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終わったならまた始めればいいじゃないか  作者: 朝倉新五郎
平和への道程
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第18話 平時下の帝国

 新たに帝国に組み入れたルアムール王国もオサムの手で道路網やインフラが整えられることになった。

 今度の国は巨大な帝国だったため、最初にグレイス帝国の者が手本を見せて教え込み、ジャグアに任せることにした。


 資金として銀貨3億枚を渡し、ルアムールの国土は様相を変えていった。

 道路だけではなく河も整備し、軍や統治組織も整えた。

 数十万の兵士は土木作業員でもあり、着々と隅々まで統治出来るようになっていった。


 オサムは民に危害を加えたり他国に攻め込む事が無いように厳命し、内政は充実した。


 「俺ではこんなこと考えられない。」ジャグアは王宮でオサムに渡された本を読んでいた。

 「勝てるわけがなかったな、あの方には」本を閉じ。


 「帝国法か、ここまで考えられているとは、大帝国を維持出来るのにも納得できる」

 ジャグアはガルダに乗って王国全土を見て回った。


 「職がなく貧しい者も飢えない国造り、民は宝か。穀物も帝国から頂いたし、もう戦乱は起きぬようにせねば」

 眼下に広がる一変した国土を見ながらジャグアは出来る限りの事をやると決めた。


 副都に飛んだ時にロウから

 「陛下は神か救世主だろう」と言われたが、自分でもそう考えるようになっていた。

 「私は陛下程私欲がなく民を思う方をいまだ知らぬ」ともいわれていた。


 ジャグアは国内でよく産出する宝石を膨大な量集め、マジックバッグで帝都に届けさせた。

 しかし、代わりに銀貨2億枚と青銅貨や黄銅貸が大量に送り返されてきた。

 一部の銀貨を小さく鋳造し直し、これからの流通の基本として使え。とのことだった。


 ルアムール王国は税や国内外の取引全てに硬貨を使う事となった。

 自分が起こした統一の戦乱の復興も行い、文字や貨幣を統一した。

 王宮からそう離れていない場所にオサムが作った城塞都市は帝都と副都の大使の居城だったので内政に対する干渉も無い。

 ジャグアはオサムに守られながら国造りをしていることを思い知らされた。



 一方オサムは南方を手に入れたことでスパイス等を簡単に入手出来るようになっていた。

 定期的にかなりの量を買い付け、カッシュ達に試させた。

 オサムが説明したので、カッシュの料理のバリエーションは更に増えた。

 副都からもロウが材料と旧シャングールのレシピを送ってきていたので世界一の味を極めていった。


 引きこもり体質のあるオサムにとっては料理と冒険、それに皆との時間が楽しみだ。

 国土の整備については殆どが終わっており、城の文官に任せていた。


 「何もすることが無いよ~」オサムがまた駄々をこねだした。

 リムルとロレーヌは「ゆっくり出来るじゃありませんか」そう言って慰めたが

 「ムーラの塔に行ってくる」と言って城を出た。


 そして1週間程経つ頃に帰ってきた。

 400回程度クリアして飽きたらしい。


 オサムはその頃になると身長が2メルトに近くなり、タキトスを追い抜きクイーズに届くかという程になっていた。

 それに合わせて甲冑や剣も新しく作らせていた。


 「こっちに来て何年になるんだろうなぁ、季節もないしカレンダーもないから」

 と、オサムは自分が何歳になったのか忘れていた。27か8だな、多分。

 「28ってことにしとこう。」オサムはどうでもいいことなので自分で決めた。

 

