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終わったならまた始めればいいじゃないか  作者: 朝倉新五郎
平和への道程
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第30話 星帝と苦悩

 カオスキーパーの襲来以外に対応すべきことが殆ど無くなった。

 移民先の街が襲われたという話も聞かない。

 オサムはスウェンに同行したり、自分だけで行ったりと各地のダンジョンを再度回っていた。


 インペリアルセイヴァーのレベル200を超えてからはレベルが簡単に上がるので

 オサムはどこまでが限界なのかを調べようとしていた。

 1年程が過ぎた時に995と言うレベルになっていた。


 「上限は無さそうだな、HPもそんなに上がらないし」

 とオサムが言ったが500万は超えていた。

 「まぁ良いか、とりあえずレベル1000にしとくか」


 そう言ってから数週間。

 インペリアルセイヴァーのレベルが999になったときにそれは起きた。

 オサムは儀式もなしにいきなり上位転職した


 ステータスを見ると”Gods”レベルは無かった。

 HPもMPも無限大となっていた。


 グランパープルの守護者に尋ねると

 「お前は神々の一人となった」と言われた。


 一番歴史のあるグリーシア帝国に行き、古文書で調べてくれと皇帝に頼むと

 皇帝は何も言わずに床に這いつくばって頭を床に付けただけだった。

 

 ムールラント皇帝やクライツ皇帝も同じように何も言わなかった。



 そして突然この3帝国が一斉に領土を譲ってきた。


 オサムはわけが分からず慌てたが、

 ”Gods”は世界全ての皇帝であると言われただけである。


 領土を返還しようとしても断られ、家臣の一人に加えてくれという。

 オサムはこの世界全てを手に入れ


 「星帝」と呼ばれるようになった。


 皇帝でさえ家臣なのである。領土はそのまま与えたが立場は変わる。


 この星の全てをその手に握る者となった。

 しかしオサムはオサムである。中身は変わらない。


 相変わらず国土の整備を行ったり、リムルやロレーヌ、クイード達とも普通に会話していた。


 そこからピタリとカオスキーパーが現れなくなった。


 そのまま10年が過ぎ、スウェンにグレイス皇帝の座を譲位した。


 自分は屋敷に移りリムルやロレーヌと楽しく過ごしていた。

 しかし、自分だけが年を取らない。


 リムルやロレーヌ、クイード達は既に50歳の手前だ

 それなりに年齢を重ねている。

 オサムだけが25歳程度のままだった。


 ここまで来ると不自然である。傷を負ってもみるみるうちに治癒する。


 オサムは考えた。

 これは不老不死になってしまっている。と


 もしそうならば自分の大切な者達が全て先に逝ってしまう。

 これ以上の恐怖は今まで感じたことがない。

 ”死ねない”ことに対する恐怖。


 リムルやロレーヌ、クイード達は

 「陛下はいつまでもお若いですね」と言って笑うが笑い事ではない。


 そしてそれから20年してリムルが居なくなった。

 続くかのようにロレーヌも。


 クイード達も自分を残して居なくなってゆく。


 スウェンは健在だが、自分のように不老不死では無いようだ。

 孫や曾孫達も出来たが、孫ですらオサムより年上に見える。



 オサムはこれからの事に恐ろしさを感じ、誰もいない山の頂上で自分の首をかき切った。

 リムル達のところへ行くのだ。


 首から血を吹き出し、オサムは意識を失った。


 

