10.皆で集合。武志の提案
最近、忙しい&ネタが浮かばないで、執筆ペースが遅い気がしますが、出来るだけ早く出すよう頑張りたいです。(暇人とは?)
あと、現実世界日間ランキング10以内に入りました。嬉しいです!これからも宜しくお願いします。
字の間違い、不明な点などはご指摘ください。
翌日。昼休み。
俺は園神を紹介するため、桃を3-1の教室に呼び出していた。……のだが。
「じ~~っ……」
何故か桃は園神を睨み付けていた。しかも口で擬音を言いながら。
「……高崎くん。誰かしら? このアホの子感満載の人は。さっきからこちらを敵視してきているような気がするのだけれど」
園神が訝しげな顔をして聞いてくる。たったこれだけで桃のアホを見抜くとはさすがだ。
………まぁ擬音を口にしながら睨み付ける奴なんて、誰だってアホに見えるかもしれないが。
「紹介するよ園神。こいつは3-2の白井桃。去年までクラスメイトだった俺達の友達だ」
「そう……。あなたの友達って変わっている人ばかりね……」
悲しいことに否定はできない。
「まぁお察しの通りアホの子だが、悪いやつじゃないんだ。とりあえず会話してみてくれ」
「えぇ、私は別に構わないわ。でも……」
「じろ~っ……」
「彼女はまだ威嚇を続けているけれど、大丈夫なの……?」
「いや困ったな。いつもはこんな奴じゃないんだが……」
桃はまだ威嚇を継続していた。はあ、全く面倒な奴だ。
「こら桃すけ。何で睨んでるのかは知らんが、睨んでばかりいないで挨拶くらいはしろ。お前から紹介してって言ったんだぞ」
「む~……」
不服そうに睨むのをやめる。どうしてここまで不機嫌なのかが分からない。
「……白井桃です。よろしくです」
渋々といった感じで挨拶する桃。
「よろしく。私は園神夏音よ。というか何故そんなに私を敵視したような態度をとるの……?」
「……じゃあちょっと質問していいかな?」
「? え、えぇ」
「じゃあ、はっきり言うね」
桃は大きく息を吸い込む。一体何を言うつもりなのだろうか?
「園神さん! 零人くんとはどういう関係なの!」
「「は?」」
ちょ、こいつなに言ってんだ!?
教室中の視線がこちらに集まる。まずい、皆聞こえていたかもしれない。そうなったらどんな勘違いをされるか……!
危機感を感じた俺は桃を捕まえて、教室の外へと連れていく。
「おい桃すけ! 何て事を大声で言うんだよ!」
「だって気になるじゃないか~!」
桃はぷんすかと文句を言う。
「大声で言う事じゃないだろ!? 皆から勘違いされるかもしれないじゃないか!」
「じゃあどういう関係なのさ~!」
「俺と園神は単なる友達だよ!」
「嘘だ~! 昨日は仲が良いって言ってたじゃないか!」
「別に悪くはないって言ったんだよ! 突出して仲が良いって訳じゃない!」
「え……? あ、そうだっけ?」
「あぁ。お前は何をムキになってるんだ……?」
「え? あ、うぅ、その~……」
俺の説得が成功したのか、桃が急に萎んでいく。
「とにかく、一旦園神に謝ろう。な?」
「は~い……」
俺が諭すと、桃はショボンとしながら園神の方へ向かっていった。
「園神さん、変な事言ってごめんなさい……」
ペコリと一礼して言う。
「……はぁ、まぁいいわ。一体どういう誤解をしていたのかしら?」
「うぅ、それは……。その~……」
桃は完全に俯いてしまった。
「まぁ、良いじゃないか。桃すけも悪気はなかったわけだし、二人ともこれから改めてよろしくってことでさ。な?」
このままではまずいと思ったので助け船を出す。
「それもそうね。えっと、白井さん。改めて宜しく」
「うん。よろしくね、園神さん。零人くんもありがとう」
「気にするな」
これで全部解決だな。色々あったが、結果的にはうまくいったのでよしとしよう。
そしてちょうど問題が解決した今、武志達がやってきた。
「お、桃すけじゃないか! 遊びに来たのか?」
「なんか久しぶりだな……。桃すけ」
「武志くんと駿樹くん! 二人とも久しぶりだね~!」
二人が来たことで、雰囲気がいつもの楽しい感じに戻ってきた。
「お前らは何してたんだ?」
「桃すけを園神に紹介していたんだ。お前らは?」
「学食に行っていた……。零人がこなかったから先にいただいた」
「今日は学食だったのか。悪いな、桃すけの所に行ってたんだ」
雑談をしていると、武志が謎の笑みを浮かべる。
「そうか、桃すけを園神さんに紹介したなら都合がいいや! 皆、帰りのホームルームが終わったらこの教室に集合してくれ!」
「「「「え?」」」」
放課後に集合? 一体こいつは何を企んでいるのだろうか?
