第17話 ルアムール王国
オサムは一旦副都に飛び、ロウと話をまとめてから帝都へ戻った。
途中各都市にも降りて見て回ったので、タキトス達に遅れること4日の後帰ってきた。
「ただいま帰ったよー」と言って城の入口に入ったが
「え?またわからんぞ?増築しすぎたか?」と戸惑っていると
「おかえりなさいませ、陛下」とハロルドが来た。
「すまん、俺の部屋を見失った」オサムが言うと
「最上階の奥でございます」と上を指差した。
「あ、そっか、こっちは吹き抜けにしたんだった」と広いロビーの真ん中に立つと
「ほいっ!」と5階まで飛び上がった。
手すりを乗り越えて着地し「よし!15.00!」と両手を広げていると
「陛下、またそのような登り方を」
リムルが近寄ってきた。
「いいじゃん、そのためにここだけ吹き抜けにしたんだしさ、降り方はわかってるし」
と言って今回は譲らなかった。
「ここは俺専用の通路だもんねー」と楽しげにしていた。
「ちょっと着替えてくる。」と言って「ここだ、この部屋」と入っていった。
リムルはオサムについて部屋に入った。
オサムはガチャガチャと鎧を脱ぎ、平服に着替えて部屋を出ようとすると居間にリムルが座っていた。
「今回も無茶をしてきたとお聞きしましたが?」
リムルはタキトスから全て聞いていたようだ。
「南の帝国もご領内に納めてしまわれたとか、しかもお一人でその皇帝をお連れになって」
「強い奴だったからね、分かるんだよ、俺達の強さが余計にね」
オサムはジャグアの事を思い出していた。ロードナイトのレベル50。
インペリアルセイヴァーのレベル150のステータスを見れば力量の差はすぐに分かる。
「俺はなんとなく気に入ってね、とりあえずは自由にしてもらうことにした。」
世界で自分達以外に初めて見つけたロードナイトだ、気になっても仕方がない。
3日後ロウから書状が届いた。
正式にジャグアの帝国ルアムールがグレイス帝国の属国になったとのことだった。
近い内に皇帝本人が直接帝都に行くとも書いてあった。
『やはり判断が早いな、見込んだ通りの男だったか。よかった』オサムは思い
「直接ね、何に乗って来るんだろうな、楽しみだ」と独り言をした。
そしてその1週間後にジャグアが衛兵に連れられてやって来た。
「よう、ジャグア、何に乗ってきた?」と訊くと
ジャグアは
「ガルダですが、呼びましょうか?」
そう言って庭に出て笛を吹いた。
天空から巨大な鳥が降り立ち、庭にふわりと降りた。
「ガルダです」ジャグアが言った。
「初めて見るな、南方のダンジョンか?」オサムは訊いた。
「我が国、いや、今は陛下の領土ですがその西にあるムーラの塔の頂上に居ます。」
ジャグアは説明した。
「ジャグアの国で良い。ただし帝国ではなく王国としてグレイス帝国に組み入れられるが。」
「それで?その塔はどこにある?詳しく知りたい」
オサムの冒険癖がウズウズと動き出した。
「いつでもお連れ致しますが?陛下」
そうこうしている内にクイードを初め8人が集まってきた。
「これは、グリフォンでは無いですね、巨大な鳥だ」
ハンビィが言い
「見たこともないモンスターだな、あ、ジャグア。お前の鳥か?」
タキトスが言うと
「ジャグアは我が帝国の国王だ、陛下と呼べ」とオサムが言った。
「ではジャグア・・・陛下の国は正式にグレイス帝国に?」
タキトスが訊いてきたので
「そうだ、南方全ての地域を国王として治めさせる。」
「それで良いのだな?ジャグアよ」オサムがそう言うと
「その通りです、私では到底かないません。」ジャグアが両手を合わせて礼をした。
「グリオン、エスカニア国王と同等の地位を与える。領土の規模は違うがな」
オサムが言うと。
「この方々は陛下の家臣ですか?全ての方が陛下と同じ”帝国の剣”ですが」
ジャグアは驚きを隠さなかった。
「世界は広い、痛感しました。グレイス皇帝陛下にこれを」
と地図を見せ
「今回陛下の領土となった証です」ジャグアは跪いてオサムに渡した。
「何日くらいここに滞在できる?」とオサムは尋ねると
「3日程度なら、家臣が国を束ねてますので」
ジャグアは答えた。
「よし、じゃあメラススの塔に行ってみるか、今から。」
「クイーズ、ハンビィ、クラウド、アンカール、付いてこい」
オサムはそう言ってジャグアを塔に連れて行った。
「ここが我が帝国の最強のダンジョンだ。入るぞ」と言って全員で降りた
「誰か2人は常にジャグアに付いておくように」とだけ言って
「まずは俺から、順番だ。」と最初の階のゴブリンキングを一撃で倒した。
「半日掛けるつもりでいいぞ、次はクイーズ」
と言って1階層毎に入れ替わってボスモンスターを倒していった。
最後の200階層のグレートドラゴンはオサムが倒した
ワープポータルで地上に出た時は日が傾きかけていた。
「少し時間を掛け過ぎじゃないですか?陛下」とクイーズに言われたが
「1日10回も20回も倒すようなペースじゃ見せられないだろう」
オサムはそう言って
「どうだった?」とジャグアに聞いたが
「途中からは私では倒せない敵ばかりでした・・・」
そう言ったきり黙ってしまった。
「じゃあ夕食にするか、今日は男10人で食うぞ」
オサムはそう言って城に帰った。
城の食事部屋には迷わず行けた。
ジャグアとオサムが待っていると、クイード達8人がやってきた。
カッシュに言い付けた通り、料理がこれでもかと言うほど運ばれてくる。
「こんな料理は初めてです、陛下。素晴らしい!」とジャグアは食事を楽しんだ。
オサムは
「それは良かった、昨日の敵は今日の友と言うだろう?意味はわからんが、まぁそういうことだ」
適当に言った。
「ダンジョンはどうだった?」と訊くと
「私には到底攻略できるものではありません、世界の広さを思い知らされました」
ジャグアは率直な感想を述べた。
「うん、ロードナイトのレベル50だとあのダンジョンの攻略はまず出来ないな」
ジャグアの言葉を通訳するようにオサムは努めていた
今後の事やカオスキーパーの事を含め色々と話しをし、食事と休息は終わった。
1日だけ滞在し、ジャグアはやはり国が気になるということで朝に飛び立っていった。
「ムーラの塔か、時間がある時に行ってみよう。」オサムは楽しげだった。
これで大陸の南方に橋頭堡が出来たことになる。中央部には大国や小国が数あるが、
足がかりになることには間違いない。ルアムール王国、死守すべき領土がまた増えた。
しかし、オサムの考えとは微妙に違ってきている。
大陸統一は今のオサムの頭にはなかった。
「連邦制、その頂上にグレイス帝国を置く。そのつもりだったのになぁ」
リムルが眠ってしまい、オサムは一人別室のベッドで今後の事を考えていた。




