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終わったならまた始めればいいじゃないか  作者: 朝倉新五郎
平和への道程
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第28話 併合と移民

 オサムは船を建造し始めた。既に5隻の蒸気船が完成していたが、今回はディーゼル機関の船だ。

 クライアンの協力を得て、小さなものから初め、徐々に大きなエンジンを作れるようになった。

 この最新の船を30隻建造することにした。


 排水量10万トン、全長350メルト、幅80メルト。乗員1500名の巨大船だ。


 オサムは各大陸に移民を考えていた。

 この大陸は他の大陸と比較して人口が多すぎる。

 最終的には2割程の人口を各大陸に移せる準備を整えようとしていた。


 戦乱がほとんどなくなったため人口が増えすぎて、いずれ耕作地も足りなくなるだろう。

 既に各大陸は平定しているので、言い聞かせれば受け入れるだろう。

 それに地下資源は手付かずのはずで、将来的に繁栄も見込める。


 巨大船が停泊できる港を各大陸に2~3箇所ずつ作ることにした。

 これはほとんどオサム達9人で行っている。


 また、港から近くに10万人が住める城塞都市を作る準備をした。

 港は直ぐに作れるが、都市まで含めると1年はかかる事業になるだろう。


 期間はあるためオサムは急ぐことはなかった。

 港用の資材を現地調達しながらゆっくりと作っていった。

 

 小さな港もある程度作ることにした。

 これには現地人を刺激しないため穀物や塩等で建設に雇い、同時に文明化も進めていった。

 従事する8名全員にもオサムと同じ白い甲冑を使うようにさせた。

 これはオサムが神聖視されているため、同じ姿とさせるためだ。



 船の建造もかなりの期間を使って同時建造させていた。

 グレイス沿岸には製鉄所などを含めて巨大な工場群が並んでいた。

 帝都にはオサムが監督出来るようにするため貨幣工場を作っていた。


 最終的には毎年5000億枚ずつの青銅貨や黄銅貨を作り、銀貨と両替して行くことにした。

 金貨も毎年5000万枚作り高額貨幣として流通させた。

 しかしまだまだ金や銀、銅やその他非鉄金属はとてつもない量を保有している。

 この結果、大陸に撒かれた銀貨はグレイス帝国の国庫に還流し、国庫に封印される銀貨は200億枚に達した。

 グレイスの貨幣は徐々に大陸貨幣になっていった。


 

