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才色兼備の少女が隣の家に引っ越してきたんだが  作者: 江谷伊月
第二章.凡人と天才の憂鬱
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36.英語の授業。英語の基本は単語の理解。

 英語の授業中。うちの学校でほぼ毎週行われている英単語の小テストが返却された。


 さて、俺は……20点満点中13点か。ちなみにこのテストには合格か不合格かが決められるのだが、一問一点で16点以上が合格判定なので俺は不合格だ。


 ろくに勉強もしなかったので当たり前のことなのだが、不合格者には課題が課せられる。はぁ、面倒くさい。もうちょっと勉強しておけばよかったかな。


「平均点は17点、まずまずといったところでしょうか。英語の基本は何といってもまず英単語を覚えることです。特に長文読解などでは、例え文法が分かっていたとしても単語の意味が分からなければ話になりません。こんなテストで不合格になっているようでは、試験で結果を出すなど正直言って不可能に近いでしょう」



 テストを渡し終えた先生がド正論を言う。そりゃそうだ。三年生にもなって英単語をろくに勉強していないなんて、受験をなめているにもほどがある。


 分かってはいるけど、いい加減やることやらないとヤバイな……。そのためには進路を早く決めないと。


「まあ、三年生の君たちは重々承知しているとは思いますがね。今回のテストで間違えたところはしっかりと復習しておくように。不合格は今週までに課題を提出すること、そして次のテストは絶対に合格すること。いいですね?」


「「はーい」」

 

「うむ、よろしい」


 次のテストか。多分また来週にあるんだろう。さすがに次は合格したいし、頑張ってみようかな。


 そう思ってなんとなく隣の席の方をチラッと見てみる。当然といわんばかりの20点だった。


「さすがだな園神。今のところ毎週20点満点じゃないか」


 今まで何回か行われてきた単語テストだが、こいつはすべて満点だった。


「そうね」


 別に誇るわけでもなく、淡々と返事をする園神。


「今まで全部満点なんて、クラスにもそうそういないぞ」


「そうなの? すごく簡単なテストだったはずだけれど。少なくとも13点なんて論外な点数をとれるテストじゃないわ」


「お前見てたのかよ!」


 なんか恥ずかしい……。よりによって毒舌な上に満点が当然と思っているこいつに見られるなんて。


「こほん。皆さん、お静かに」


 何か言い返したかったが、先生に止められる。くそ、園神のやつを見返すためにも次は満点を取ってやる……!


 先生は話し声が聞こえなくなったのを確認してから、授業を再開した。


「さて、英単語においてですが、単語の意味を覚えるのはもちろんのこと、重要なのは発音もしっかり覚えることです。アクセントの場所、読み方などを知らなければ、英語を話すことも聞くこともできません。それでは実用的とは言えないでしょう」


 発音か。今まであまり意識してこなかったが、そう聞くと確かに大事かもな。知らないと、リスニングテストでも単語を聞き取れないし。


「発音を間違えやすいものとしては、埋めるという意味の英単語『bury』があげられます。これは『バリー』や『ブリー』と読むのではなく、『ベリー』と発音します。基本的な単語とはいえ、知らないと間違えやすいですね」


 なるほど。uがあるのにベリーと発音するのか。これは分かりづらいな。


「というわけで、繰り返し言いますが英単語は意味と発音、両方を覚えることが重要なのです。……ここで小テスト2点だった神田君に質問」


「ええええ何でバラすし!?」


 ざわざわ……


『20問あって2点って、マジかよ……!?』


『半分くらい選択問題もあったのに……わざととしか思えないわ』


『俺でも6点だぞ。バカめ』


 暴露されたことにより、生徒たちが噂をする。


「ほらーー先生のせいで皆僕の噂してるよ恥ずかしい!! あと最後のやつは僕と大して変わらないだろ!!」


 対して被害者の武志が顔を真っ赤にして抗議する。平均17点のテストを2点て。逆にこいつがいるのによく平均そんなにいったな。不合格者はほぼいないってことか。……だったら俺も武志のことをバカにできないのかもしれない。


「ほら、園神。俺より遥かに論外があそこにいるぞ」


「……彼は頭の中そのものが論外ね」


「はは、違いないな」


 さすがにこの光景に慣れてきたのか、最初はあまりの武志のバカさに愕然としていた園神であったが、今は呆れるだけで済むようになっていた。


「いやいやすみません。皆さん静粛に」


 皆静かになる。まぁ武志の点数がゴミクズなことなんて毎度のことなので、今さらこれ以上騒ぐことでもない。


「まぁいいですけど……。それで先生、質問ってなんですか?」


「あぁ、そうでした」


 そういって先生は、黒板に『genes』と書いた。


「では神田くん、この英単語の読み方と意味を答えなさい」


「……??」


 武志は悩ましげに黒板を凝視する。高校生ならほぼほぼ分かって当然のこの単語、果たして武志には分かるのだろうか。


 ちなみに正解は、読み方が「ジーンズ」意味が「遺伝子」の複数形。読み方が少し特殊だ。


「神田くん。まさか、分からないなんてことはありませんよね?」


「……! あ、当たり前じゃないですかあ(やべぇなんだこれ初見すぎる……!)」


 強がった風に言う武志。あの様子だとあいつ、知らないな。


「では答えなさい」

 

「わ、わかりました」


 さぁ、彼はどんな答えを導き出したのだろうか。


「読み方は『ジェネス』! 意味は『宇宙』の複数形です!」


「なるほど。神田くんが宇宙クラスの馬鹿だということがわかりました」


「ひっでぇ!! あんたホントに教師か!!」


 教室の所々から失笑が漏れていた。


明けましておめでとうございます。今年も頑張りましょう!

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