ほよほよさんは ひ がにがて 3
ほよほよさんは
げんかんをあけると
さあら さあら
はるの あめが ふっていました
ぷるっと ふるえながら
みぎや ひだりを みるのですが
だれも ちかくに
いないみたい
でも げんかんさきに
ちいさな きいろい かさが
おいて あります
だれかの わすれもの?
ほよほよさんは かさをとると
かさのしたには
ちいさな しかくい マッチ箱と
箱のうえに そえられた
きみどりの ふきのとうさん
わあ! かわいい!
ほよほよさんは ひろいあげて
ふきのとうさん の まあるい
ちいさな ぽちぽち を
つんつん と さわると
〝ながめるんやなくて たべるんやで〟
と どこからか こえ が
きこえて きました
ふえぇ!
ほよほよさんは びっくり して
ふきのとうさん を
おとっと おとっと
わあ きゃっち!
と おてだま して しまいました
おとさなくて よかった
と ほっと いきをついて
ふきのとうさんを
じっと みるのですが
いまは なにも いいません
ほよほよさんは ふしぎにおもって
また つんつん と
さわってみると……
〝ながめるんやなくて たべるんやで〟
と また ふきのとうさん が
いいました
どうやら だれかに
そういうように いわれたみたい
はぁい わかりました
ほよほよさんは
かわいいから かざろう と
おもっていたけれど
それが ふきのとうさん の
のぞみならば と
おおきく うなずきました
そして ふきのとうさん の
したに あった
ちいさな マッチ箱を
てに とって
いったい だれが とどけてくれたの?
と つぶやきました
ほよほよさんは
そらを みて
さあら さあら と
ながれる あめに いいました
〝いつも ありがとう!〟
どうか とどけてくれた
だれかさんに
とどいて ほしいと
ねがいながら
いつまでも やわらかい あめを
みていました
おしまい
ジスウ「ちいさなしかくいマッチ箱ったぁ、イキだねぇ! かー、やるなぁ」
ほにほに「やだ、素敵すぎるっ!」
ジスウ「やだん、ほにほにさんたらん、ほれちゃいやん」
ほにほに「やだん、ジスウさんったら、つんつんしちゃう!」
ジスウ「つ、つんつん」
ほにほに「つんつんっ!」
ジスウ「つ……っすいやせんしたぁっ」




