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才色兼備の少女が隣の家に引っ越してきたんだが  作者: 江谷伊月
第二章.凡人と天才の憂鬱
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25.デート(中編)。ゲーセンで勝負①

 次に俺たちがやってきたのはゲームセンターだった。


「おい葵、俺たちは買い物に来たんじゃなかったのか?」


「いーでしょ、少しぐらい遊んでも! プレゼントは買えたんだし」


 まぁそうだけど。葵がいいならいいか。


「それならいいけど。お前とゲーセンなんて懐かしいな」


 なんだかんだで、二人っきりでゲーセンで遊ぶのは結構久しぶりな気がする。


「そーね、中学一年生の時以来かしら? 二人きりだともっと前かもしれないわねー。せっかく久しぶりに私たち二人でゲーセンに来たんだから、いっぱい楽しんでいきましょう!」


「おう、そうだな!」


 葵もテンションが上がってきてるし、俺も全力で楽しもう!


「というわけで零人、勝負よ!!」


「勝負か、望むところだ! 内容はなんだ?」


「ゲーセン内のゲーム限定3本勝負よ! 2本とった方の勝ちね。負けた方は勝った方の言うことを聞くってことでどうかしら!」


 なるほど、シンプルかつ分かりやすい。要するにゲームで葵に2回勝てばいいだけの話。


「おーけー。言っとくが、手加減はしないからな!」


「あら、手加減が必要なのはどっちかしらねー?」


 ち、煽ってきやがって。この勝負、絶対負けねぇ!



―――――――――――




「最初の勝負は、このパンチングマシンよ!」


「おー」


 目の前には真ん中に丸がついたサンドバッグつきのパンチングマシンゲーム。サンドバッグを殴って倒し、その威力を測定するというゲームだ。


「でもいいのか? これは単純に力が強い男が圧倒的に有利だぞ?」


「なめられたものね。やってみないとわからないでしょう!」


 まじか、ホントにやる気なのか。


「じゃあ私からいくわね。お金を入れてっと」


 ゲームが動く。それまで倒れていたサンドバッグが起き上がり、画面には「殴れ!」の文字が表れる。


「ふんっ!!」


 バゴンッ!!!!


 サンドバッグが勢いよく殴り倒される。女子が殴ったとは思えないほどすさまじい衝撃音だ。


「えっと、記録は……201ね。まぁまぁかしら」


「201だと!?」


 200越えなんて、男子でもなかなかいかないレベルだ!しかもゲーム画面によると、本日店内トップ10入り。明らかに女子高校生が出せる数値ではない。


「化けもんか……! まるでゴリラみた」


「あら、ここにもサンドバッグが!(シュッ!)」


「命の危機っ!!!(サッ!)」


 俺の危険予知のおかげか、いきなりパンチがとんでくるも、すんでのところでなんとか避ける。今耳元でブンッって音がしたぞ。どんな威力してんだ!


「あんた今なにか失礼なことを言ったのかしら?」


「いえ、そんな恐れ多い」


 葵はれっきとした女子高生だ。決して動物などではない。


「とにかく、次は俺の番だな」


 普通なら男の俺が有利なはずだ。それに、201という数値も一応まだ射程圏内。己の肉体を信じ、限界を引き出せばまだ、可能性はある!


 そして今、ゲーム画面に「殴れ!」の文字が表示された。


「せいっ!!!」


 ドゴンッ!!!!


「わ、意外と衝撃音すごいわね……」


 俺の全力の拳はサンドバッグの真ん中の丸をめがけて一直線、見事にクリーンヒットする。倒した衝撃音的にも、当たり具合的にも手応えはある。さて、数値は……!


「219……」


「うそ!? 私が負けるなんて……」


 俺の中の過去最高レベルの記録を出して、なんとか勝利をもぎとった。


「よっしゃあ!! 何とか勝てたな!」


「ちぇ、悔しいなぁ。でも次の勝負は絶対負けないわよ!」

 


 葵がこういってるが、そもそも男女でパンチ力を張り合ってること自体がおかしいのだ。葵が規格外の身体能力を持っていることに変わりはない。


 とはいえ、勝利は勝利だ。単純に嬉しいという気持ちがこみ上げてくる。


「望むところだ、俺の方こそこの調子で残りの勝負もいただいてやる!」


「ふん、一回勝ったくらいで随分言うわね。あと二回の勝負はボコボコにしてあげるわ! ほら次のゲームに行くわよ!」


「おう!」


「(意外と力あるのね……。なによ、零人のくせに男らしいところあるじゃない……)」


「ん、なんて?」


「なっ……い、いいから早くついてきなさい!」


「ちょ、おい待てって!」


 葵が先陣きって早足で歩いていってしまうので、追いかける。うーん、何か呟いてた気がしたんだけど。まぁいいか、それより次の勝負だ!


閲覧ありがとうございました。

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