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才色兼備の少女が隣の家に引っ越してきたんだが  作者: 江谷伊月
第一章.二つの始まり
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2.ホームルーム。 クラスに現れた転校生

 教室に着き、名簿番号順に並んでいる席から自分の番号の席を見つけ、机に荷物を置いて椅子に腰をかける。すると、周りの連中が何やら噂話をしていた。


「知ってるか? 今日転校生が来るらしいぜ」


「マジかよ! 珍しいな」


 どうやら、先程クラス表で見た名前は転校生のものだったようだ。しっかり見ておけばよかった。


 そんなことを考えていると、荷物準備を終えたらしい武志と駿樹が俺の席の近くに来る。


「なぁ、聞いたかよ! 転校生の話!」


 武志が興味津々といった顔で言う。どうやら皆転校生の話題で盛り上がっているようだ。


「あぁ。噂を聞いた程度だけど」


「おなじく……」


「女の子らしいぜ! 可愛い娘だったらいいなぁ~」


「まぁそうだな」


「確かに……」


 俺は少しだけそんなおいしい展開に期待に胸を膨らませていた。……少しだけだよ?


「あら、あんた達。なんの話をしてるのー?」


 葵がこちらに話しかけてきた。


「転校生の話だよ。知ってるだろ?」


 俺が説明すると、葵は何故か呆れたような表情を浮かべる。


「あぁ~。どうせあんた達のことだから、可愛い娘だったらいいなぁ~、とか言ってたんでしょ……」


「そそそそんなことないですよ……?」


 なんとビックリ、大正解だ。


「全く。男子ってすぐそういうこと言うんだから……」


 少しつまらなそうにいう。


「し、仕方ないだろ! 可愛い娘が転校してくるなんてのは男のロマンだ!」


「おうよ武志! よく言った!」


「はぁ。変態ね……」


 ゴミ見るような目で葵が俺と武志を見る。いけない。思わず武志に乗ってしまった。すると駿樹はニヤリと微笑む。


「フッ……。安心しろ、俺はこいつら変態と違って転校生の事などどうでもいい……」


「「お前さっき俺達に同調してただろ!!」」


 自分だけ変態扱いを逃れようだなんて、なんて薄情な奴だ。


「うふふ……。相変わらず楽しそうにお話していますね」


 誰かが話しかけてきた。今のが楽しそうに見えたのだろうか。


「あ、姫宮ちゃんだ!」


「皆さん、おはようございます。ふふっ……」


 姫宮さんが笑顔で挨拶をすると、一気に場の雰囲気が穏やかになる。


この人は姫宮涼花(ひめみやすずか)さん。綺麗なショートヘアーで、スタイルがよくとても穏やかな性格だからか、男女問わずに人気を博している。去年クラスが一緒で、クラス委員長でもあった。俺達とはよく話す仲だ。


「ところで、なんの話をしていたんですか?」


「あぁ、聞かなくてもいいわよ。ホントにロクでもない話だから」


 酷い言われようだが、仕方がない。


「え~。私もお話ししたかったですー……」


 そういって口を尖らせている姫宮さんは少し可愛かった。思わずドキっとする。


「ギロッ……………」


 葵が物凄く恐ろしい目でこちらを(にら)んでいるようにみえるのは気のせいだろう。そう信じたい。


 ガラガラガラッ


 タイミング良く(?)先生が入ってくる。


「そろそろ朝のホームルームが始まってしまいますね。それでは皆さん、また今度~」


 姫宮さんをはじめ、それぞれが自分の席に戻って行く。俺もそのままだった荷物準備を手早くすませる。


「ほら、皆席につけー! ………よーし。それじゃ、朝のホームルームを始めるぞー!」




―――――――――――――――――




 起立、礼、着席と挨拶をし、朝のホームルームが始まる。


「このクラスの担任になった、鬼山昭子(おにやまあきこ)だ」


「「「うげっ」」」


 よりにもよってヤツが担任とは……最悪だ。武志と駿樹も絶望的な表情をしている。


 鬼山先生はその名のとおり、鬼教師で有名だ。この2年間、何度ヤツの餌食となったことか。


「1年間世話になる。……今絶望的な顔をしている三バカ共は特にな……!」


 三バカ……? 聞いたこともないが、一体誰の事だろうか?


「私の自己紹介はこれまでだ。さっそくだが、まぁもう感づいている者もいるかもしれないが―――― 転校生を紹介する」


 やはり転校生が来るようだ。どんな生徒なのだろうか。


「入ってきてくれ」


ガラガラガラッ


 転校生の女子生徒が入ってくる。その女子生徒の姿は、



―――――それはもう、完璧なまでに美しく輝いていた。



 癖っ毛一つない艶やかな長い髪。反則的なまでに整った端正な顔。不純物の一つもない透き通った双眸。女子の中では高めな身長と華奢な体躯。すべての「美しさ」を兼ね備えたかのような少女が、そこにいた。


 その姿に、クラス全員が釘付けになっていた。


 その女子生徒は、先生の元に歩いていく。


「今日からこの学校に通う、園神夏音(そのがみかのん)だ。皆、仲良くするように。ほら、自己紹介しろ」


「はい」


 呼ばれたその女子生徒は、こちらを真っ直ぐ見る。


晴斗学園(せいとがくえん)高校から来ました、園神夏音です。よろしくお願いします」


 晴斗学園って、この辺りじゃ偏差値が一番高い高校じゃないか! 何故高校三年生になってたいして偏差値も高くないこの高校に転校してきたんだ? 親の都合だろうか?


「じゃあ園神。そこの空いている席に座ってくれ」


「分かりました」


 園神さんが空いていた席に着席する。


「このホームルームが終わったら入学式だ。時間内に準備して廊下に整列するように。では、これで朝のホームルームを終わる」




――――――――――――――――――




 ホームルームが終わると、クラスの男子を中心に生徒がぞろぞろとそろって園神さんのところへ迫っていく。


 そこにはあのバカ(武志)も混ざっていた。


 女子はともかく、もはや迫っていない男子は俺と駿樹とあとわずかの男子しかいない。


「駿樹。お前は行かないのか?」


「俺はEカップ以下に興味はない……」


「お前やっぱ変態じゃねぇか!」


「そういうお前は行かないのか……?」


「俺も気になるんだが……」


 ふと葵の方を見る。


『イッタラ消ス………… (バキボキ)』


「行き先が天国に変わってしまう(おそれ)があるんだ」


 俺だって命は惜しい。


「皆さ~ん! 園神さんが気になるのは分かりますが入学式の準備をしないとダメですよ~!」


 姫宮さんが一生懸命声をあげて指示する。男子共は、しぶしぶといった感じで廊下に整列する。


 転校生の園神夏音は俺達の「可愛い」の想像をさらに上回るほどの美少女だった。それに、非常に高い偏差値をもつ高校から来たことから、頭も良いはずだ。


 才能に恵まれ、さぞ輝かしい人生を歩んでいるのだろう。


 俺は勝手に彼女を羨ましいと思いながら入学式へ臨んだ。



やっとメインヒロインが登場しました。が、出番はほんのわずかでしたw

自分としては、出番はもっと早くしたかったのですが、無能ゆえに少しばかり長くなってしまいました。

感想、アドバイスなどがあればぜひお願いします!

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