4.波乱の連続。嫉妬と辟易と困惑
ラブコメですが萌えが少ないでしょうか?
初めの部分は、作者の無能ゆえにどうしてもそうなってしまいます。
初めの部分が終わったら、日常中心、ラブコメ中心と作品をしっかり分けて書きたいですが、果たして上手く行くかどうか...
誤文字、不明な点などがありましたら、教えてください。迅速に対処します。
気まずすぎた席替えの時間が終わり、10分休みの時間に入ると、男子共がぞろぞろと迫ってくる。
「おい高崎……! 園神さんの隣になれたからって調子に乗るなよ……?」
「園神さんと少しでもイチャついてみろ。俺が黙っちゃいないぞ……!」
俺を取り囲むように集まった男子共から、怒気の孕んだ声が飛び交う。ち、やはりこうなったか。
この状況をどうにかするためには、これらの醜い怨念を鎮める他に方法はないだろう。とりあえず、まずは皆を落ち着かせなければ。
「いやいや、皆落ち着けって!」
「「落ち着けるかゴルァ!」」
うん、まるで鎮まる気配がない。はっきり言ってめちゃめちゃ面倒くさいぞこれ。
げんなりしていると、武志が来て、嫉妬と憎悪の眼差しを俺に向ける。うげ、またまた面倒になりそうな予感……。
「まさかお前が園神さんの隣を選ぶなんてね……。裏切り者め……!」
「いや選べるわけないだろ。くじのルールも分からないのか?」
だとしたら、こいつの脳はチンパンジーレベルと言わざるを得ない。
「そんなわけないでしょ!?」
違ったらしい。
「だったら、俺が望んで園神の隣になったみたいに言うな」
「ぐっ、細かいことはいいんだよ! お前が園神さんの隣になったって事には変わりはないんだ、許さ―ん!」
そんな理不尽なことを言う。俺の心境も知らないで。こいつ、嫉妬しすぎて、頭に血が昇ってるな。
「武志。一旦頭を冷やせ、な?」
手のかかる子供をあやすように、できるだけ優しい口調で言う。すると武志は、訝しげな顔をする。
「何を言ってるんだ、別に熱はないぞ? そもそも風邪なんて引いたことないしな!」
「冷やせってそういう意味じゃねーよ!」
物理的に冷やせという意味で言った訳ではない。日本語すら通じないのかこいつは。
「だいたいな、ちょっと話してみたけどつめt」
「「会話した……だと……!?」」
突然、男子共が一斉に失意の表情を浮かべる。
「ぐぼぉぁ!」
「おい! 神田が羨ましさの余りに吐血して倒れたぞ!!」
「誰か! 誰か輸血を!」
「死ぬ……前、に……。美少女……の……胸……触って……みたかった……ガクッ」
「おい、神田……? 嘘だろ……?」
「だめだ! もう意識が……そんな……」
「「「神田ぁぁぁぁぁぁぁ!」」」
武志の死(?)により、男子共が悲痛な声を上げる。……もう果てしなく馬鹿馬鹿しかった。そんなに話したきゃ勝手に話しかければいいのに。
ていうか武志。遺言がそんな最低な願いでいいのか……?
相手にするのももう面倒だったので、俺は教室を出てトイレに行った。
――――――――――――――――――
廊下に出ると、葵が声をかけてきた。
「さっきの見てたわよー。あんたの面倒くさそうな顔、すっごく面白かったわ~」
「見てたのかよ……」
ていうか目の前で人が死亡した(?)というのに俺の顔をみていたのか?
「……ねえ、零人」
「何だ?」
「その……。やっぱり、気になっちゃうわけ?」
少し不安そうに言う。葵がこんな表情するなんて珍しい。
「何がだよ?」
「ほら、あの転校生。これ以上ないってくらい美人だし……」
「ん……。何でこんな学校に来たのかなーとは思うけど……」
「違う! 女の子としてって意味……!」
真剣そのものの表情で言う葵。何でそんなこと聞くんだ? 確かに美人ではあるけど。
「うーん、まだどんな人かちゃんと分かんないからな……」
「気にならない……?」
心配そうに、上目遣いで聞いてくる。不覚にもちょっとドキッとした。
「今のところはそうだな」
もし俺が園神さんのことが気になっていたとしても、向こうがあの態度では望みは薄いだろう。
それにまず、俺では園神さんに釣り合わない。
(よかった……。大丈夫みたいね)
「葵? どうした?」
「何でもない! ほら、さっさと教室戻るわよ!」
そういう葵は少し上機嫌に見えた。
「お、おう」
もともと教室を出たかっただけなので、トイレに行かず教室へ向かう。もう戻ってもいい頃だろう。
教室に着き、自分の席に座る。
………因みに武志は、力尽きたように机に突っ伏していた。見たところ一命はとりとめたようだな。
―――――――――――――――
本当にいろいろあった今日の学校生活がやっと終わり、帰宅の時間となる。
俺達は武志、駿樹のいつもの三人で帰宅していた。
「ちくしょー、やっぱ羨ましいよ……」
「武志、お前まだ言ってるのか」
「まぁ、武志の気持ちも分かるが……」
「だろー? 最初は羨ましすぎて死ぬところだったぜ」
「血吐いてたしな」
「死因.嫉妬によるショック死はダサずぎるな……」
もしこの死因を聞いたら、武志の両親はまず吹き出してしまうだろう。
「何回も言ってるだろ武志。俺はそんなつもりはないから、話しかければ話しかければいいって」
「そうだけどさ……」
「まぁまぁ武志、いつまでも嫉妬するのはやめようぜ……。零人もこう言ってるし」
「まぁ、それもそうだねー。こいつを妬んでもしょうがないかぁ」
あっという間に仲直りをする。こういう所が俺達の良い所だ。
「そういえば駿樹。お前あの席替えの後の時なにしてたんだ?」
見たところ男子共の中にはいなかったと思うが……。
「女の子の観s……。用を足していた……」
「バレバレの嘘つくんじゃねぇよ!」
駿樹よ、相変わらず隠す気があったのか?
