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才色兼備の少女が隣の家に引っ越してきたんだが  作者: 江谷伊月
第一章.二つの始まり
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9.放課後後半。アホの子登場

やっと新キャラです。

正直書くのが難しかったので、うまく書けているとはあまり思えないですが、そこは技量不足ということでこれから頑張ります。


誤字脱字、不明点等あればお願いします。

 園神は、前の学校ではどうしていたんだろう。


 地獄門を出てからそんなことを考え、廊下を歩いていると。


「お~い! 零人く~ん!」


 後ろから誰かがトコトコ走ってくるような音がした。この声は……。


「うおっ」


 ドンッと背中に軽い衝撃が来る。どうやら抱きつかれたようだ。


「会いたかったよ~! 零人くん!」


「やっぱりお前か……!」


 今俺にくっついてきたこの女の子の名前は、白井桃(しらいもも)。ふわふわした桃色のショートヘアーに一本のアホ毛がぴょこっと立っており、目は愛くるしく、つぶらな瞳。小柄な体に活発な性格も合わさって、まるで元気一杯の小動物のような女の子だ。


「おいこらっ 離れろ!」


 俺は慌てて引き剥がそうとする。何せこいつは小柄な体躯に似合わず、胸部にはダイナマイト級の大きさを誇るモノを二つ装備している。柔らかなそれが背中に当たっており、これがすごく心臓に悪い。


「は~い」


 桃は渋々といったように離れる。


「はぁ、いきなり何するんだよ桃すけ……!」


「えぇ~。いつもの事じゃないか~!」


 ぶーぶー、といった感じで不服そうに言う。相変わらず元気な奴だ。


 因みに「桃すけ」というのは渾名(あだな)であり、俺や武志達は、話す時はたいていそう呼んでいる。


「で、何の用だ?」


「ううん、用という用はないんだよ~。ただ零人くんを見かけたから来ただけだよ。クラスも別々になっちゃって会う機会も減っちゃったからちょっと寂しくてつい……」


 そうか。桃一人だけは俺達と違うクラスになってしまったんだっけ。


 桃とは高校一年生の時からの知り合いで、二年間クラスメイトでもあった。


 俺達とは仲が良かったので、久しぶりに俺を見かけて来たという所だろうか。


「そっか。でもクラスは違っても俺達は仲間だろ? これからも普通に会いに来ればいいよ。そうすれば関係ないだろ。俺は大歓迎だからさ」


 素直に思ったことを言う。


「ほんとに……?」


「あぁ。嘘をいってどうする」


 すると桃は、ぱぁぁ、と顔を光らせる。


「う、うん、分かったよ! えへへ、そう言ってもらえると嬉しいな~……!」


 少し顔を赤らめながら喜ぶ桃は、凄く可愛げがあった。


「ところで桃すけ。なんでこんな時間に学校にいるんだ?」


「え、あっ、えっとね」


 俺が質問すると、我に返ったように表情を直す。


 確か桃は部活もやってないし、放課後はたいてい真っ直ぐ帰宅するはずだ。


「忘れ物をとりに来たんだよ~」


 なるほど。桃は物忘れをよくするので、こういうこともあるのだろう。


「そっか。因みになにを忘れたんだ?」


「スクールバック!」


「忘れ物にも程があるだろ!?」


 普通は意識していなくても忘れない。逆にどうして忘れたのだろう?


「いや~、もう少しで置き勉になる所だったよ~!」


「それも物凄く大胆な置き勉になってたな」


「えへへ、そうだね」


 スクールバックまるごと置いておく置き勉なんて、教師もビックリの大胆不敵さだ。


 まあそもそもこの高校は置き勉OKなんだけどな。置き勉というのは冗談で、宿題をとるためにバックを回収しに来たのだろう。


「てかまず、自分が常人ではあり得ない忘れ物をしたことに気づけよ……」


 言っちゃ悪いが、桃はアホの子だった。


「じゃあ零人くんは何でいるの~? もしかして零人くんもバック忘れたの?」

 

「違うわ!」


 さすがの俺もそこまで重症なバカではない。全く、一緒にしないでほしいな。


「鬼山に呼び出されてたんだよ」


「えっ! 零人くん、またなんかしたの?」


 またって何だよ。俺がいつも問題を起こしているみたいじゃないか。


「違う。今回は転校生の事で呼び出されたんだ」


「転校生?」


 桃が「聞いたことあるような……」と首をかしげる。


「あぁ、才色兼備のスーパー転校生だ。名前は園神夏音っていうんだが、結構有名らしいぞ」


「へぇ~、そうなんだ! 何だか凄い人なんだね!」


 桃がよく分からないけど納得した! というように言う。


 そこで、俺はあることを思い付く。


「そうだ、桃すけ。お前園神と友達になってみる気はないか?」


「えぇ!?」


 驚いたのか、桃が素っ頓狂な声を上げる。


「何で零人くんがそんなこと聞くの!?」


「鬼山に頼まれたんだよ。転校生をよろしくってな。まぁそれだけじゃないけどさ」


 俺は事情を説明する。


「ボクなんかが、そんな凄い人と友達になんてなれないよ!」


 桃は謙遜して断る。よし。少し押してみるか。


「そんなことはないぞ。園神はそういうのを気にしない良い奴だ。お前ならきっと仲良くなれる」


 これでどうだろう。


「ふ~ん……」


 予想と違い、何故か桃はムッとした顔になる。あれ、間違ったかな?


「さっきから何となく思ってたけど、零人くん、その転校生さんと仲が良いの~?」


「へ?」


 なぜだろう。そう質問する桃の態度は、少し不機嫌そうだ。


「まぁ、仲が悪いって訳ではないな」


「ふ~ん……!」


 まずい。桃のほっぺがパンパンに膨らんでいる。一体どうしたというんだ……?


「ま、まぁ、無理に友達になれって言ってる訳じゃないぞ」


 よく分からないが、機嫌を直してもらおうと気を使ってみる。


「いや、やっぱりその園神さんって人に会ってみたい!」


「えー……?」


 さっきとは打って変わったような返事をする。


「明日紹介してよ、その園神さんって人の事!」


「あ、あぁ。分かったよ」


 何が何だかサッパリだったが、とりあえず桃は園神と会ってくれるらしい。


「じゃあ、明日の昼休み、紹介するから」


「うん、分かったー!」


 妙にやる気を出している。


(むぅ~……。どんな人か見てやるんだから~!)


「どうした?」


「あ、ううん、何でもないよ!」


 小声でなにを言っていると思ったが気のせいだったようだ。


「あ、ボクそろそろ帰らなきゃ! それじゃーね、零人くん! また明日~!」


「おう。じゃあな」


 そういうと桃はアホ毛をピコピコ揺らしながら走っていった。忙しい奴だな。


 そういえば俺は園神の前の学校での様子について考えてたんだっけ。


 桃のせいで忘れていたが、うまく生活出来ていたんだろうか。……まあ、今考えても仕方がないか。


 とりあえず今は桃を園神に紹介する事を考えよう。何故か最後らへんにちょっと機嫌が悪くなったような気がしたが、きっとうまくいく。そう信じたい。


 俺はそんなことを考えながら下校した。


 さて、明日はどうなるのやら。


やっと登場しました。桃すけはボクっ娘の様です。

自分としては、このキャラは結構すきなので、楽しく書けました。


感想、アドバイス等よろしくお願いします。

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