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才色兼備の少女が隣の家に引っ越してきたんだが  作者: 江谷伊月
第一章.二つの始まり
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8.放課後前半。鬼教師からの頼み事

すみません。この話が意外と長くなったので、放課後の話を二つに分けました。なので、新キャラは次回となります。本当にすみません。

早めに出すので許してください....


あと、ブックマーク100人突破しました。嬉しいです。本当にありがとうごさいます。これからも出来る限り頑張ります。


誤字脱字、不明点などはご指摘くだされば幸いです。

 放課後。生徒がそれぞれ下校し始める。


「おい零人! 俺達も帰ろうぜ!」


「帰ろう……」


 武志、駿樹の二人が誘ってくる。いつもなら行くのだが……。


「悪い、今日は用事があるんだ」


 とある用事があり、俺は一緒に帰ることはできない。


 しかし、武志は俺の言葉などさほど気にしていない様子で言った。


「えぇ~、用事? そんなのさぼって一緒に帰ろうぜー」


 まぁ、それができるのなら俺だってそうしたいのだが。


「いいか、武志よく聞け。用事ってのはな……」


「うん」


 俺は絶望的な表情を浮かべ、うなだれる。


「………………………………鬼山からなんだ」


「……そうか。命運を祈るよ」


 もしさぼったら殺されてしまうだろう。武志も同情したような顔をしていた。


「まぁ、なんだ。お前が何をしたかは知らないけど、とにかく命だけは大切にね……」


「あぁ。わかってる……」


 何かしたか心当たりは全くないが、鬼山は生徒指導の先生。たいてい呼び出されるときは問題を起こした時だ。


 そして、悪事を起こした者には容赦なく鉄槌(鬼の説教)を下す。恐らく無事で帰れはしないだろう。


「それじゃ、零人! 明日会えるといいな……」


「零人……。達者でな」


 二人は俺を心配してくれながら帰っていった。




――――――――――――――――




 俺も鬼山の所へ渋々向かう。………まるで、これから戦争に向かう兵隊のような気分だ。


「着いてしまった……」


 目の前にには生徒指導室の入り口。またの名を地獄門(デスゲート)


 俺は恐る恐るノックをして扉をあける。


「……失礼しま~す」


「おう高崎、待ってたぞ! ……って、何でそんなこの世の終わりみたいな表情で来るんだ……」


 (ゲート)を開くと、やはり中には鬼がいた。


「………お前今とても失礼な事を考えなかったか?」


「滅相もないです」


 また心を読まれる。俺の周りの女性は人の心情を読む(すべ)を身につけているのだろうか?


「まぁいい。そこのイスに座れ」


「はい……」


 俺は指定されたイスに座る。


「で、俺が一体何をしたと言うんですか。……もし罰するなら命だけは勘弁してください」


「はぁ? 何を言ってるんだ。確かにお前は問題の多いバカだが、今回はそういう件じゃない」


「へ? じゃあ刑罰は無し……?」


「当たり前だ。理由もなく生徒を貶めたりはしない」


 理由があったら貶めるのだろうか。やはり恐ろしい先生だ。


 とにかく、よかった……。俺に明日が来る保証はありそうだ。心の底から安堵する。


「じゃあ、何で俺を呼びだしたんですか?」


「あぁ。それなんだが、……頼みがある」


「はい?」


 鬼山が真面目な顔になる。


「高崎。園神と仲良くしてやってくれないか」


「え?」


 言っていることが理解できなかった。


「何で先生がそんなことを? しかも俺に?」


 理解が追いつかず、頭が混乱する。正直言って鬼山が何故こんなこと言っているのか意味が分からない。


 先生が特定の生徒にこんなことをいうなんて、どう考えてもおかしいだろう。


「そうだな、混乱するのも分かる。理由はお前が適任だと思ったからだ」


「何で??」


 俺はさらに混乱する。


「複数あるが、まず一つ目。お前と園神は接点が多いからだ」


「接点……?」


「あぁ。お前と園神は席が隣同士で、家まで隣同士らしいじゃないか」


「まぁ、そうですけど……」


「何かと接する機会が多いと思ってな。そして次だ」


「はぁ」


 あんまり納得していないままだが、次へいってしまう。


「二つ目は、お前は性格が良いからだ」


「は?」


 それこそ分からない。性格が良いと言われるのは悪い気がしないが、他にもいい人なんていくらでもいるだろう。


 それに俺は園神からすると異性だ。仲良くしてほしいなら同性に頼むべきだろう。


「高崎。お前は人当たりが良い。そして優しい」


「俺が? 俺はただのバカですよ?」


「ああそうだな。それは重々承知している」


「そこは否定しないのかよ!」


 褒められているのかバカにされてるのかよく分からない。


「まぁ聞け。確かにお前はバカだ。けどな、私はこれまで見てきた。お前が他の先生の荷物を自ら進んで運んでいたり、生徒達の手伝いをしていた所を」


「そうなんですか……」


 確かに心当たりは幾つかある。


「お前は困っている人を放っておけないほど、お人好しだ。そして人に好かれるタイプだ。だから、園神ともすぐ打ち解けられると思ってな。どうだ?」


「なるほど……」


 俺がお人好しかどうかは分からないが、とにかく内容は少し理解できた。それでもおかしい点はたくさんある。


「先生、少し気になったんですけど」


「なんだ?」


「どうして、そこまで園神に肩入れするんですか? 先生が特定の生徒に肩入れするなんて、少しおかしい気がするんですけど」


 これが一番の謎だ。


「やはりそこが気になるか……」


 鬼山が悩ましげな顔をする。何かあるのか?


