表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
才色兼備の少女が隣の家に引っ越してきたんだが  作者: 江谷伊月
第二章.凡人と天才の憂鬱
31/44

27.デート(中編)。ゲーセンで勝負③

「最後はこれよ!」


「えーと、クイズゲームか」


 三つめ、つまり最後のゲーム対決に選ばれたのはクイズゲーム。早押しではなく、制限時間内に答える形式だ。クイズゲームだが、シングルプレイだけでなくマルチプレイも可能。難易度も簡単なものから難しいものまであり、個人にあった設定ができる。さらにジャンルの種類も豊富なため、とても人気のゲームだ。


「って、お前これは卑怯じゃないか!?」


 慌てて抗議する。なぜなら葵と俺とでは成績に差があるからだ。もちろん葵の方がダントツ良い。つまり、単純な頭の良さはあっち側の方が上というわけだった。


「ん~、なんのことかしら~?」

 

 知らん顔をする葵。


「とぼけるな、明らかにお前に有利すぎるだろうが!」


「あら、それはあんたが私より馬鹿なのを認めるってことかしらー?(ニヤニヤ)」


「くっ……!」


 葵の言葉にたじろいてしまう。煽ってきていることは明白だが、馬鹿と言われてただ黙っているのも、プライドが簡単に許してくれないのだ。


「まぁそれなら仕方ないわねー。頭を使わない別のゲームにするとしましょうか~」


 つかつかと場を離れようと歩く葵。


「……待てよ」


「ん?」


 葵を引き留める。のせられているようだが仕方がない。ここまで馬鹿にされたんだ、このゲームで勝って見せようじゃないか!


「勝負だ! このクイズゲームでな!」


「へぇ~。あんた、意外と度胸あるじゃない」


 背を向けていた葵が、くるりとこっちをむく。


「当然だ。どんな勝負でも勝ってやる」


「いいのよ、無理しなくても。そこまで負けたいのならやってあげるけど、結果は見えているわ。止めておきなさい?」


「へっ、そんな言われて逃げれるかよ! それともなんだ、葵がやりたくないとか? 馬鹿に負けるのが怖いのか~」


 逆に煽り返してみる。


「……言うじゃない。いいわ、このゲームで圧倒的な差をつけてやるわ!」


 こうして、結局クイズゲームで勝負することになった。案外葵もチョロいのかもしれない。人のことは言えないが。





―――――――――――




 

 マルチプレイ、難易度を高校生レベル、ジャンルをランダムに設定してゲームを始める。すると、ゲーム画面が動き出した。


『ゲーム説明! このモードでは、クイズの正解数を競い、その正解数が多い方が勝ちとなります! 正解数が両方とも同数の場合は、引き分けとなります!』


 ゲーム個体から、ボイス付きの説明が流れる。なるほど、延長戦などはないってことか。


『クイズは全部で5問あります! それではさっそく第1問、ジャンルは現代文です!』


「よーし、なんでもきなさい!」


 さっそく1問目が始まる。葵も気合い十分のようだ。


『「山月記」「光と風と夢」などの作者として知られる、昭和時代前期の文豪の名前を、フルネームで答えなさい』


 画面に問題文と五十音表が表れる。漢字ではなくひらがなで答えるようだ。


 さて、問題の方だが、まったく分からないぞ……?


「これは楽勝ね!」


 隣では余裕を見せている葵。もう既に解答し終わっているようだ。そんなに簡単な問題なのか……? まだ制限時間が残っているので、真剣に考えてみることにする。


「うーん……」


「あら、こんな簡単な問題も分からないのかしら~?」


「そ、そんなわけないだろ? こんなの簡単さ」


「まぁ、そうよね~」


 葵はこちらが悩んでいるのに気づくと、すぐに煽ってくる。くそ、なめやがって……。


 簡単ってことは習ったことがあるのか? 確かに『山月記』の方は見覚えがあるが……。思い出せ、その作者を!!


『制限時間あと5秒です!』


「な、やばい!」


 頭を悩ませている内に、制限時間がせまってきてしまったようだ。結局思い出せなかったので、適当にタッチパネルを連打した。


『終了です! では、二人の解答を表示します!』


 画面に、お互いの解答が表示される。


 葵「なかじまあつし」 俺「へねたこせりはぬ」


『正解は「なかじまあつし」です!』


 葵の解答の方にはマル、俺の解答の方には当然バツのマークがついた。


「あんた絶対ふざけてるわよねえ!?」


「ちがう、分かんないから適当にやっただけだって!」


 ふざけたと疑われ、葵に怒られてしまった。次はちゃんと正解してやる!


