第27話 幼き継承者
スウェンは日に日に強くなっていた。始めの頃は木剣を振るだけで足元がふらついていたのだが。
オサムがハンビィ相手に剣を振るっているのを眺めていた。
するとスウェンのステータスが見えた。
ノービスレベル20 HP250
「え?HP250だと?」オサムは城に戻りカトラス、カッツバルゲル、ファルシオンやスモールソード等の初級装備を持ってきた。
「ハンビィ、スウェンを連れてちょっとこっちへ来てくれるか?」二人を呼んだ。
そして
「スウェン、この剣の中から自分で使えそうなものを選べるか?」と訊くと
スウェンはスモールソードを選んだ。
「これが一番軽いです、父上」と言って鞘から抜いた。
「うわぁ本物の剣ですね、他のも持ってみます。」とカトラスとファルシオンも持った。
「私には少し大きいですけど、使っても良いですか?父上」
スウェンは試したがっているようだった。
オサムは
「ハンビィちょっとこの楯を装備して受けてやってくれるか?」オサムが言うと
「殿下には危険では無いですか?」と言われた。
「良いから、ちょっとだけやってみてくれ」オサムはハンビィに楯を渡した。
ハンビィに向かってスウェンがスモールソードで打ち込むと
「え?殿下、かなりお強くなってますよ?」とスウェンに言った。
「じゃあ、次はファルシオンとカトラスも使ってみろ」オサムがスウェンに言うと
「はい!」と剣を取った。そしてまたハンビィに打ち込んだ。
スウェンはどうやら3本とも扱えるようだ。
「それで暫く戦ってみろファルシオンでだ」オサムがそう言って見ていると、重い剣に振り回されている様子はない。
スウェンは楽しみながら30分ほど振り回していた。
ノービスレベル25?「次はカッツバルゲルを使ってみろ」スウェンに鞘ごと投げた。
カッツバルゲルも使いこなしている。
「ハンビィ、すまんが俺が返ってくるまでスウェンの相手をしてやってくれ、すぐ戻る」
そう言ってオサムは換金所へ向かった。
そして受付の娘に
「ノービスとはどういうクラスなんだ?」と訊くと
受付の娘は
「剣士にもなっていない初級者です。レベルは50まで、そこからは自動で殆どが剣士、極稀に魔法士になります」
そんな説明だった。
「武器は剣士のレベル1ならなんでも使えるのか?」オサムがまた尋ねると
「レベル50からは剣士レベル10になりますのでレベルに合った剣士用の剣が扱えます」と答えられた。
「わかった、すまぬな」と言い残してオサムはビーツの工房へ行った。
「剣士用のレベル10、20、30、40、50の魔剣は打てるか?」とビーツに訊くと
「そりゃあ簡単ですが、陛下のデザインした片手用の剣で良いですか?」
ビーツは答えたので「すまんが早速取り掛かってくれ、出来るだけ良いものを。黒じゃなく装飾のあるもので」
オサムは注文した。
「わかりました、1週間で出来上がると思います」そう言われてオサムは城へ戻った。
「帰ったぞ、スウェンどうだ?ハンビィもどう思う?」と二人に訊くと
スウェンは
「この剣は使いやすいです、自由に扱えます」と言う。
ハンビィは
「殿下のレベルがどんどん上っていきます」と言って驚いていた。
『グレートドラゴンも倒すインペリアルセイヴァー相手だからか?』オサムは考え。
「ノービスレベルが50になると自動でレベル10の剣士になるらしい、そこまで鍛えてみてくれ」
オサムはハンビィに頼んだ。
「わかりました、陛下」と言ってスウェンが疲れるまで鍛錬が続いた。
次の日も、その次の日も、ビーツに頼んだ5振りの剣が届く頃にはスウェンはレベル10の剣士になっていた。
オサムが「スウェン、この5振りの剣はお前のために作らせた。かなり良い剣だ」スウェンに見せると
「父上、ありがとうございます」と言って剣を抜き「うわぁすごい、スキルもある」嬉しそうなスウェンを見ると
レベル10の剣士でHPが700を超えていた。
「スウェン、自分のステータスは見えるか?」と言うと「剣士の10です、あれ?ノービスだったのにな」
スウェンは不思議がった。