「これはあまり言いたくないんだが、他に言い訳も思い付かないからな……」


「はい?」


 すると、先生がズイッと迫って来た。うわ、近くでみるとやはり綺麗だなぁ。怒ってなければ基本的に美人なのに。スタイルもいいし。


「いいか? この事は他に言うんじゃないぞ」


「わ、分かりました」


 そう言うと、元の位置に戻る。


「よし。実はな……」


 鬼山が意を決したような表情をする。どんな事を言うつもりなんだ?


「私と園神は、一応遠い親戚なんだ」


 ………は?


「ええええええ!?」


 衝撃の事実だ! まさか園神と鬼山が親戚だなんて! 思わず大きな声を出してしまう。


「驚いたか。……いいか? 念を押すが絶対に言うんじゃないぞ。元々園神のプライバシーに関わるし、誰かに知られたら後々面倒になりそうだからな」


「そ、そうですね」


 確かにこんな大事、皆に知られたら大変面倒なことになりそうだ。心の内に秘めておこう。


 そして、鬼山が言葉を続ける。


「私は、あいつが小さい頃から知ってるんだ。勿論昔は一緒に遊んであげたこともある。……まぁ、言ってしまえば可愛い親戚に楽しく生活してもらいたいから、こうして頼んでるんだ」


「そういうことだったんですね……」


 やっと理解した。そういうことなら納得だ。


「あぁ。園神はコミュニケーションが苦手だから、人と話すのが下手なんだ。だからそんな彼女でも打ち解けられそうなお前を通して、他の生徒達と交流できればうまくいくんじゃないかって、考えたんだが……」


 鬼山は今度は少し申し訳なさそうにする。


「これはお前の意思を考えていない自分勝手な頼み事だ。本当にすまない。しかし私ではこれしか浮かばなかったんだ。……頼まれてくれるか?」


 鬼山が心配そうに頼み事をする。俺の返事は決まっていた。


「分かりました。俺も園神には、学園生活を楽しんでもらいたいと思っていましたし。何よりいつも迷惑をかけている先生の頼みとあらば、引き受けない訳にはいきませんよ」


「本当か!?」


 鬼山がパッと顔を輝かせる。


「はい。でも、もう心配ないかもしれません」


「どういうことだ?」


 訝しげな顔をする鬼山に、園神の今を説明する。


「園神にはもう、葵と姫宮さんという二人の友達がいます。だから、楽しくないなんて事はないと思いますよ」


「そうだったのか……」


 俺がそう言うと、鬼山は顔を綻ばせた。


「それはどうせ、お前がやったんだろうな。二人に頼みでもしたんだろう? だったらわざわざこうして頼むこともなかったな」


 すべてを察したかのように言う。さすが教師というべきか、鋭いな。


「どうしてそう思うんですか?」


 一応質問をし返してみる。


「遠山も姫宮もお前と仲がいいのは知っているからな。どうせ友達をつくるなら女の子の方がいいとか思って、知り合いの二人に頼んだんだろ?」


 ……まじか。全部あたりだ。どこまで鋭いんだこの人は。


「その通りです。けど、園神と友達になったのはあくまで彼女達の意思ですよ」


 俺は観念したように言う。


「ああ、分かってる。ありがたいよ」


 鬼山は本当に嬉しそうに言う。


「まぁとにかく、これからも園神をよろしく頼むな。高崎」


「はい。ところで先生……」


「何だ?」


「先生って、意外と優しいんですね」


「まるで今まで全然優しくなかったみたいな言い方だな」


「いや! 決してそういう意味ではなくて……!」


 軽はずみな発言で鬼山の機嫌を損ねてしまった。まぁ今まで恐ろしいイメージしか無かったが。


 と焦っていたら、不機嫌そうだった鬼山がフッと微笑む。


「分かってるよ。お前がバカな事をするから私は怒るんだ。お前がさっき言ったように、迷惑をかけている自覚があるなら問題を起こさないでもらいたいんだがな」


「ははっ。善処しますよ」


 やはり鬼山は思ったよりいい先生のようだ。


「まぁ、次問題を起こしたら今までの説教程度では済まさんがな……(ギロッ)」


「肝に命じておきます」


 前言撤回。やはり鬼山は思っていた通り恐ろしい先生のようだ。


「それでは先生。そろそろ失礼しますね」


 話も終わったし、退散することにする。


「あぁ、今日はありがとう。それではな、高崎!」


「はい。さようなら」


 こうして、俺は生徒指導室を後にした。


 まさか鬼山と園神が親戚だったなんて……。とんでもないことを知ったな。


 園神をあんなに気遣うなんて、見かけによらず鬼山も優しい所があったんだな。


 ……ん? まてよ? 先生に心配されるほど、園神はコミュニケーションが苦手なのか? だったら園神のやつ、


 ―――前の学校ではどうしていたんだ?


 そんな疑問を抱きつつ、俺は昇降口に向かって廊下を歩いていった。



鬼山先生はとても恐ろしいように零人達は表していましたが、確かに恐いですが、それは零人達がしょっちゅう怒られているため、勝手に三人が恐怖しているだけであり、体罰などはあまりしません。


........あまり?



感想、アドバイス等あればよろしくお願いいたしますー

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