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才色兼備の少女が隣の家に引っ越してきたんだが  作者: 江谷伊月
第一章.二つの始まり
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6.2日目。零人のお節介と友人の紹介

最近評価が上がってきて嬉しいです!

やはり色々難しい場面があったりしますが、これからも努力していきます。


誤字脱字や、不明な点などございましたら、ご指摘お願い致します。

 入学式の翌日の朝。


「用ってなーに? 零人」


「高崎くん、どうかしたんですか?」


 俺は学校に来て早々、葵と姫宮さんを呼び出していた。


「あぁ。用っていうか、頼みごとなんだけどさ」


「うん」


「はい」


 二人が相槌をうつ。


「園神と、友達になってみてくれないか?」


「「え?」」


 二人が驚く。まぁそうだよな、急に言われてもびっくりするかもしれない。


 すると葵が、今度は何故か少し怒ったような様子になる。


「一体どういう風の吹き回しなのかしら……?」


「え?」


「あんた、昨日は『園神さんの事なんか気にしてないー』とかいって園神さんのことをどっちかというと避けていたわよね……?」


「あ、あぁ、そうかもしれないけど……」


 何だろう? 葵の目が怖い。


「それが今日になって『友達になってみてくれ』? 何がどうなって急に彼女を気遣うようになったのかしら……?」


「そ、それは……」


 そういうと、葵はフンッとそっぽを向く。


(話が違うじゃない……。バカ)


「ん? な、なにか言ったか?」


「何でもないわよ! とにかく、どうしてそんなことを頼んで来るのかしら?」


「はい! 私も聞きたいです!」


 姫宮さんも入ってきた。何故か彼女も興味津々のようだ。とりあえず、正直に話そう。


「昨日、偶然会って話したんだ。そしたら、園神が冷たいのは周りの人に興味がないわけじゃなくて、単にコミュニケーションが得意じゃないだけってことが分かったんだ。俺は彼女のことを誤解していて、避けてたけどそうじゃなかった」


「ふぅん。それで?」


「それで昨日、園神は沢山の人に話しかけられてたけど、全部上手くいってないように見えたんだ。すぐ会話が終わっちゃっててさ。

だから俺達が園神の友達になって彼女と会話しよう、そしてこの学校で最後の1年、彼女に楽しんで過ごしてもらおうって思った。

それで男子より女子の方が接しやすいと思ったから二人に頼んだんだ」


 嘘偽りなく真剣に言う。


「なるほどね……」


「そういうことだったんですね」


 すると二人は表情を緩める。


「あんたのお人好しは今に始まったことじゃないし、友達になるっていうのは別に悪くない意見だわ」


「そうですね。私も園神さんのことは少し気になっていました」


「それじゃあ、頼まれてくれるのか?」


「うん! でも頼まれる、じゃなくて自分からなりにいくって言うのが正しいけどね」


「私もです。是非お願いしたいです!」


 よかった。二人とも良い人で助かる。


「そうだな。じゃあ今から園神の所に行くか!」


「えぇ、分かったわ。」


「はい。……ところで高崎くん」


「何だ?」


 姫宮さんに呼び止められる。


 そして何故か彼女も、少しムッとした顔をしていた。


「……随分園神さんと親しくなったんですね。『園神』なんて呼び捨てで呼んで」


「え、いや? そこまで親しくなんかなってないけど……」


 だいたい呼べって言われたからそう呼んでいるだけだ。


 しかし彼女はまだ口を尖らせたままだった。


(私を呼ぶときは、「さん」付で呼ぶのに……)


「へ?」


「何でもないです。早く行きましょう? 時間がなくなってしまいます」


「お、おう。そうだな」


 そういう姫宮さんは、まだ少し不機嫌そうだった。


 教室に着き、二人は早速園神に迫っていた。上手くいけばいいのだが。


――――――――――――――


 朝のホームルームの時間。鬼山が教卓に立っている。


「今日の2時限目は身体測定だ。この3年間、どれだけ皆が成長したか確認できるだろう。要らないところは成長してないといいがな」


 女子の顔が険しくなる。そうか。今日は身体測定の日だったな。身長、伸びてるといいんだが。何センチメートル位になったのだろう?