 そして、西グレイス帝国に接するミスリル大公国、カトル王国、ルマリア王国、サイス王国、チャスコ王国、

 これらがグレイス帝国に国を譲渡し、オサムはこれら各国の王を家臣とし譲渡された領地をそのまま与えた。


 これによりロムドール大陸は東西グレイス帝国を中心に南にグリーシア帝国、ムールラント帝国の2国

 グレイス帝国に挟まれる形で


 クライン帝国とムルトワ、レーラシア、ウィンディア、ジェイド、コスティカ、スロヴィアの各王国にまとめられた。

 ウィンディア王国もグレイス帝国に国土を譲渡するか考えており、それが叶えば他の西側中央にある南の王国

 ジェイド王国、コスティカ王国、スロヴィア王国も同様に動くだろう。

 中央北のムルトワ王国やレーラリア王国は未だに態度を決めかねているが突然決める可能性が有った。


 グレイス王国は9年でロムドール大陸の7割、世界の97%以上を持つ巨大帝国になっていった。

 オサムは「少しやり過ぎだな」と今更ながら帝国の急膨張に対して考えていた。


 グレイス帝国は機を見て、世界の3大陸のことを発表した。

 手付かずの大陸は今後各国の侵略の対象となる危険が有ったため、領有権の確認を行った。


 オサムはアフリカ大陸の奴隷貿易やオーストラリアの白豪主義によるアボリジニの大量虐殺

 南北アメリカ大陸の侵略など悲惨な出来事を知っていたため、そうなる前に布石を打ったのだった。


 グレイス帝国が領有しているならどの国家も手出しはできない。

 まだ実効支配はしていないが、まずは知らしめる必要があった。


 その間もカオスキーパーとモンスターの群れが各地に出現したが、クラウド達が片付けて回った。

 ほとんど東西グレイスであったが、ウィンディア、ジェイド、コスティカ、スロヴィアも襲われた。


 グリーシア帝国やクライツ帝国、ムルトワ王国、レーラシア王国には現れなかった。


 これを受けて、ウィンディア、ジェイド、コスティカ、スロヴィアの各王国が一斉に動き出した。

 西グレイス帝国に国土を譲渡し、オサムの家臣に列せれれることとなった。

 各王の領地は安堵され、グレイス帝国は12人の王を家臣に持つこととなった。


 これにより独立を保つ王国はムルトワとレーラシアのみになる。

 クライツ帝国となる前のライツェン王国と戦っていた両国は、クライツ帝国に下ることを良しとしない。

 グレイス帝国に打診してきた。


 安全と安心をまだ手に出来ない2国の民衆や兵士は西グレイス帝国へ去っていった。

 西グレイスならどのような仕事も可能であるし、税もかなり低い。兵役も無く身分差もほぼ無い。

 貴族や土地所有者以外の者はグレイス帝国に行かない理由を見いだせなかった。


 結局ムルトワとレーラシア両王国はグレイス帝国に領土を譲り渡した。

 オサムは同じく王を家臣とし、両国の領地はそのままとした。


 クライツ帝国、グリーシア帝国、ムールラント帝国とは国境不可侵条約を結んでいるため、

 戦闘が行われるのであればグリーシア帝国とムールラント帝国だけだが

 この両帝国も独自に条約を結んでいるために大陸から戦闘は一掃された。


 「ほぼ終わったな。」

 オサムがクイーズ達8人を夕食に呼んでいた。

 別の部屋では10人の夫人たちが夕食と言うなの茶会を開いていた。

 

 「そうですな、この大陸から暫く戦はなくなりましょうな」

 クイードはそういった後

 「それで陛下、次に我々がやるべきことは?他の大陸の整備でしょうか?」

 と続けた。


 オサムは

 「戦が無くなり遅かれ早かれこの大陸は人で埋まる、そうなれば移民を行わざるを得なくなる」

 「無人の荒野に放り出すことも出来んしな、準備はしておこう」


 グレイス帝国は造船の最終段階をむかえていた。

 1万人以上を運べる船を40隻。試運転で完全な安全性を確認し、軍艦としての使用にすら耐えると決断した。

 燃料も確保し、移民の準備はほぼ整った。



 オサムは南の大陸に進出するにあたって途中にある流刑島を見に降りた。

 「なんだこりゃあ」

 以前見た時よりかなり荒れていた。


 「黒騎士か、誰だ?」元傭兵らしき流刑者が声を掛けてきた。


 「グレイスだが?この荒れ様は一体何をした?」男に尋ねた。


 「前の1000人と戦よ。弓と矢は作れるし革鎧や石斧だって作れる、流石に剣は無理だがな。」


 オサムは「そうか」と言って、前の者達は?と訊くと半分は戦いで死んだという

 「こっちにも若干被害は出たがな、今は1300人ってとこだ。街の再建をさせてる」

 オサムは男に向かって

 「お前が新しい流刑者を統率したのか?」と言うと。


 「お前じゃねえ、ステファンだ、元黒狼傭兵団団長さ、一応騎士なんでな」

 そう言い返してきた。


 「わかった、お前が頭領で構わん、好きにしろ」

 そう言い残してオサムは南の大陸に向かった。


 新大陸の港は全て人の居ない場所の湾内に作っていっている。

 桟橋は巨大な石を積み重ね、水面からの高さを10メルトにも上げた。

 コンクリートで仕上げ、いつでも使用可能である。

 しかし最初の都市がまだ無かった。


 候補地を幾つか決め、技術者と労働者を本国から募ることにした。

 技術者は月に銀貨200枚、労働者は50枚。期間は1年。

 そうして帝国全土から募集すると15万人が集まった。

 オサムは全員を雇い、まずはグレートドラゴンで各地に運んだ。


 最初に準備したのは一時駐留する皇帝直轄の騎士のや兵士、文官等の家や屋敷、換金所等だ。

 それらは帝都で作ってそのまま運び、その中に商店を作った。

 衣食住は無料にし、ロウが副都に持っていた大量の北方騎馬民族の簡易住居を建てさせた。

 これだけで30万人は住居に困らない。

 家屋を整備し、不要になれば簡単に撤去できる。


 事業は軌道に乗った。

 城壁材料や基礎用の岩、舗装用の岩等はグレートドラゴンで既に大量に運んでいる。

 材木もただ斬り倒しただけの状態だが、各大陸の建築場所に数万本は運んだ。

 準備は出来ており、後は建てるだけにしてある。

 1年も掛からず街は形作られた。


 移住者集めだが、建設開始と同時に農民の末子や下級騎士家の三男や四男、定住出来ない者などが集まった。

 ロウやジャグアにも人を集めさせ移住希望者の中から合計で30万人の老若男女が選ばれた


 移住者第一陣は言葉や文字、民族の壁を取り払うためにグレイス帝都の南西に作られた城塞都市に集められた。

 全ての民を平等に扱い、言語はグレイスに統一した。

 同時に兵士数千人を集め、警備に当たらせるため訓練と教育を施した。



 都市建築が終わり、移民船団は一斉に新天地へと向かっていった。

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