃を構える防衛チームにゾッコンだったな。
これが大体幼稚園の頃だけど、私が小学4年生に進級した元化19年に、「アルティメマンリスタ」が始まったの。
いわゆる「元化アルティメマンシリーズ」の幕開けだね。
このシリーズには夢中になったよ。
私が小学5年生に進級した元化20年に始まった、「アルティメマンリスタ」の次回作である「アルティメマンアース」に出てくる科学攻撃隊SATのサトナカ・ユミ隊員には憧れたものだね。
何しろ、可愛さとカッコよさを両立した女性隊員だったからね。
そして私はこの年に、「特命遊撃士の適性あり」の判定を頂いて、特命遊撃士養成コース編入と相成ったんだ。
鼻息荒く、「憧れのサトナカ隊員みたいになるぞ!」と意気込んで、気付いたら少佐になっていたけれど、今の私はサトナカ隊員みたいになれているのかな?