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終わったならまた始めればいいじゃないか  作者: 朝倉新五郎
平和への道程
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第26話 平和の代償

 グレイス帝国の継子であるスウェン、それにミシュルはそれぞれ7歳と6歳になった。

 リューゼはまだ3歳、ゼイノンは1歳半だ。

 オサムもこの世界に来てから11年が過ぎた。

 リムルとロレーヌは29才、オサムは30才、クイード達3人は27才、クラウド達5人は25才となる。


 「まだまだ皆働き盛りだなぁ」しかしオサムは異変を感じていた。

 老いを感じないのだ、インペリアルセイヴァーでありグランチューナーなので老化が遅いのだろうか?

 魔法の力を得ているため若い体のままなのかもしれない。


 別段不便を感じないのでオサムは考えないようにした。

 

 それに、リムルとロレーヌがまた出産だ。今回は殆ど同時になりそうだった。

 すっかり慣れて慌てることのなくなったオサムは準備を整えて生まれるのを待った。

 「また使者とかが来るのかなぁ・・・」

 国の数が減ったため、そんなに多くは来ないだろうとオサムは考えた。


 リムルには長女となるラリエル・オルトリア・グレイス

 ロレーヌには次女となるシャレム・オルトリア・グレイス

 今回は女子が2人だった。


 「大家族だなぁ、侍女や侍従、召使いが居るから面倒を見れるけどさ」

 リムルとロレーヌにまたオサムが言った。

 