 「多分働き盛りで何でもやってる時期だよな、サボり過ぎかなぁ」オサムはそう言うが

 大帝国を作り上げ、しっかりと内政、外政やグランチューナーの務めも果たしている。

 オサムにはそれらに対して”働いている”という実感が無かっただけだった。


 実際のところ持ってきた本も全て読み終わり知識は世界一であり妻も子供も2人居る

 巨大な事業をいくつも手がけている、世界の富の9割以上を持っている。

 誰かに言われてではなく、自分が好きでやっていることだから趣味の範囲だと考えてしまっていた。



 オサムはインペリアルセイヴァー用に作らせた豪華なレイピアを腰に下げ、城から出て城下の様子を見て回ることにした。

 忙しかった頃には出来なかったのでぶらぶらと散策した。


 5分に1人は警備兵を見かける。警察機構はしっかりしているようだ。

 冒険者らしき者達も多い。商店街に入ると広い道の両側に店舗が並んでいた。

 建物自体はオサムの指示で作らせたので画一化されているが、店舗内は様々に改装されていた。


 「これが城下に40もあるのか」自分で作らせたのだが直接見るのは初めてだった。

 

 「それにしても歩くと広い街だなぁ」遠くに見える巨大な城門の建物を見て

 「あれが8つ有って、また何キロか向こうにもっと大きいのがあるんだよなぁ」

 設計はオサムがしたので概要は把握していた。しかし空から見るのと地上から見るのとでは違った。


 「見たところ生活に困ってるような人は居ないな、外周にも行ってみるか」

 そう言って開け放たれた城門をくぐった。

 扉は鋼鉄で出来ており、厚さが1メルトはあった。それが2重になっている。


 「我ながらとんでもない城門を作ったなぁ」としみじみ見ていた。


 城塞の外周部に出ると、様相が変わっていた。

 幅50メルトの道の両脇には神殿と換金所の建物があった。


 「たしかこの区画はゼロから計画的に作ったんだったな。」オサムは整然と整えられた建物群を見ていた。

 生活に必要なもののみを売る建物や居住用の建物など、全て3階建ての画一化された建物が並んでいた。


 「やっぱり生活に困ってるような人はいないな。」

 帝都の周囲を整備しているのだ。仕事が途切れることはありえない。

 人々の幸せそうな生活を見て回り、オサムは城へと戻っていった。



 「リムルー、この街は平和だね、少し散歩してきてわかったけど」

 オサムが居間に座っているリムルに話しかけた。

 「おかえりなさい、陛下」リムルは振り向いてオサムに言った。


 「考えてたとおりの街になってた、良かったよ」オサムは長椅子に転んだ。

 「それにしてもやることがない、ゴロゴロしてていいな」

 と言ってオサムはベッドに寝転んだ。


 『あとは何かすることがあったっけ?』と考えながらオサムは眠った。



 それから数ヶ月の間に次々とミーシャ、ヴィオラ、ファシリア懐妊の報告が届いた。

 「お前達、相談したかのように続くなぁ」オサムが言うと

 「忙しい時期が過ぎたので偶然重なったのでしょう。」とクイードは言ったが


 リムルも同様だった。

 オサムにとっては第三子、リムルにとっては第二子となる。

 ロレーヌもか?と考えて訊いてみたが、それはなかった。


 カオスキーパーやモンスターの大群を片付けるくらいしか用がなくなっていたので、のんびり過ごした結果だった。

 しかもクラウド達が殲滅に向かうのでますますオサムやクイード、タキトス、ハンビィの時間は余っていた。


 オサムのレベルは200を軽く超え300に迫っていた。クイード達も100に近づいていた。

 レベル200を超えてからオサムは気がついたのだが200以降必要な経験値が一定となっている様だった。

 「なんかバグっぽいなぁ、想定外のレベルなのかも?」しかしオサムは誰にも言わずにいた。


 その頃、クラウド達にも各国から縁談の話が届いていた。中には国王の姫も居たが、

 オサムは「本人達に任せてるので」ということで通していた。


 クラウド達も「相手は自分で選びます、グレイス帝国伯爵としてではなく個人として」

 そう言うのでオサムは全て任せていた。口出しすることでもないし。と考えて。



 子どもたちが生まれるまでは何もなければいいけどなぁ。オサムはのんびり構えていた。

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