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才色兼備の少女が隣の家に引っ越してきたんだが  作者: 江谷伊月
第二章.凡人と天才の憂鬱
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22.鬼山の提案。二つの条件

 放課後。俺は鬼山に呼び出され、進路指導室にいた。


 もちろんその内容は、進路希望の提出についてだった。取り敢えず自分の言い分を鬼山に説明する。


「なるほどなー。行きたい大学も才能もやりたいこともないから、進路が決められずに書けなかったってわけか」


「はい。優柔不断なのは分かっていますが、どうしても決められないんです」


「んー、そうだな。確かにお前は三年にもなって進路も決められない優柔不断なバカだな」


「……そうですね」


 確かにその通りだが、バカをつける必要があっただろうか?


「まぁ、こっちから言えることはもう決まってる」


「ぜひお願いします」


 アドバイスでも何でもいい。何か解決策があるなら何でも実行する覚悟はある。今は真面目に鬼山の話を聞こう。


「高崎、お前はもう少し進路について調べる努力をするべきだ」


「調べる……ですか」


 確かに興味のあることもないので、進路関係で調べるということはしなかった。


「そうだ。お前はまだ全部の仕事や大学を調べたわけじゃないだろう? ならばお前のやりたいことだってまだあるかもしれないじゃないか」


「まあ、それはそうですけど、どうやってですか?」


 進路を調べるのって、ある程度興味があることについて調べるのが基本じゃないのか? なら興味があることのない俺はいったい何を調べればいいというのだろうか。


「そうだな、そこで私からの提案だ。今から進路を決めるにあたってこの私が特別に措置を施してやる。高崎、お前は進路を決めたいと言う気持ちはあるんだな?」


「はい、それはもちろんです。それで先生、措置とはなんですか?」


「うむ。いいか、よく聞け。お前にはこれから進路を決めるための課外活動をしてもらう」


「課外活動?」


「あぁ、お前に足りないのは経験だからな。何事も経験しなければ興味があるものも分からないだろ? なのでさまざまな活動を通して進路を決めるための経験を積んでもらう」


「なるほど……」


 確かに経験不足かもしれない。未だにやったこともないものなんて数えきれないほどあるしな。


「私が不定期に、課外活動をするためのいろんな場を用意してやる。お前はそれをきっかけに自分のやりたいことを探すんだ。やれるか?」


 要するに、進路のことについて調べることの基準となる、やりたいことや得意なものを探すための活動をしろということか。大変そうだが、鬼山がここまで考えてくれたんだ。やらない手はないだろう。


「もちろんやります!」


「お、いい返事だ。なら決まりだな。ただし、ここまで特別扱いするんだ、ちゃんと条件もあるからな」


「……はぁ」


 くそ、鬼山のやつ、俺がやると言ってから条件を出しやがったな。


「まぁそう嫌そうな顔をするな。そんなに悪い条件じゃない。まず一つは、このことをあまり周りに公言しないこと。この件はお前を特別扱いするようなものだからな。一応教師としては、一部の生徒のみを特別扱いすることがないようにしなければならない。広まってしまってはいろいろ面倒なんだ」


「それはそうですね。わかりました」


 それくらいの条件なら安いものだ。まぁ「まず一つ」って言ってるってことはまだあるんだろうけど。


「あぁ、感謝する。そしてもうひとつ条件があるんだが、驚くなよ?」


「はい、大丈夫です」


 覚悟はてきてるからな。どんなキツイ条件でもやる気はある。


「うむ。実はお前の他にもう一人、進路を決めるための課外活動に参加してもらう生徒がいるんだ。そいつと一緒にやってもらう。」


「え、それは全然いいですけど」


 なんだ? 確かに俺以外にも進路が決まっていないやつがいることには多少驚いたが、わざわざ言うほどだろうか?


「そうか、良かった。ちなみにお前と一緒に活動するその生徒の名前は、園神夏音というんだが……」


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!????」



閲覧ありがとうこざいました。もしよろしければ感想などをくだされば改善しますので、気軽に書いてください。

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