34.姫宮さんとデート(中編②)。甘々なパフェ
涼花に連れてこられた場所は、カフェだった。
「ん~! 甘くて美味しいです~……!」
目の前にはフルーツ盛りだくさんのパフェと、それを幸せそうに食べる涼花の姿があった。何とも魅力的な絵だ。
「高崎くん、本当にありがとうございます!」
「いやいや、勝負に負けちゃったからには約束を果たさないとね」
俺は卓球勝負に負け、ルールである相手の言うことを一つ何でも聞くというの罰ゲームを負わされた。
それでパフェを奢ってほしいと言われたので、今涼花が食べているパフェを奢ったというわけだった。
「高崎くんはパフェ食べないんですか?」
「うん、俺はこのコーヒーで十分かな」
今飲んでいるコーヒーをさしながら返す。あんまりパフェとか食べたことないしね。
「そんな、もったいないですよ!」
「うーん、そうかな?」
涼花にしてたは珍しく、強気に迫られる。ここのパフェってそんなに美味しいのか?
「はい! そうだ、私のパフェを一口あげますから、食べてみてください!」
「え、いいの?」
「もちろんです、良ければですが」
にこやかに言う。やっぱり涼花は優しいな。断る理由もないし、折角なのでもらっておこう。
「んじゃ、もらおうかな」
「はい、じゃあ……あーん」
「あーん……って、えぇ!?」
さっきまで食べていたスプーンで一口分すくい、こちらに差し出す涼花。一口って、それでなの!?
「ちょ、ちょっと待とうか涼花さん!?」
「はい? どうかしましたか?」
さすがに恥ずかしすぎるので、一旦止める。どうして涼花は何食わぬ顔でポカーンとしていられるのだろうか。
「『どうかしましたか?』じゃないよ! 恥ずかしくないの!?」
「え、あーんしてあげることですか? 私はそこまで抵抗はないですよ?」
「なんだって!?」
おかしい。この人の恥ずかしいの基準が分からない。
「いやそれもだけど! そのスプーンを使うってことは、……か、間接キスになるんだよ?」
「え……あっ……!!」
そこまで言うと、姫宮さんの顔も赤くなる。やっと気づいたのか……。
「それは、さすがに恥ずかしいです……」
「だ、だろ? とにかく、俺は違うスプーンで自分で食べるから」
脇においてあったスプーンをとろうとする。
「待ってください!」
すると、涼花に止められる。何で止めるんだ?
「ど、どうしたの涼花?」
「私……。さっきのもう一回したいです!」
「え、さっきのってまさか……!」
「はい。このスプーンで、あーんしてあげます!!」
「本当に言ってるの!?」
俺が自分で食べた方が恥ずかしくないし、お互いその方がいいはずなのに! なんでわざわざそのスプーンであーんしたがるんだ!?
「はい、恥ずかしいですけどやります! お母さんも『女は一度覚悟を決めて行動したら、やり終えるまで決して後戻りをしてはいけない』って言ってましたし!」
「なんて男らしい教育なんだ!」
娘相手に施すものとは思えないが、素晴らしい教育だ。しかし、この場面に限っては仇でしかない。
「というわけで高崎くん、口を開けてください!」
「分かったよ……。涼花がそこまで言うなら……!」
俺も男だ。女子が覚悟を決めたと言うのに、男子の俺が逃げるわけにはいかない。
「では、いきますね? あーん……」
「あ、あーん……はむっ……」
ついにスプーンにのったパフェを食べる。これで間接キス。恥ずかしすぎるぞ……。
「お、お味はどうですか……?」
照れながらこちらを伺う涼花。なんて、可愛らしいんだ……じゃなかった! なんかもう、恥ずかしすぎて味のことなんて完全に覚えてないな……。適当に答えておこう。
「お、美味しいよ。とっても甘くて濃厚だね?」
「そうですか、お口にあって何よりです……」
「……」
な、なんだか変な雰囲気だ。早く別の話題を切り出さないと、この空気に耐えれる気がしない!
「さ、さて、そのパフェ食べ終わったら次の場所に行こうか?」
「は、はい、そうですね! ちょっと待ってください……!」
「うん。ゆ、ゆっくり食べなよ?」
こうして、涼花は数分後にはパフェを食べ終わり、俺たちは次の場所へと向かったのであった。
何だか、いろんな意味でめちゃめちゃ甘い時間だったな……。
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