「高崎くん。ちょっといいかしら」


 自分の身長の予想をしていると、隣から声をかけられる。


「どうした? 園神」


「先程、二人の女子が友達になりたいって言って迫ってきたの」


 葵と姫宮さんの事か。


「お。それはよかったじゃないか」


「そうね。でもあれって、あなたが二人に頼んだのでしょう?」


 園神が疑いの目を向けてくる。


「さぁ、なんのことだろうな……」


 俺はちょっとカッコつけて、しらばっくれる。


「はぁ? 何をカッコつけているのか知らないけど、遠山さんがそう言っていたわよ。何のとぼけなのかしら?」


「あいつ言ってたのかよ!」


 何て恥ずかしい! 園神は全部知っていたというのか……! それなのにこんな質問をするとは、やっぱり悪女だ。


「いや、でもあの二人は俺に頼まれたから行動した訳じゃないぞ。二人の意志だ」


「ええ、それも分かっているわ」


「そっか。それならいいんだけど」


「………………そしてあなたがいい気になってカッコつけるナルシストだという事も分かったわ」


「そこは分かんなくていいです!!」


 傷口に塩とはまさにこの事だった。


「……結局、その二人とは友達にはなれたのか?」


 なんやかんやで一番そこが気になった。


「ええ。あなたの思惑通りのようで非常に癪なのだけれど、遠山さんも姫宮さんもいい人だったから」


「そっか! そりゃあよかった」


 まぁあの二人だから心配はしなくてもよかったか。


 俺がホッとしていると、園神は凄く不思議そうな顔をする。


「あなた、やっぱり変わってるわね……」


「そうか?」


 確か昨日も言われたが、俺はそんなに変わってるんだろうか。


「よーし! これで朝のホームルームを終わる。号令!」


 話しているうちにホームルームが終わってしまったようだ。


 号令が終わって休み時間になると、早々に葵と姫宮さんが園神の所に来た。


「ねーねー、聞いてよ!」


「何かしら?」


「どうかしたんですか?葵ちゃん」


「それがねー、――――――」


 しばらく三人で話していたが、園神は昨日よりも随分楽しそうに見えた。




―――――――――――――――




 1時限目。科目は化学だった。


 始めの号令のあと、理科の先生が授業内容を言う。


「三年生初めての化学なので、今日は基礎基本の復習にしましょう。問題を言うので、あてられた生徒は答えるように」


 復習かあ。基礎基本と言っていたので、そうそう難しいのは出ないはずだが、あまり当てられたくないな。


「まずは簡単な確かめです。H2O()に反応して赤色に変色する試験紙の名称は何か」


 これは非常に簡単だ。もはや中学生レベルの問題。誰でも答えられる。


「これを……神田。答えなさい。」


 間違えた。こいつ(武志)を忘れていた。


「あら、彼はいつもあなたと一緒にいる……」


 園神さんが、話しかけてきた。


「あぁ、あいつは神田武志っていうんだ。俺の幼馴染みで、普通のバカを遥かに越えるバカだ」


「あなたよりバカだというの?」


「あぁ。とびっきりな」


「にわかには信じがたいわね……」


「うん、それはどういう意味かな?」


 俺は一日でそんなにバカだと思われていたというのか?


「でも彼はラッキーね。こんな簡単な問題にあたるなんて」


「いや、それはどうかな」


「え?」


「とりあえず見てれば分かるよ」


 俺達は武志の方を改めて見る。


「先生、僕をあまりなめてもらっては困りますよ……。この程度の問題、楽勝です」


「そうですか。ならば答えなさい」


「はい!」


 返事をすると、武志は精一杯のキメ顔で答えた。


「………………………リトマス紙……ですね?(キラッ)」


「塩化コバルト紙です。立ってなさい」


「バカなっ……!?」


「バカはあなたです」


 武志は納得がいかないといった表情をしながら立たされていた。


「ほらな?」


「信じられないわ……」


 武志にとっては中学生の問題ですら解けるか怪しいのだ。思わず皆が失笑する。


「でも話してみれば素直で割りといいやつだぞ。バカだから一緒にいて飽きないしな」


「そう……。確かに飽きはしなさそうね……」


 園神もさすがに呆れたような表情をしていた。


「今度もう一人と一緒に紹介してやるよ」


「もう一人……?」


 まだいるの、みたいな顔をされる。そんなに信用ないのか。


「名前は木村駿樹っていうんだ。俺の二つ隣の奴だよ」


 園神が前屈みになって確認する。


「あぁ、彼ね。一生懸命教科書を読んでいるわ。感心ね」


 駿樹は教科書を立てて読んでいた。園神は安心したようにいう。だが。


「いや、違うな」


「また何かあるの……?」


「よく見てみろ。教科書を重ねて裏で何か隠して読んでいるんだ。……ちょっと待っててくれ。」


「……?」


「おい駿樹。教科書の裏に隠している物は何だ?」


 俺は教師に注意されないよう、声を小さめにして話す。


「これは、聖典だ……」


「聖典? 一体何の聖典なんだ?」


「…………オトナ向けの聖典」


「要するにエロ本って事だな」


「……それってあんなに真剣な眼差しで読むものなのかしら?」


「断じて違う」


 園神は心底辟易していた。そりゃそうだ。この(おおやけ)の場で集中してエロ本を読む奴なんか、こいつ以外にはいないだろう。


(おい駿樹。後でこっそりそれを見せてくれ)


(分かった)


 視線で会話する。さすがだ、心の友よ。


「あなたも変態ね……」


「エスパーか!?」


 何故視線だけの交渉がバレたんだ?


「はあ、あなたたちって本当に変わってる人ばかりね」


 まあ、あの二人は個性的かもしれない。いや、個性的だな。


「そうだな」


「ええ。三人とも救えないバカだわ」


「誰が救えないバカだ!」


 二人はともかく、何故俺までバカ扱いされなければならないのか。


「とにかく、後で二人とも紹介するよ」


「……好きにしてちょうだい」


「あぁ、そうさせてもらうよ。二人ともバカだがいい奴だ。きっと仲良くなれる」


「ふぅん……」


 彼女は特に嫌がる様子もない。よかった。友達になる意志はありそうだ。


 しばらくして、1時限の授業が終わった。



身体測定は次の話でやります。

因みにそのうち人物紹介を書こうと思っています。恐らく近いうちに投稿するでしょう。


感想、アドバイス等あればよろしくです。

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