 しかし生きていた。何十年も前の自分の部屋だ。

 そして、いつもどおりの「あの日」だった。


 「死ねねぇ・・・死ねねぇ!」オサムは錯乱した。


 やっと自分を取り戻した後、オサムはもう飛行機に乗らない事に決めた。

 元の世界に戻れば傷が治った自分が居るはずだ、戻りたくない。

 あれは夢だったんだ、そうに違いない。

 それに、向こうにはスウェンやクイード達の子供達や孫達が居る。

 自分がいなくなったところで世界の安定は保たれるだろう。


 そう自分に言い聞かせて普段通りの生活を送った。

 事故当日の朝になっても飛行機には乗らず普通に暮らしていた。


 しかし夜に道を歩いていた時、事故に巻き込まれてオサムは死んだ。


 気がつくと右手に短刀を持っている。

 戻ってきてしまったようだった。


 「なぜ死なせてくれねーんだ!」オサムは号泣しながら叫んだ。


 そして次は剣で自分の心臓を貫いた。

 意識が遠くなり自分が死んでいくことを感じた。


 そして、また自分の部屋で目覚めた。


 今度は一月後の「その時」は自分の部屋に居ることにした。

 おさむは椅子に座ってネットを見ていると突然頭痛がして倒れた。


 気がつくと今度は手に剣を持っていた。

 「なぜだよ!なぜこうなる!」と叫びその場に倒れたまま夜空を見上げていた。


 オサムは何回も死んだ、自分の首をはねてもみた。

 しかし気がつくとその瞬間の前に戻っている。


 オサムにとっては地獄の日々が続いた。


 そしてまた心臓を貫き死ぬことにした。

 「次はこのくだらねぇ輪廻から解脱してやる!」


 オサムはナイフを買い、バイクで人気のない山に入った。

 「あの時が来る前に死んでやる」

 そう言って自分の首をナイフでかき切った。


 「まだ時間じゃねぇだろ?」と言って意識を失った。

 

 しかしまた剣を持って起き上がった。


 「くそ!まだ”あの時”じゃ無かったじゃねぇか!」

 そう言って1本木を斬り倒し、切り株の上に座った。


 しばらくそのままで過ごし、朝に城へ帰った。


 移民の様子でも見てくるか。と白い甲冑を着て装備を整えた。

 南へグリフォンで向かった。


 最初はロムドール大陸の南だな、と飛んでいると見えてきた。

 耳がキーンと鳴って『気圧の関係か?慣れてるはずなのにな』

 と思いながら例の巨大な石造りの建築物を見つけてその上に降りた。


 その建物から飛び降り「誰かいないか!」と言うと

 ぞろぞろと人が集まって来てオサムにひれ伏した。


 金で装飾された例の長老に近づいて

 「神の使いだ、顔をあげよ」と言って顔を見ると以前の長老ではなかった。

 「前の長老はどうなった?」と尋ねると

 「しばらく前に天へ。今はワシが長老です。神の御使い様」と答えた。


 オサムは

 『そりゃそうだな、あれから何十年も経つ』と考えて。

 「今のところ用件は無いが、いずれ来るのでそれまで待つように。」

 と言ってグリフォンで飛び去った。


 「次はこの東だな」

 オサムは場所を覚えていたのでそこまでグリフォンで飛び集落近くに降りた。

 集落に近づくと長老が出てきた。やはり代が変わっている。

 「神の国から来た、皆元気そうで何よりだな。前の長老は召されたか?」

 と訊くと

 「はい、神の御使い様」と言ってひれ伏した。


 「そんなにしなくてもいいよ」と言った時

 「うわぁ!」と子供の声がした

 どうやら自分達で仕掛けていた罠にかかったらしい、木に逆さにぶら下がっている。

 かなり高いのでオサムがひょいと木に登り、短剣でその木の蔦を切ってゆっくりと降ろした。


 「もう大丈夫、やんちゃだな」と言って足に絡まった罠も切った。

 「すごい、それは何?」と子供が訊いてきたので

 オサムは短剣を鞘に入れて

 「すごくよく切れるよ、欲しいか?」と笑顔で言うと

 「欲しいです!」と元気よく返事をしたので

 「じゃあげよう、人に向けちゃいけないよ?」と言って

 「ここなんかだと刺さると危ないからね?」オサムは鎧の関節部分を刺してみた。

 しかしヒュージワイバーンの革は貫けない。

 「この鎧は特注だから平気だけどね、はい」

 そう言って子供に短剣を渡した。


 その時に気がついた。その短剣はいつかビーツに頼んで作らせた短剣だった。

 「700年前の世界か?もしかして?」オサムは呟いた。

 しかしそんなことはどうでもいい、今はそれどころではない。


 そしてグリフォンを呼び東へ飛んだ。

 「んー、なんか今日は死んだり蘇ったりで疲れたな、一度屋敷に戻ろう」

 そう言って進路を北西に変えた。

 途中でまた耳鳴りがしたが、気にせず屋敷へ戻った。


 あの耳鳴りは700年の時間を往来する時のものだったようだ。

 また元の時間に戻ってきていた。

 

 リムルもロレーヌも居らずクイード達も来ない屋敷だが眠ることは出来る。

 オサムは鎧を脱ぎ、ベッドで眠った。


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