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才色兼備の少女が隣の家に引っ越してきたんだが  作者: 江谷伊月
第二章.凡人と天才の憂鬱
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19.ボーイズトーク(?)。今日も今日とてバカな日常

第二章の始まり、始まり。



 警泥をやった日から数日が経過した、とある昼頃。四時限目が終わり、昼休みとなる。


「やっと午前の授業終わったぁ~! ようやく昼飯にありつけるぜ!」


 昼休みになり、いつもどおり武志がこちらにくる。駿樹も無言で来た。


 ちなみに今回、葵、園神、姫宮さんらは桃を加えた四人で行動しており、俺達とは別に過ごしている。葵曰く、ガールズトークなるものには男子は不要とのこと。


 よって今日は野郎三人での昼飯だ。


「今日は女子達は別みたいだな……」


 駿樹が楽しそうに歓談している四人を横目に見ながらそう言った。


 もともとたまに一緒に食べるってだけで、別々の日も珍しくはないのだ。


「あぁ。男子はその領域に踏み込めない、ガールズトークというもので盛り上がっているらしい」


「へー。じゃあ僕らはボーイズトークをしようぜ!」


「「ボーイズトーク?」」


 武志がまたよく分からないことを言う。ガールズトークとはよく聞くが、ボーイズトークとはあまり聞かない。というか……。


「武志、お前ボーイの意味知ってたのか!?」


「いや流石に知ってるわ!!」


 結構驚いた。……いや、いけない。友達をあまり過小評価しては。


「まあまあ……。とにかく、ボーイズトークって言っても何の話をするんだ……?」


 駿樹が話題を本来のものに戻してくれる。


 しかし、意外と難しい質問だな。これといったイメージが湧かない。


「うーん……。恋愛の話でもするか?」


 苦し紛れの俺の案だった。


「それじゃガールズトークじゃないかー」


「いやそれも違うだろ……。そういう武志は何かないのか?」


 武志はうーん、と悩んでから、閃いたとばかりにバッと顔を上げた。


「第一回『日頃の恨み晴らそうぜ大会』~鬼山編~ の作戦会議なんてどうだ!」


「却下だ。そもそもトークじゃないし、そんな事しても返り討ちにあって殺されるに決まってるだろ?」


「えー?」


 俺としても若干面白そうだと思ったが、自ら死へ向かいたくはないので却下しておく。


「駿樹は?」


「第一回『人類の宝追究大会』~巨乳編~ の企画会議はどうだ……?」


「いや『どうだ……?』じゃねーよ! 却下に決まってんだろ!!」


 人はこれを変態トークという。


 ダメだ……。武志もバカだが、駿樹も大概バカだった。


「まぁ、武志の『日頃の恨み晴らそうぜ大会』~鬼山編~よりはマシかも知れんが……」


 と、俺がそういった時。



「なるほど。神田はそんなことを考えていたんだな。いい度胸だ……!」



「「「………………………………へ?」」」

 

 何故か俺達の背後に鬼山先生本人が、鬼気迫る様子で佇んでいた。




―――――――――――――――――




「「ゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑ!?」」


 あまりに驚きすぎて心臓が飛び出るかと思った! 他の二人も驚愕の表情を浮かべている。一体何故鬼山が今ここに!?


「高崎に用があったから昼飯を早く済ませて来てみれば……。何やら聞き捨てならない事を企んでいたようだな。なぁ神田……?」


「誤解です昭子様!!!!」


「何が昭子様だコラ! 気安く教師を変なファーストネームで呼びやがって……! 何様のつもりだ……?」


「ひぃぃぃぃ! じゃあアキちゃん!!」


「誰が可愛くしろっつったゴラァァ!! お前さては私を()めてるな……?」


「ひぃぃ! いえ決してそんなことは!!」


 武志がビビり散らかしながら小さくなる。ていうか俺に用があったって、一体何の用だろう?


 いやそれより! 武志のバカのせいで鬼山が完全に鬼モードだ! 顔も完全にキレて……。あれ?


 俺は、まるでマフィアのようになっている鬼山の顔をよく見てみる。すると、とんでもない発見をしてしまった。


「……!」


 どうやら武志も気づいたようだ。なんと鬼山の顔には……。


 

 ……米つぶが付着していた。



「「ぷっ……! くっく……」」


 相当急いで食べて来たのだろうか。意外な鬼山の可愛さに笑ってしまうのを堪える。笑ったら殺されてしまうだろうから。


 武志のやつも同じようで、恐怖にひきつっていた顔から一変、必死に笑いを堪えていた。


「ん? 急にどうしたんだお前達?」


 俺達の態度を不審に思ったのか、何故か更にこちらに顔を近づけてくる先生。米つぶがズームで視界に入ってくる。


 これは……ヤバい……! 


「うくっ……! ぷっ……! あっはははははは!! もうダメだ! はははははっ!!」


「ちょっ、おま、バカ! くっ……! ぶっ……あはははははっ!!」


 しまったぁ! 武志につられて俺まで笑ってしまった。


 笑いをやめたいが、完全にツボにはまってしまってなかなか落ち着かない。


「お前ら急に何笑ってんだァ!!」


 鬼山が怒鳴ってきた。……顔に米つぶを付けながら。


 そのシュールな光景にまた笑いが込み上げてくる。


「あっははははは!! ダメだ腹痛てー!! 先生可愛すぎる!!」


「バカ武志! そういうこと言うなよ……! ぶっ……くっくっく……! あはははははっ!!」


「お前らホントにどうした……? なんか変だぞ……?」


 変なのはあんたの顔だ。


 そして、不思議そうに首をかしげる先生と爆笑する俺達をただ見ていた駿樹が意を決したような顔をする。……まさか、言うのか?


「先生……。顔に米つぶ付いてますよ」


 言ったァァァァァァァ!!!! 


「……へ?」


 怒り狂っていた表情は驚きに変わり、鬼山は右手を口元に当てる。


「あっ……! ~~っ!」


 そしてその事実に気付き、羞恥からなのか怒りからなのか、顔が真っ赤になっていく。


「はははは(ガシッ)うぐぁぁぁぁ!!」


「あっははは(ガシッ)ぐぉぁぁぁぁ!!」


 鬼山はそれを誤魔化しているのか本気で怒っているのか、笑っていた俺達の頭を鷲掴みし、握り潰されるかのような力で頭蓋を圧迫する。……ちなみにとてつもなく痛い! 本当に頭蓋骨が粉砕されてしまいそうだ!


「てめぇら二人、生徒指導室まで連行だ……」


 返事をする間もなく、俺達二人は引きずられながら生徒指導室へと連行されていった。



鬼山先生、可愛い(笑)

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