オサムもハンビィも驚いていた。
「スウェン、この剣を持てるか?」と言って子供では到底持ち上げられない重さの剣を地面に置いた。
スウェンは柄を両手で握り「父上、これは使えません」と言いながらも構えてはいた。
「ストレングスがかなり上がってるな」オサムはそう言ってスウェンから剣を受け取った。
そして
「疲れたか?」と訊くと「いいえ、まだ鍛錬できます」スウェンは答えた。
「わかった、これからは毎日じゃなく週に2、3回で良い、お前は十分強い」とスウェンを褒めた
「強くなりましたか?ハンビィがよく教えてくれますから」そう言って5本の剣を両手で抱え上げた。
「お城の部屋に置いてても良いですか?父上」スウェンが訊ねたが
オサムは
「ミシュルや他の小さい子が触ると危ないから、俺のクローゼットに置いておく」
「必要な時は渡すからそれを全部今から入れてきなさい」と言った。
スウェンは
「わかりました父上」と言って5本の剣を持って城へ戻っていった。
オサムはハンビィに
「どういうことだ?あんな子供がレベル10の剣士だと?」と言うと
「わかりません、考えられません。」ハンビィは黙ってしまった。
それから週に一度オサムはスウェンを夜の辺境へ連れ出した。
「ゴブリンが出てくるから狩ってみなさい」オサムはスウェンにモンスターを狩らせた。
みるみるうちにレベルが上っていく。ゴブリンナイトも倒してしまった。
「父上、この剣はよく切れます。」スウェンが持っているのは剣士レベル20の剣だ。
オサムは
「もうこれでいい、次はもう暫くしてからにしよう」オサムはスウェンに言った。
スウェンも十分楽しんだので当分はいいや、と考えていた。
オサムがスウェンを夜に連れ出していることをリムルは知っていたが、心配はしていなかった。
「あいつはどんどん強くなる、普通は15歳位から剣士になるのにもう剣士の20レベルだ」
オサムはロレーヌも呼んでリムルと話していた。
「レベルアップが早すぎる、スウェンのような子供が他にも居るのか?」
オサムが不思議がると
「王や貴族の男子は10歳にもなれば剣の稽古をしますが、殿下のように魔剣まで操れると言うのは聞きません」
「もしかすると陛下から何かしら受け継いでるのかも知れません」ロレーヌが言う。
「そうだな、特殊な能力を持つのかもしれんなぁ」
オサムはスウェンをもう少し鍛えてみることにした。
「明日からもう少し鍛えてみる、その後グランパープルに連れて行く」
オサムはそう決めた。
それから2週間程スウェンとダンジョンに入った。
天性のものか、ハンビィの教え方が上手かったのか、最弱のゴブリンダンジョンをクリアしてしまった。
少しづつ強目のダンジョンに連れて行ったが、スウェンは楽しみながらクリアしていった。
そして2週間が過ぎる頃にはスウェンは剣士レベル40を超えていた。
早速スウェンを連れてグランパープルに飛んだ。
”守護者”に見せると「この者は特別なる者、神々に選ばれた御子であるぞ」と言われた。
理由を聞いたが、アキバ・オサム・グレイスよ、そなたが関係する。とのことだった。
「父上、不思議な国でしたね。リーファも綺麗です、この者は父上を好いています。」
スウェンはリーファがただの獣では無いこともわかっているようだった。
何かが違う。オサムはそう感じ始めていた。
通常の倍以上の早さでレベルを上げていくスウェンを更にオサムは鍛えることにした。
限界を見てみたい。
リジェネリターンの魔石を持たせ様々なダンジョンを親子でクリアしていった。
危険だと思われる敵もあっさりと倒してしまった。
オサムはスウェンのためにビーツに会わせて剣と甲冑を作らせた。
特に甲冑を作らせた時は
「こんなに小さな甲冑を作るのは初めてです、殿下はもう冒険に?」と訊かれて
オサムは
「そうだ、出来るだけ軽く丈夫な物を頼む。成長に会わせて」と言って二人で帰った。
その後注文した物がビーツから届いた。剣は10レベルごとに90まで有った。
甲冑も3種類、全て普通の色の装備だった。