「それより零人……。隣の家の人、もう引っ越してきたのか?」
「ごまかしやがって……。まぁいいや。まだ引っ越して来てないと思うけど……」
我が家の隣の家には、近々引っ越して来る人がいるらしい。いつかは分からないが、そろそろ来ると母から聞いている。
話しているうちに、俺の家の前に着く。
「まぁ、引っ越してきたら話すよ。じゃあな!」
「おう! じゃーねー」
「またな」
二人に一瞥おいて、俺は家に入っていった。
――――――――――――――――
「ただいまー」
玄関を通り、自分の部屋に荷物をおく。少し喉が乾いたので、リビングに行った。
そこには母さんと、先に学校から着いていた妹がいた。因みに父は仕事のため、年に数回しか帰ってこないのでいない。
「お帰りなさい! 今朝は凄いピンポンなってたわね~。また武志くん達でしょ?」
「よくわかったね、母さん。………いや、分かるか」
二人とは幼馴染みなので、母さんも二人の事はよくしっていた。
ていうか怒らないんだな。相変わらず優しい人だ。
「おかえり。兄ぃ……」
妹が声をかけてきた。妹は基本のんびりしていて、寝坊助な所もあるが、可愛い自慢の妹だ。
「ただいま、我が妹よ。どうだ? 友達はできたか?」
妹は今日からうちの学校の一年生なのだ。高校生活、上手くいけばいいが。
「うん、たくさん話しかけられた。……うれしかった」
本当に嬉しそうに言う妹は可愛いかった。思わず頭を撫でてしまう。……因みに俺はシスコンじゃないぞ。
「♪~……。後、兄ぃの事も聞かれた」
そうなのか。まぁ、姉や兄の事なら聞かれることもあるのだろう。
「へぇ~。俺の事なんて言ったの?」
「……とってもバカな人って」
「なんだって!?」
聞き捨てならない。
「そしたら、皆笑ってた……」
なんて事だ。知らないうちに俺は恥をかいていたのか。しかも後輩相手に。
「う~んそれは恥ずかしいな……。まぁいいか、美奈が上手くやっていれば。友達は大事にするんだぞ?」
「うん……」
俺は飲み物を飲んで喉を潤し、部屋に戻った。
――――――――――――――――
「零人ー! ご飯よー!」
部屋で適当に過ごしていると、母さんの声が聞こえた。どうやら夕飯の時間らしい。
リビングに行き、家族三人でいただきますをしてから夕飯を食べる。
俺は母さんに聞きたいことがあった。
「母さん。隣の人って、まだ引っ越してきてないの?」
「うーん。ついさっき荷物用トラックみたいなのがきてたから、もうすぐじゃないかしら。どうかしたの?」
「いや、駿樹のやつに聞かれただけだよ」
「あらそうなの。……あ、そういえば!」
なにか思い出したらしい。
「何だよ?」
「クラス替え! とうだったの? 武志くんや駿樹くんとは一緒になれたの?」
「あぁ、そっちか。3年1組。どっちも同じクラスになったよ」
話が脱線した気がするが、まぁいいか。
「まぁ、凄いわね! 今までずっと一緒だったのに!」
「ほんとにね」
嬉しそうに声を弾ませる母さん。
「因みに葵ちゃんはどのクラスになったの?」
「葵も一緒の組だよ」
「ホント!? 今年は皆一緒なのね~」
「あぁ。……ただでさえ騒がしくなりそうなのに、その上転校生まで来たんだよ……」
「まぁ、転校生って?」
どんな人なの? と首を傾げる母さん。
「すげぇ美人の女の子だったんだ。あっという間に男子の人気の的になってさ。……しかも、俺の隣の席になったんだよ」
「よかったじゃない! あ、あの子にとっては良くないことかしら」
「いや……。あの子って?」
何と言えばいいのかわからず、言葉を濁す。
「転校してきたその娘、名前は何ていうの?」
「あぁ、名前は……」
ピンポーン
言いかけた所でインターホンがなる。誰だろう? 連打してこないし、あの二人ではなさそうだ。
「あら? 隣のお方かしら?」
「とりあえず俺がでてくるよ」
立ち上がって、玄関の扉を開ける。
「はーい。どなたですか?」
「こんばんは。夜遅くにすみません。このたび隣に引っ越して来ました。園神と申し…… あら?」
「…………………ゑ?」
そこには、絶世の美少女園神夏音が、驚いた様子で立っていた。
……………てか今、「隣に引っ越して来ました」って言った?
やっと次で本当の物語が始まりそうです。
自分としては、正直初めより早く中を書きたいのですが、当然、そうもいきません。
作者の自分勝手な行動で、さらに作品をダメにするわけにはいかないですしね。
これから頑張りますよー
感想、アドバイスなどあればお願いしますです。