『では、次の問題! 第2問、ジャンルは日本史です!』


「よしっ!」


「うわ、最悪ね……!」


 得意な日本史がきたので、思わずガッツポーズをする。しかも葵は学校の授業で日本史をとっていない。これはチャンスだ!


『9世紀頃に活躍した三筆は、空海、嵯峨天皇とあともう一人います。その人物の名前をフルネームで答えなさい』


 なるほど、だいぶ前に習った範囲だな。だが、俺はこれを覚えている!


 余裕なので隣を見ると、葵が全く分からないといった苦しい表情をしていた。そりゃあ、習っていないからな。いくら頭が良くても、やってもいないことを最初から知っているわけではないのだ。


『終了です! では、二人の解答を表示します!』


 1問目同様、両方の答えが表示される。


 葵「はげ」 俺「たちばなのはやなり」


『正解は「たちばなのはやなり」です!』


 今度は葵の解答にバツが付き、俺の解答にマルがついた。ってそれよりも!!


「お前の方がふざけてんだろ!?」


「いやー、私もわかんなすぎて適当に書いちゃって……!」


 「はげ」がフルネームなんて、人生の罰ゲームだ。それが後世に伝わった日には、あまりの恥ずかしさに成仏なんてできないだろう。


 まぁとにかく、これで1対1だ。この調子でなんとか食らいついていくぞ!





―――――――――――



 

 その後もゲームは続き、4問目まで終わった。今のところの成績は、どちらも3対3。


 3、4問目は俺でもギリギリ分かるような問題がでてきたので、なんとか両者正解に持ち越している。


「やるわね。でもここまでよ! 次の問題で決着つけるわ!」


「そうだな、絶対解いてやるぜ!」


 お互い最後の問題ということで、今まで以上に気合いが入っていた。


『それでは最終問題! 第5問、ジャンルは数学です!』


 数学か。どんな問題が来るのか予想できないな。


『公式「nCr」において、「C」はある英単語を意味しています。その英単語のスペルを答えなさい』


 画面にアルファベットの表が表示される。英単語か、スペルミスは許されないな。


 さて、肝心の問題の答えが分からないぞ……。しかしここで諦めては負けてしまう。何か考えるんだ!


 まず問題についてだが、確かこれは確率の公式だったはず。そういえば『選ぶ』が問題文にあったらこの公式を使うという記憶はあるぞ……。


 だとしたら、『選ぶ』の意味をもつ英単語……『Choose』が正解か! 


「ふっふっふ……!」


 我ながら素晴らしい推理だ。思わず笑みがこぼれる。


「何よ、いきなり笑って気味悪いわね。言っておくけど私この問題ならもう分かったわよ」


「そうか、なら引き分けだな」


「お、あんたも自信ありそうね。勝負は次に持ち越しかしら」


「まぁね。今日ほど自分が天才だと思った日はないよ……」


 葵も分かったなら引き分けか。まぁ負けるよりはましだろう。次の勝負で決着つけてやるとするか。


『終了です! では、二人の解答を表示します!』


今までと同様、俺たちの解答が表示される。


 葵「Combination」 俺「Choose」


『正解は「Combination」です!』


 …………は?

 

 葵の解答の方にはマルがつき、俺の解答には当然バツがつく。


「あんた、あんだけイキって自分のこと『天才』とか言っといて外すとか、ダサすぎでしょ……」


「うるさいわ!! 俺の推理は完璧なはずだったのに……」


「推理で解いといてよくあんなに自信満々でいられたわね……。やっぱあんた馬鹿だわ」


「くそ、何も言えねぇぇぇぇ!!」


 こうして、クイズゲームは葵の勝ちとなった。つまり3本勝負の方も、葵に軍配があがったのだった。


閲覧ありがとうございます。試験勉強しながらですが、できるだけ投稿したいと思っています。


それと、明日から19時投稿になります。(※次回の投稿は今日の19時でした。夜中に投稿したので曖昧ですみません)

よかったら、感想の方を書いていただければ嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