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才色兼備の少女が隣の家に引っ越してきたんだが  作者: 江谷伊月
第二章.凡人と天才の憂鬱
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40.桃すけとデート(中編①)。目が合っちゃった

お久しぶりです。やっぱり小説を書くのは楽しいですね。

 トンネル水槽を通り過ぎた先には、ペンギンさん達がいるコーナーがあった。


 そういえば小さい頃は、ペンギンは水中で息ができるもんだと思ってたな。魚のようにずっと、水中を自由に泳ぎ回れるんだと勝手に想像していた。けれど実際は、一度に平均2~4分ぐらいしか潜ってないらしい。


「わあ、速い速い! いいなー、ボクもこんなに速く泳いでみたい!」


 目をキラキラさせて、ペンギンが泳いでいる様子を見る桃。相変わらず好奇心旺盛だな。何でも楽しそうに見るこいつは、見ていてとても微笑ましい。


「泳いでるのだけじゃなくて、陸にいるペンギンさん達も見てみろよ。いろんな種類がいるぞ」


 水中ばかり見ている桃に、陸の方を指差して視線を誘導する。


「わー、ホントだねえ! あの黄色い眉毛の、おじさんみたいな顔の子が、コウテイペンギンかな?」


「確かに風格はあるが、違うみたいだぞ。あれはイワトビペンギンっていう種類らしい」


 種類の説明が書いてあるパネルを指すと、桃は『へえ~、そうなんだ!』と興味深そうに頷いた。


 どうやら桃は、イワトビペンギンの長い眉毛と、いかつい顔つきのせいで、コウテイペンギンと勘違いしたようだ。どうせ名前の響きと見た目だけで想像したんだろう。


「ねーねー、ペンギンさんって、歩くよりお腹で滑る方が速いんだって~! ほら、これ見てよ!」


 ペンギンの生態が書かれてあるパネルを見続けていた桃が、パネルを指差しながらぴょんぴょんとはしゃいでいた。……その動きに合わせて、胸元にある二つの大きなモノも、ぴょんぴょんとはしゃいでいるのだからとても心臓に悪い。


「どれどれ……」


 煩悩を振り払って桃のいるところまで行き、彼女の隣でパネルを見る。なるほど、お腹で滑って移動するのを『トボガン滑り』っていうのか。確かにペンギンの場合は、ヨチヨチ歩きよりも氷を滑った方が速そうだしなあ。


 よく思い付くな、とペンギンに感心していると。


「っ……!」

 

 すぐ隣に桃の顔があることに気づいてしまった。同じパネルを見ている訳だし、そりゃ顔も近くなるんだろうけど……。思わずドキッとしてしまう。


 ふわふわの栗色の髪、何一つ不純物のない綺麗な瞳と肌。整った顔立ちと真剣な表情は、普段とのギャップもあってとても綺麗に見える反面、ほんの少し可愛らしい、とも感じた。


 思わず魅入っていると、俺の視線を不思議に思ったのか桃が、こちらの方を向いてしまい……目が合ってしまった。


「「あっ……!」」


 お互いに恥ずかしさから、顔を赤くしてすぐに視線を外す。


「ど、どうしたの零人くん……? ボクの顔に何かついてたかな……?」


「い、いや。何でもないよ。そ、それよりさ! このお腹で滑るっていうの実際に見てみたいよな~……」


 強引に話題を振って誤魔化そうとする俺。さ、さすがに無理矢理すぎたか……?


「そ、そうだね! もしかしたら、今見れるかもしれないよ!」


「うーんさすがにそれは厳しいかもね?」


 硬い岩でできた陸を滑った際には、ペンギンのお腹が大変なことになってしまうだろう。


 どうやら何故か、桃の方もテンパっているらしい。


「そ、そろそろ次のところに行こうぜ」


「う、うん!」


 まだ落ち着かないまま、俺たちは次のコーナーに進んでいった。


 さ、さすがにバレてないよな。桃の顔に見惚れてたなんて。もしバレてたら恥ずかしすぎる……!


 込み上げてくる羞恥心を落ち着かせるため、桃はアホの子だから大丈夫、と自分に言い聞かせた。


 一方、桃の方はというと。


『(うわあ、零人くんの顔を見ようとしたら、目が合っちゃったよ~! 恥ずかしすぎる~!)』


 どうやら、お互いに自分のことで精一杯だったらしい。



閲覧ありがとうこざいました。これからもぼちぼちがんばります。

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