 さすがに6人を同時に見ているのは無理だと言うことで

 元々の侍女に加えて

 育児専門の召使いを10名新たに選び、5階の部屋を割り当てていた。


 スウェンは小さいながら、クイード達を相手に木の剣を振っている。

 「剣筋がいいですね殿下、そう、休まず打ち込むのです。足元と後ろも確認しながらです。」

 一番熱心に指導しているのはハンビィだった。


 スウェンは帝国の第一帝位継承者であることを既に自覚しており鍛錬を嫌がらない

 しかし、リムルに似たのか大人しく優しい性格で、妹のミシュルをとても大切に扱っている。


 反対にミシュルは自由奔放過ぎるため、スウェンがいつも気を使う。

 今は木剣での対人訓練だが、ノービスレベルが5になっている。

 オサムはそんなクラスがあることは知らなかったので「なんだそりゃ?」と言ったが、普通らしい。

 もう7、8年もすればスウェンは冒険に出かけるだろう。

 師匠全てがインペリアルセイヴァーなのでとんでもない教育だが。



 グレイス帝国が他国の属国化を断リ続けるため、トムル王国やデレル王国がクライツ帝国の属国となった。

 クライツ帝国は旧ライツェン王国が主流となるため、間接的にグレイスの庇護下に入ることになる。

 しかし西グレイシス帝国のみに隣接する南西のミスリル大公国、カトル王国、ルマリア王国は悩んでいた。



 大陸から戦はほぼ消滅していた。傭兵団は生活に困り各国特にグレイス帝国に入った。

 ならず者集団だが戦に関しては強い。

 西グレイスはまだ人口が回復していないため、幾つもの傭兵団をそのまま受け入れ、正規兵とした。

 また、小集団に別れたり単独となって冒険者になるものもかなりの数居た。


 殆どが兵士や冒険者となったが、やはり一部は野盗集団になっていった。

 戦争は無くなったが、犯罪が増えるという副作用が出始め各国の兵は盗賊団討伐に忙しくなった。


 西グレイス帝国でもそれは同じだったが、城塞の中は安全であり問題はない。

 しかし村や小さな町は危険だ。


 多くの兵士、騎士を動員して徹底的に殲滅していった。

 通常は捕縛して流刑だが、盗賊と言えど戦闘に長けた者達である。

 「見つけ次第斬ってよし」ということとなった。


 オサムは

 「せっかく戦争が収まったのにタチの悪い奴らが荒らしやがる。」

 そう言って

 帝国の中でも比較的レベルの高い騎士はペガサスやグリフォンを貸し出され、

 部隊長を務める者にナイトウォーカーの目を装備させて主に夜動く者を空から探させた。

 また皇帝であるオサムや大陸屈指の大貴族であるクイード達も全員が参加していた。



 数ヶ月かかったが大陸から元傭兵の大規模な盗賊団はほとんど居なくなった。


 5万人以上居た傭兵は全て兵となるか、冒険者となるか、盗賊になるか。

 大陸から傭兵団は消えた。


 しかし血の気の多い者はまだまだ多い。

 オサムはクエストを発注し、冒険者達に盗賊団の討伐を引き受けさせた。

 自分たちの首に賞金が掛けられ、盗賊はますます追いつめられた。

 しかもボスクラスのモンスターを狩るより危険は低く高額である。

 仲間が首領の首を斬り届ける事も増えた。


 これでほとんどの盗賊は消えることとなった。



 「やっとかぁ」オサムはクイード達9人と妻達を呼んで食事をしていた。

 「この9人だけで100以上は壊滅させたからねぇ、もう盗賊稼業は怖くて出来ないだろ?」

 オサムが言うと

 「戦争が消えた副産物がこんなに厄介とは、考えてなかったですね。しかしもう無いでしょう」

 ハンビィが答えた。

 「陛下までが動き出したので各国や城塞都市の騎士や兵が必死になってましたし」

 タキトスが続けた。


 オサムは

 「やっぱり犯罪は無くならないなぁ、けど減ってるのは確かだし、こればっかりはしょうがないよなぁ」

 と食べながら言うとロレーヌが少し反応したので

 

 「いや、ロレーヌ、わかってるよ?口に物を入れながら喋っちゃいけないってのは」

 ロレーヌが言う前に自分で言った。


 「私は何も申しませんよ、陛下。特にこのような楽しむべき席では良いではありませんか」

 ロレーヌはそんなことはもうどうでも良かった。オサムはもっと大事なことを行っている。

 些細なことに気を遣わせるとオサムが疲れてしまうのが分かっていた。



 今回の永年流刑者は1000人を超える。

 クイードだけに任せずオサムも同行することにした。


 グレートドラゴンが降りてくると流刑者達は怯えた。

 オサムとクイードは構わず流刑者を島に連れ出した。


 簡素な町程度だった場所が立派な城塞になっていた。


 オサムはゆっくりと歩いて

 「良く出来てるな、指導者は誰だ?」と問うた。

 すると

 「俺だよ、皆を働かせている。この島は生きていくには十分だな、ありがとよ」 

 傷だらけの男に言われた。


 オサムはクリューズに島全体を調べて船があれば焼き払うように命じた。

 「今回の流刑者は元傭兵の盗賊ばかりだ。お前に統率できるか?」

 オサムが言うと

 「どうせ俺達は皆死人と一緒だ、500人以上はもう死んでるがな」

 その男が答えた。


 その言葉で戦闘行為があったことを知り、オサムは腹を立てた。だが、そんなことはどうでもいい。

 「脱走しねぇなら、ここで何をしようと何があろうと構わねぇよ。好きにやってろ、バカ共が」

 オサムはグレートドラゴンに乗って島の周囲を見て回った。

 筏のような物を見つけたので燃やした。

 更に小さな船を見つけたので焼いた。

 オサムはもう一度島の中央に戻り

 「船があったが?責任者は誰だ?」と訊いた。


 「魚を捕るための船だよ、筏もな、たまには魚もくいてーし」

 さっきの男が悪びれずに言った。

 「そうか、5艘程燃やしたが悪かったな、また作れ。せいぜい楽しく暮らせよ」

 と言い残してクイーズと合流し、帰って行った。


 城の庭に戻り

 「脱走に使えそうな船はあったか?」とクイーズに尋ねると

 「何艘か小さな船があったので燃やしました。あの程度の船で脱走出来るとは思えませんが、念のため」

 と答えた。


 「しかし、今回の1000人がどう動くかだな、知ったことじゃねーけど」

 オサムはそう言って城に帰っていった。



 城に入り、家令のハロルドに

 「何か変わったことは?」と訊くと

 「ロレーヌ様のところに公爵様と伯爵様の夫人が来られております」

 と言うのでオサムは自分の部屋に戻った。


 子供達は育児係の召使いの部屋に居るようだったので、鎧を脱いで部屋着に着替えた。

 「皆楽しくやってるみたいだなぁ、俺は何しようか、本でも読むか」

 オサムは書斎に行き、まだ頭に入れていない本を数冊読み出した。

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