――――――――――――――――――
帰りのホームルーム後。
あの場にいた俺、武志、駿樹、園神、桃の他に、葵、姫宮さんと、皆が3-1の教室に集まっていた。
「で、武志。一体何をするつもりなんだ?」
俺が質問すると皆が同調する。用事も聞かされず突然呼ばれたので、聞きたいことは同じのようだ。
「フッ……。僕はね……? とても素晴らしい事を思い付いたんだ」
武志がどや顔で言う。本当に何をするつもりなんだ?
「これで皆、僕の事を見直してくれると思うよ……」
「あんたの溜めなんてどうでもいいのよ! カッコつけてないで用件を早く言いなさい!」
「ちょっとくらい良いでしょ!?」
葵が急かすように言う。まぁ、武志のカッコつけなんてたぶん皆どうでもいいと思っているだろう。
「はいはい……。さっさと言いますよ」
武志は少し不服そうにそう言った。
「僕が思いついた事はね。今度このメンツで遊ぼう、という素晴らしい案だよ」
おお。素晴らしいとまではいかない至って普通の案だが、武志にしては随分まともな意見だ。皆特に反論はないらしい。
「私は別にいいですけど、どうして急にそんなことを?」
姫宮さんが質問する。そうだな。何故こんな急に?
「いやだって、せっかく園神さんと友達になっただろ? だから少しでも仲良くなるために、かな?」
おおぉ……! なんて感動的な……!
「武志がこんなまともな事を言うなんて……!」
「えぇ……! 明日は地球に流星群が降り注いでくるのかしら……?」
「いや、ビックバンが起こる可能性も考えられる……」
「お前ら普段全然僕を信用してませんね!?」
帰ったら天体観測は必須のようだ。
「とにかく、皆その意見に賛成らしい。後は具体的な日時と、内容を決めるだけだ」
「うーん……。じゃあ、日曜日はどう? 皆空いてる?」
皆が肯定の意を示す。どうやら皆大丈夫のようだ。
「良かった、じゃあ日曜日の昼頃に集合! これで日時はバッチリだ!」
日時は決まった。後は……。
「あとは遊ぶ内容だけど、武志くん、何か予定はあるの~?」
桃が聞くと、武志はもちろん! と言う。
「あぁ、僕は警泥がいいと思う!」
「「「「はぁ?」」」」
何故急にそんな子供っぽい遊びになる?
「神田君。とりあえず理由を聞かせてくれる?」
「いやえっと、そんなに大した理由は無いんだけど、大人数だと体動かした方が楽しいと思って」
要するに何となく、ってことか。本当に武志らしい理由だ。
「じゃあ何で警泥なんだ?」
「いや、それも普通の鬼ごっこより復活とかありの方が面白いかなって」
やはり、そこまで深い意味もなかったという事だろう。
「ふ~ん。まぁいんじゃない? ちょっと子供っぽいけど楽しそうだし」
「そうですね。体を動かした方が仲も深まり安いかもしれませんし~」
皆異論は無いようだ。まぁ他に特にやりたいこともないしな。
「内容は分かったが、どこでやるんだ……?」
今度は駿樹が尋ねる。そうだ、場所を忘れていた。
「う~ん……。この高校の周りじゃダメかな?」
「いや多分ダメだろ。部活とかあるし」
「いえ、多分大丈夫ですよ」
「「え?」」
どういうことだ?
「確か野球部と陸上部は午前で終了で、サッカー部は顧問が出張でいないから休みだったはずです。午後は空いてると思いますよ~」
「マジか!」
そんな偶然があるのか! ナイスタイミングすぎる。
「さすがスズ、よく知ってたわね!」
「いえいえ……。ありがとう、葵ちゃん」
葵に誉められ、姫宮さんは照れ臭そうに謙遜していた。とはいえ。
「でも本当に良かった。姫宮さんがしっかりしてて助かったよ。俺からもありがとう」
俺は感謝の意を込めて笑顔で言った。
「あ……! は、はい……。ありがとうごさいま……す」
すると何故か姫宮さんは、顔を赤くして俯いてしまった。
「「ジロッ……」」
何故だろう。二つの冷たい視線を感じる。
「ま、まぁとりあえず、最終確認だ。日時は休日の日曜日、時間は……適当に13時位。この高校に集合でいいか?」
俺の問いかけには、全員が賛成だった。
皆で警泥、か。これをきっかけに園神も含めた皆の仲が深まればいいのだが。
俺は、休日がほんの少しだけ楽しみになった。
次回は皆で警泥です。書くのが楽しみです。
警泥のルールは、次回に書きます。知らない方はそちらをみてくださればと思います。
感想、アドバイス等あれば書いてくれると嬉しいです。




